歴史あるキャンパスには、大人が興味を惹かれる施設や場所が多数ある。医学史、自然誌、演劇、文学から仏教美術まで。大人の好奇心が大満足!

【案内】
鴻上尚史さん(作家・演出家)
昭和33年、愛媛県生まれ。早稲田大学法学部在学中に劇団「第三舞台」を結成。演劇以外に、映画監督、小説家など幅広く活動。近著に『人生にがっかりしないための16の物語』。
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明治15年(1882)、政治家の大隈重信が「東京専門学校」として創立した早稲田大学。教育者でもあった大隈は自由闊達な校風を作り上げたが、現キャンパス内にも個性的な施設が点在する。
通称・村上春樹ライブラリー。本人も関わる唯一無二の施設|国際文学館



近年、国内外の観光客の来訪が多いのが、令和3年にオープンした「国際文学館」(通称・村上春樹ライブラリー)である。4号館の大規模改修に際し、世界的に活躍する建築家・隈研吾氏に設計を依頼。真っ白な外壁と有機的な木製の庇が際立つ外観は、構内で異彩を放つ。館内に足を踏み入れると、地下まで続くトンネルのような階段本棚(上写真)があり、手に取って読むこともできる。
所蔵は村上春樹作品と関連書など8000冊以上。村上氏からは貴重な初版本や関係資料、50言語以上に翻訳された書籍、さらには蒐集した数百枚のレコードやCDなども寄託・寄贈されている。


図書館さながらの蔵書のほか、ギャラリーやオーディオルーム、カフェなどが併設され、いずれも村上氏の世界観が色濃く反映されている。卒業後、同大で教鞭を執ったこともある鴻上尚史さんが、同館を訪れたのは初めて。
「近代的で美しい空間ですね。ワセダのイメージをいい意味で裏切ってくれた。村上さんお気に入りのジャズを聴きながら、ゆっくり村上作品を読み耽ける。実に贅沢な時間の使い方だと思います」
村上氏自身が企画に関わり実現した同館は、まさに「村上ワールド全開」の唯一無二の施設。ファンならずとも、文学やジャズ好きなら足を運んでみても損はない。

「大隈重信の肉声」を聞く
大学の過去から未来までを様々な切り口で紹介するのは、平成30年に開館した「早稲田大学歴史館」だ。大隈とともに創立に心血を注いだ法律学者の小野梓ら、「早稲田を創った若者たち」の詳細が展示される。中でも、大隈の演説を当時の画像を交えながら紹介するコーナーは、貴重な「肉声」が聞ける場でもある。
「いつの時代もワセダは学生の自主性を重んじてくれ、僕も学業そっちのけで演劇に打ち込んだ結果、今の自分がある。周りの評価を気にせず、いつまでも好きなことに没頭していいんだという勇気を改めてもらいました」
大隈重信の演説を記録した貴重な「肉声」が聞ける|早稲田大学歴史館



早稲田大学早稲田キャンパス

新宿区西早稲田1-6-1
交通:東京メトロ東西線早稲田駅より徒歩約7分
※以下の(3)、(4)は後編で紹介
(1)国際文学館
電話:03・3204・4614
開館時間:10時〜17時
休館日:水曜ほか
入館料:無料
(2)早稲田大学歴史館
電話:03・6380・2891
開館時間:10時〜17時
休館日:水曜ほか
入館料:無料
(3)坪内博士記念演劇博物館
電話:03・5286・1829
開館時間:10時〜17時(火曜・金曜は19時まで)
休館日:不定休
入館料:無料
(4)會津八一記念博物館
電話:03・5286・3835
開館時間:10時〜17時
休館日:水曜ほか
入館料:無料

