取材・文/ふじのあやこ

日本では婚姻届を役所に提出し、受理されると夫婦と認められる。夫婦となり、パートナーのことを家族だと受け入れられるものの、パートナーの両親やきょうだい、連れ子などを含め、「みんなと家族になった」とすんなり受け入れられる人もいれば、違和感を持つ人もいるという。また、ずっと家族として生活していたものの、分かり合えない関係のまま離れてしまった人もいる。家族について戸惑った経験がある人たちに、家族だと改めて感じられたきっかけを聞いた。
*
株式会社ラス恋が運営するマッチングアプリ「ラス恋」は、「ラス婚(最後の恋)における消費」に関する意識調査(実施日:2025年8月22日~8月26日、有効回答数:40〜80代のユーザー1671人(「子どもがいる」と回答した1020人を集計対象)、アプリ内アンケート)を実施。この調査にて、「マッチングアプリを利用していることについて、お子さんと話をしていますか?」という問いに対して、「話したくない」と答えた人が48.8%、「話せる・話している」が31.5%、「話したいが、話せずにいる」が19.7%となった。次に、「話せない/話したくない」と回答した人に「どんなきっかけがあれば話せるか」を聞いたところ、最も多かったのは「パートナーが見つかったら」(45.3%)だった。続いて「子どもから聞かれたら」(22.4%)、「婚姻届を出すタイミングで」(16.8%)となっていた。
今回お話を伺った美紀さん(仮名・47歳)は、20代で結婚と離婚を経験し、両親の協力もあって1人娘を育てあげた。
子どもを授かって、今までで一番人生が充実していた
美紀さんが結婚したのは24歳のとき。その相手との出会いは店員と客という関係の中でだった。
「私は大学を卒業してからアパレルの店員になったのですが、給料が少なくて……。奨学金の返済をするために水商売のお店で夜に週2~3のペースでダブルワークをするようになりました。夜に働くことを両親はいい顔はしませんでしたが、奨学金の返済のためだったので、強く反対はできなかったみたいです。
夫とは夜のお店で出会いました。夫は先輩に連れられてお店に来ていて、お店に慣れない様子だったところに、私のほうから好感を持ったんです」
結婚のきっかけは授かり婚だった。子どもが早く欲しかった美紀さんはとても嬉しかったという。
「元々お酒は強くないので、お店に出てもあまり飲んではいませんでした。それに妊娠がわかる前から体調不良があり、あまり夜のお店に入れなくなっていたんです。
妊娠がわかったときは、私がお母さんになるんだって、とても嬉しかった。夫とは付き合って3か月ほどだったので、たとえ結婚してくれなかったとしても子どもは産むつもりでした」
妊娠を報告すると相手はすぐに「結婚しよう」と伝えてくれたという。数日内にお互いの両親への報告を済ませ、美紀さんは夫の希望で昼夜どちらの仕事も辞めることに。家で家事をしながら、子どもが誕生するのを待つだけの日々だったが、それがとても楽しかったと振り返る。
「今までしたことなんてなかったのに、赤ちゃんの靴下や手袋を編んでみたり、親からミシンを借りて服を作ってみたり。母親と義母が交代で遊びに来て、私の体を気遣ってくれていたので、今までにないほどゆっくりさせてもらいました。
妊娠中に私は肌荒れがすごくて、鏡を見るのが嫌になった時期はありましたが、これも子どもがお腹にいるからだと思うと、自分の身なりなんてどうでもよくなりましたね」
その後、美紀さんは無事女の子を出産した。
【娘のために、残りの人生をかけて働くつもりだった。次ページに続きます】










