字画も少なく、しょっちゅう⽬にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか⼼配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか?

サライ世代ともなりますと、いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の動画を⾒ながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。

「脳トレ漢字」今回は、「定石」をご紹介します。盤上の知恵から生まれたこの言葉を通して漢字への造詣を深めてみてください。

「定石」は何と読む?  

「定石」の読み方をご存じでしょうか?  

正解は……
「じょうせき」です。

『小学館デジタル大辞泉』では「囲碁で、昔から研究されてきて最善とされる、きまった石の打ち方。物事をするときの、最上とされる方法・手順」とあります。

「定石」と同じ「じょうせき」という読み方で、「定跡」と書く場合もあります。

「定石」と書く場合は、主に囲碁の世界で使われる言葉です。一方で「定跡」と書く場合は、将棋の世界で使われる言葉になります。どちらも「最善とされる決まった手順」という意味では共通していますが、使う道具(石か、駒の跡か)によって漢字が使い分けられているのです。

現代の一般的な会話やビジネスの場では、囲碁由来の「定石」という表記がより広く使われる傾向にあります。

「定石」の由来

「定」は「きまる、定める」、「石」は囲碁で打つ「石」(いし)のこと。つまり「定石」は、石の配置や打ち進め方が「定まったもの」、という成り立ちです。囲碁は盤面が広く、選択肢が膨大です。その中で、多くの対局を通して「この形ならこの運びが安定する」と蓄積されてきた知恵が、定石として整理されてきました。

ただし、定石は万能の公式ではありません。盤面全体の状況によっては、あえて定石を外す判断が勝敗を分けることもある。ここが「定石=絶対」になりきらない、言葉の奥行きです。

変化する「定石」の世界

興味深いことに、囲碁の世界では、かつて定石とされていた打ち方が、AIの登場により覆されるケースが相次いでいます。2016年、囲碁AI「AlphaGo」がトップ棋士を破って以降、従来の定石に疑問符がつく場面が増えているのです。

これは私たちの日常生活にも言えることかもしれません。かつての「定石」だった終身雇用や年功序列といった社会の型が崩れ、正解のない時代と言われています。しかし、どれほど時代が変わっても、先人が積み上げてきた「型」を一度は学び、その上で自分なりの「一手」を模索する姿勢こそが、教養ある大人の嗜みではないでしょうか。

古い定石を尊重しつつ、新しい変化を恐れない。漢字の読み方一つを学ぶことも、そんな豊かな知性を養うための大切な「定石」といえるかもしれません。

***

いかがでしたか? 今回の「定石」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 変化の激しい現代だからこそ、自分の中に揺るぎない「定石」を持ちつつ、しなやかに歩んでいきたいものですね。

来週もお楽しみに。

●執筆/武田さゆり

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。

●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com

 

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