俳諧師としての顔と、喜多川歌麿などへの影響
また、石燕は江戸座の俳諧師としても活動し、絵入りの俳書に挿絵を多く提供しました。絵師としてだけでなく、俳諧や文芸にも通じていたことがうかがえます。
弟子の中には、のちに浮世絵の巨匠となる喜多川歌麿や、歌川豊春(うたがわ・とよはる)、栄松斎長喜(えいしょうさい・ちょうき)らがいます。彼らに多大な影響を与えた存在として、石燕の功績は見逃せません。
天明8年(1788)8月3日、石燕は76歳でこの世を去りました。その後も彼の妖怪画は、多くの後継者に受け継がれていくことになります。
まとめ
鳥山石燕は、江戸時代の町人文化を象徴する絵師であり、妖怪画の世界を切り開いた先駆者でもありました。彼の想像力と筆致は、人々の心に不思議や怖さ、そしてユーモアまでも同時に呼び起こすものであり、現代においてもなお語り継がれています。
石燕の作品に触れることは、江戸の人々の想像の豊かさと、そこに生きた芸術家の息吹を感じることに他なりません。
※表記の年代と出来事には、諸説あります。
文/菅原喜子(京都メディアライン)
肖像画/もぱ(京都メディアライン)
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引用・参考図書/
『世界大百科事典』(平凡社)
『日本人名大辞典』(講談社)
『朝日日本歴史人物事典』(朝日新聞出版)
