歴史あるキャンパスには、大人が興味を惹かれる施設や場所が多数ある。医学史、自然誌、演劇、文学から仏教美術まで。大人の好奇心が大満足!

草野 仁さん(キャスター、司会者・81歳)
昭和19年、旧満州生まれ、長崎育ち。東京大学文学部社会学科卒業後、NHKへ入局。昭和60年よりフリーのテレビキャスターとして活躍する。著書に『「伝える」極意』など。
そこが都市部であることを忘れさせる広大な敷地には、たっぷりの緑に憩いの場、博物館にレストラン。散歩するにはもってこいの場が「大学」だ。多くの大学は、実は市民に開放されていて、そのキャンパスを満喫することができるのだ。
では実際に、大学を訪れてみよう。まずは日本初の近代的な大学、東京大学である。江戸の昌平坂学問所、開成所(洋学研究教育機関)、医学所を統合し、明治10年(1877)に誕生した。その後、明治18年(1885)に、文部省の用地となっていた東京・本郷への引っ越しを完了させ、本郷キャンパスとなった。加賀藩の江戸屋敷跡地だったため、赤門(上写真、現在は耐震診断中のため閉門)などにその名残がある。
案内人は、約60年前、「湯島の下宿から本郷の東大まで歩いて通った」という草野仁さんだ。
「久しぶりに本郷キャンパスを訪れましたが、茶色のタイル張りの建物が当時のままですね。新しい建物も増えたようですが、雰囲気は変わりません」
日本人の奮闘の歴史
最初に訪れたのは、「健康と医学の博物館」。約160年にわたる東大医学部と医学部附属病院の業績と歴史を紹介するユニークな博物館で、東大病院外来診療棟の向かいにある。平成23年(2011)の開館で、草野さんも初めてだという。
「東大が誕生したのは、西洋に追いつこうとしていた時期です。展示を見ると、彼ら東大の医学者たちが短期間で追いつき、凌駕していったことがよくわかります。先人たちの偉大さに、感心しきりですね」と草野さん。
注射器や体温計など明治時代の医療器具や貴重な医学書の展示、人工がんの研究など世界的な業績の紹介、健康チェックコーナーなど、体験もできる博物館だ。
「最先端の医療の知識まで学べるというのも、またいいですね」
日本の医学史を俯瞰する|東京大学医学部・医学部附属病院
健康と医学の博物館



東京大学本郷キャンパス

東京都文京区本郷7-3-1
東京メトロ丸ノ内線本郷三丁目駅より徒歩約8分
東京大学医学部・医学部附属病院 健康と医学の博物館
東大病院・南研究棟1階
電話:03・5841・0813
開館:10時〜17時(最終入場16時30分)
休館日:水曜(水曜を含め祝日は開館)、年末年始(12月29日〜1月3日)
入館料:無料
写真協力/PIXTA

