
「人生100年時代」と言われ、一般的な定年を迎える65歳を超えても働くシニア世代が増えています。ですが、立場や雇用形態が変わっても、若い人や新しい年下の上司への態度が変わらなければ、職場でのコミュニケーションがうまくいきません。シニア世代が働くうえで大切なのがビジネスマナーなのです。
1000人超の60〜75歳の派遣スタッフを持つ高齢社がこれまでの事例や経験をもとに監修した『人には聞けない60歳からのビジネスマナー』(宝島社)は初のシニア向けビジネスマナー本。職場でのマナーをアップデートし、長く楽しく働き続けたいものです。
今回は、シニアが新しい職場で働くために再確認しておきたい「マナーの基本となる5つの要素」についてご紹介します。
監修/高齢社
ビジネスマナーの基本の「き」
職場ではさまざまなビジネスマナーが求められますが、そのなかでも基本となるのが、次に挙げる5つです。
(1)挨拶
朝の「おはようございます」、退勤時の「お疲れさまです」「お先に失礼します」など、当たり前の挨拶が人間関係の基本です。上司、部下、同僚、どんな関係であっても挨拶をしない人に対しては話しかけにくいものです。
挨拶は、いわば、コミュニケーションの基本中の基本といえるでしょう。
(2)言葉づかい
言葉は、話す「その人」を表します。慣れない環境では、誰だって丁寧な言葉づかいを心がけるものですが、少し馴染んでくると、とたんにぞんざいな言葉づかいになる人がいます。そして、ぞんざいに話しかけられた人は「これがこの人の本性か」と感じます。
経験豊富なシニアでも、新しい職場では新人です。相手に敬意が伝わる言葉づかいを心がけましょう。
(3)表情
人は誰しも、2つの表情を持っています。それは、生まれつきの「顔立ち」と、それまでの人生が表れる「顔つき」です。
「顔立ち」を変えることはできませんが、「顔つき」は変えることができます。そして、「顔つき」を変えるだけで、相手に与える印象も大きく変わります。
(4)態度・姿勢
態度が悪かったりぞんざいだったりする人や、相手によって態度を変える人などは、当然、人に好かれることは少ないでしょう。また、姿勢が悪い人は、だらしない印象や不健康なイメージ、暗い印象などを相手に与えます。
ただし、この2つも「顔つき」と同じように、心がけしだいで変えられるものです。
(5)身だしなみ
身だしなみを整えるうえで、とくに重視したいのが清潔感です。毎日の入浴はもちろん、ヒゲや鼻毛、ツメが伸びていないかなど、しっかりとチェックしましょう。また、ボサボサの頭髪もNGです。
スーツや制服着用が義務ではない職場であれば、服装で自分の個性を出すのもよいでしょう。自分に似合った「きちんと感」のある服装を意識することや、業務に集中できる着心地のよさも大切です。
ただし、個性的と言っても「だらしない(不潔)」「奇抜」といった印象を与えるような服装は避けましょう。


▶︎職場での3大クレーム
なお、人材派遣会社である高齢社に届く、派遣先からの3大クレームは、「態度が悪い」「ミスが多い」「時間が守れない」というものです。
「態度が悪い」の中には、マナーが悪い、言葉づかいが悪いといったものも含まれます。
また「ミスが多い」には、同じ失敗を繰り返す、なかなか仕事を覚えないといったものも含みます。「時間が守れない」は、年齢に関係なく社会人として論外でしょう。
みなさんも「他人ごと」とは思わず、自分ごととして“3大クレーム”を意識しておきましょう。
この3つの「クレーム」を意識しつつ、「報連相」(報告、連絡、相談)を欠かさないことも、相手との認識や理解の食い違いを防ぐうえでは大切です。
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人には聞けない60歳からのビジネスマナー
監修/高齢社
宝島社 1,650円(税込)
高齢社
定年退職後も健康で働く意欲の高い人の多さに着目し、2000年1月に会社設立。登録社員25名でガス会社やガス機器メーカーの請負業務からスタートし、2002年8月に一般労働者派遣事業許可の取得により、高齢者の人材派遣業務に本格進出。2025年2月現在、派遣登録者数は1000人を超え、業務内容も100種類以上と多岐にわたる。経営理念として下記の4つを掲げる。(1)定年を迎えても気力、体力、知力のある方々に、「働く場」と「生きがい」を提供していく。(2)働く人を大切にする(社員≧顧客≧株主の人本主義)。(3)豊富な経験を活かし、顧客には「高品質・低コスト・柔軟な対応力」を武器に優れたサービスを提供していく。(4)「知恵と汗と社徳」重視の企業風土を醸成する。
