「生きることこそ、人間のたったひとつの目的である」(夏目漱石)【漱石と明治人のことば45】

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今年2017年は明治の文豪・夏目漱石の生誕150 年。漱石やその周辺、近代日本の出発点となる明治という時代を呼吸した人びとのことばを、一日一語、紹介していきます。

【今日のことば】
「to live is the sole end of man!」
--夏目漱石

明治22年(1889)5月13日付で、夏目漱石が親友の正岡子規あてに書いた手紙の中の一行である。念のため、和訳すると、「生きることこそ、人間のたったひとつの(究極の)目的である!」といったところか。

この頃、漱石と子規は一高に通う同級生。この少し前、子規は喀血して医師の診察を受けた。漱石はそんな子規の容態を案じ、なにはともあれ無理をするな、まず体を大切にしてほしいと切望し、訴えているのだ。

現代の日本では、毎年、多くの人が自ら命を断っている。いじめが原因で、自殺する子供もいる。痛ましいことだ。

大人は大人で、健康のこと、お金のこと、人間関係のこと、さまざまな悩みが要因で追い込まれる。なんのために生きているのか分からない…。そんな思いにとらわれてしまうことは、誰にでもあるのかもしれない。そういう時、この漱石のことばを届けられたらと、痛切に思う。

以前、社会学者の見田宗介さんにインタビューした際、見田さんがこんなことを言っていた。

「人間というのは、自然というものは、存在するだけで美しい。人間は、生きて在るだけでいい」

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。著書に『心を癒す漱石の手紙』(小学館文庫)『漱石「こころ」の言葉』(文春新書)『文士の逸品』(文藝春秋)『ウイスキー粋人列伝』(文春新書)『夏目漱石 100の言葉』(監修/宝島社)などがある。2016年には、『サライ.jp』で夏目漱石の日々の事跡を描く「日めくり漱石」を年間連載した。

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