
ライターI(以下I):『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(以下『べらぼう』)第13回では、金貸しの権利を得て、暴利を貪っていたという検校らを取り締まろうという展開になりました。まずは、鱗形屋孫兵衛(演・片岡愛之助)が「座頭金」からの借金返済に窮して、偽板に手を出していたことが発覚したことからスタートです。
編集者A(以下A):検校ら視覚障害の方々が金貸しの権利を得ていたのは、初代家康の「救済政策」だったといわれているわけですが、神君以来の権利ということで、アンタッチャブルな存在になっていたことにも触れられました。実際に、検校らの取り立ては相当に厳しかったということです。
I:田沼意次(演・渡辺謙)も絡んだ「江戸城内の政局」になり、それを打開するために、意次らは、検校らの高利貸し利権にメスを入れようと動き始めます。札差(ふださし)を規制したことで、借りる先がなくなって、検校らの高利貸しに走るという構図をめぐって、松平武元(演・石坂浩二)らと口論に発展しました。その上で、この検校摘発の発端になったのが、西の丸の将軍継嗣家基(演・奥智哉)の小姓組に名を連ねる森忠右衛門の出奔ということでしたが、これは史実のようですね。
A:江戸城西の丸といえば、将軍継嗣の住まい。そこに詰める小姓組といえば、長谷川平蔵宣以(演・中村隼人)が勤める「書院番」と並んで、旗本たちにとって垂涎の的の「お役目」。出世の道も開けるともいわれています。
I:無役の小普請(こぶしん)組も多くいた中で、将軍及び将軍継嗣の側近くに仕える小姓組が高利貸しからの借金で首が回らなくなったということは、由々しき事態ですね。

A:劇中で森忠右衛門は、息子の番入りのために金策をして、それがどんどん膨らんだと言い訳をしていました。「番入りすれば、必ず、返済できる」ともいっていましたから実入りのいい役職だったのかもしれません。
【「密命」を請け負った長谷川平蔵。次ページに続きます】
