歴史あるキャンパスには、大人が興味を惹かれる施設や場所が多数ある。医学史、自然誌、演劇、文学から仏教美術まで。大人の好奇心が大満足! 前編に引き続き、鴻上尚史さんに早稲田大学を案内してもらった。
本人も関わる唯一無二の施設、通称・村上春樹ライブラリー|鴻上尚史が案内する早稲田キャンパス(前編)はこちら。https://serai.jp/hobby/1221727
演劇界の先駆者の歩みと国内外の演劇関係資料を展示|坪内博士記念演劇博物館

早稲田で教鞭を執りながら、演劇や文学、教育など多岐にわたって日本の近代化に多大な影響を与えた坪内逍遙。その逍遙が半生を捧ささげた『シェークスピヤ全集』(全40巻)の翻訳完成を記念し、昭和3年(1928)に開館したのが、「坪内博士記念演劇博物館」(通称・エンパク)だ。アジアで初めての演劇専門博物館である。



17世紀にロンドンに建てられた劇場・フォーチュン座を模して設計された当館は、正面が張り出した舞台、建物前の広場が観客席になっており、現在も様々な公演やイベントに使われている。
館内は茶色の床板にシャンデリアが柔らかな光を落とす温かい空間が広がる。能や歌舞伎、文楽など日本の伝統芸能の衣装や小物、西洋演劇の歴史に触れられる貴重な資料などが常設展示されている。
他にも、同館は名優の遺品や役者絵、舞台写真など、演劇ファン垂涎の資料を100万点以上所蔵しており、企画展や特別展を通じて公開されている。
館長の児玉竜一さん(同大文学学術院教授)が「ぜひ見てほしい」と鴻上さんを案内したのが「逍遙記念室」だ。逍遙の来館時に貴賓室として使用した洋風の部屋で、“生原稿”や愛蔵品の数々が展示されている。
「逍遙は多面的な人でしたが、直筆の手紙や原稿を見ると、味わい深い人柄が伝わります」(児玉さん)
無料のミニシアターもある。「京マチ子記念特別展示室」では、1日2回、サイレント映画や昭和の名作など史料的価値の高い作品が上映される(上映時間や作品は変更あり)。
鴻上さんは学生時代を振り返りながらこう語る。
「在籍当時は“新たな演劇を作るんだ”と鼻息が荒かったので、エンパクは素通りしていました。演劇に長く関わってきた今は、資料すべての価値や重みがわかる。演劇人ならずとも訪れてほしい」

膨大な東洋美術作品を展示
同大文学科で学び、東洋美術史研究や歌人、書家としても業績を残した會津八一。「會津八一記念博物館」では、會津が私財を投じて蒐集した東洋古美術品などを公開する。中でも、横山大観と下村観山の合作『明暗』は壮観だ。下村が金泥部分の「明」を、横山が墨で「暗」の部分を描いている。
5万点以上の蒐集品を所蔵|會津八一記念博物館

早稲田大学早稲田キャンパス

新宿区西早稲田1-6-1
交通:東京メトロ東西線早稲田駅より徒歩約7分
※以下の(1)、(2)は前編で紹介
(1)国際文学館
電話:03・3204・4614
開館時間:10時〜17時
休館日:水曜ほか
入館料:無料
(2)早稲田大学歴史館
電話:03・6380・2891
開館時間:10時〜17時
休館日:水曜ほか
入館料:無料
(3)坪内博士記念演劇博物館
電話:03・5286・1829
開館時間:10時〜17時(火曜・金曜は19時まで)
休館日:不定休
入館料:無料
(4)會津八一記念博物館
電話:03・5286・3835
開館時間:10時〜17時
休館日:水曜ほか
入館料:無料

