
セイコータイムクリエーションは、最高峰ブランド「デコールセイコー」より、機械式振り子時計「息吹」に琺瑯文字板を採用した新モデル「AS303B」をリリースしました。時を刻み、家族を紡ぐ、世代を超えて受け継がれる逸品です。
文/土田貴史
永遠の輝きを宿す、野田琺瑯の技
今回新たに採用された琺瑯文字板は、美しい光沢と柔らかで温もりのある独特の質感が特徴です。琺瑯(ほうろう)とは、金属にガラス質の釉薬を800℃以上の高温で焼き付けた素材。一般的な文字板と異なり、日焼けによる経年劣化がなく、長い年月が経過しても乳白色の清楚な色合いを保ち続けます。このような特性から、何世代にもわたって受け継がれる「息吹」に相応しい素材なのです。
この琺瑯文字板を手掛けるのは、1934年創業の野田琺瑯。鋼板琺瑯メーカーとして琺瑯製造工程のすべてを自社一貫で行う国内唯一のメーカーであり、同社の卓越した技術は国内外から高い評価を得ています。プロの現場から一般家庭まで幅広く支持される野田琺瑯の確かな品質と美しさは、「息吹」にさらなる存在感を与え、所有する人を魅了します。
デコール基準——時代に翻弄されることのない永続的な価値
「息吹」は2022年に発表され、半世紀ぶりにセイコーが復活させた機械式振り子時計として話題となりました。壁面に優しく寄り添うように美しく曲げられた木枠が特徴で、今回の新モデルではその優美なデザインはそのままに、文字板に琺瑯を採用しています。
デコールセイコーが掲げる「デコール基準」とは、デザインが正統を貫きながらも非凡であること、人間が最高の工具になること、モノづくりの基本に忠実であること、そして時流に翻弄されることなく未来に誇れる価値とは何かを問い続けていくことにあります。

枠材に用いる素材の吟味から、独自の演出や最終仕上げにいたるまで、すべてにこの思想が貫かれています。例えば「息吹」のケースは、天童木工の手によるプライウッド製。これは、薄くスライスした木材を重ねて成形する技術で、薄くてもしなやかな曲線のデザインを可能にしています。日本の美意識に通じるミニマルスタイルを追求し、無駄をそぎ落としたシンプルで繊細なフォルムが特徴です。

そして「息吹」に搭載されているムーブメントは、機械式時計の要素である動力(ぜんまい)、調速(振り子)、表示(指針)のすべてをセイコーが完全オリジナル設計。8日巻きの機械式(4石)で、適切なメンテナンスを行うことで何世代にもわたって使い続けることができます。また、ムーブメントを構成する部品すべてが日本国内でつくられており、組み立ても熟練の技術者が一点一点作業を行っています。

文字板縁飾りには黄銅にプラチナメッキが施され、振り子にはステンレスと黄銅(クロムメッキ)が使用されるなど、細部にまでこだわりが感じられます。また製品の前面には高透過ガラスを採用し、美しい琺瑯文字板を最大限に引き立てる工夫も。日差±30秒という精度も実用上十分な水準です。
「息吹」は、時を動かす楽しみと共に、次代への継承の想いを込めた逸品。購入後3年間の保証が付き、長く愛用していく安心感も備えています。
品番:AS303B
サイズ:高さ586×幅194×奥行き99mm
重量:約4.7kg
価格:143万円(税込)
機械体:8日巻き機械式(4石)
問い合わせ先/セイコータイムクリエーションクロックお客様相談室 0120-315-474