何かを決めるとき、なかなか答えが出せずに悩むことってありますよね。どっちがいいんだろう? もう少し考えたい……そんな気持ちは誰にでもあると思います。今回は、そんな瞬間に使える表現や使い方を見ていきましょう。
さて、今回ご紹介するのは “on the fence”です

目次
“on the fence”の意味は?
「迷う」を表す英語表現
動物行動学者ジェーン・グドール博士のことば
最後に
“on the fence”の意味は?
“on” は「〜の上に」、 “fence ” は(フェンス、さく)で、“on the fence” を直訳すると、「フェンスの上にいる」となります。そこから転じて、
正解は……
「迷っている、どっちつかずの」という意味になります。
フェンスの上にいて、どちら側に行こうか迷っている。つまり、どのように選択をすればいいかわからず、考えている状態をさす表現です。「迷う」「悩む」「まだ決まっていない」などの意味として日常的に使われています。
『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)には、「((通例けなして))はっきりしない態度でいる,ひより見をする,ほらが峠を決め込む.」と書かれています。
例えば、
1. I’m still on the fence about going to the party.
(パーティーに行くかどうかまだ迷ってるんだ。)
2. We were always divided and on the fence between udon and soba.
(うどんかそばか、私たちはいつも意見が分かれて決められないの。)
会話例
Little sister:Should I get chocolate or vanilla? I’m on the fence!
(妹: チョコレートとバニラ、どっちがいいかな。迷う!)
Big brother:Why not both?
(兄: 両方じゃだめなの?)
Little sister:Wait… I can do that?!
(妹:え…。そんなことしていいの?)
Big brother:If you’re on the fence, you might as well get both!
(兄:迷ってるなら、両方にしちゃう方がいいよ。)

「迷う」を表す英語表現
英語には「迷う」や「悩む」という気持ちを表すさまざまな表現があります。今回は、特に日常でよく使われる3つのフレーズをご紹介します。
1. I wonder if I should _____.(〜すべきかどうか迷う)
一般的な表現で、日常のちょっとした迷いや悩みを表します。
I wonder if I should get a haircut.
(髪を切るべきか迷っています。)
2. Can’t decide …(決められない)
選択肢があるものの、どちらを選ぶか決められないときのフレーズです。
I can’t decide what to wear to the party tonight.
(今夜のパーティーに何を着ていくか決められないの。)
3. Torn between A and B(AとBの間で悩んでいる)
“torn”は(引き裂かれる)という意味です。選択肢の間で強く迷う様子を表します。
I’m torn between staying in my hometown and moving to a big city.
(地元に残るか、都会に引っ越すかで悩んでます。)
悩みの度合いによって微妙なニュアンスの違いがあります。ぜひ活用してください。
動物行動学者ジェーン・グドール博士のことば
イギリス出身のジェーン・グドール博士は、動物行動学研究の先駆者として活躍してきました。チンパンジーが道具を使うことを発見したことでも知られています。
博士の研究の原動力は、学術的な名声よりも、好奇心と情熱。その姿勢は、観察対象であるチンパンジーに名前をつけるなど、従来の枠にとらわれない独自の研究方法にも表れています。彼女はチンパンジーの行動を細やかに記録し、嘆きや怒り、喜び、親子の絆といった感情の存在を明らかにしました。

彼女が設立した「ジェーン・グドール・インスティテュート(JGI)」、また1991年に始まった環境保護プログラム「ルーツ&シューツ(ROOTS & SHOOTS)」は、あらゆる世代の若者を対象とした世界的な活動です。参加者一人ひとりが、自ら選んだ実践的なプロジェクトに取り組み、気候変動や森林破壊、生態系の保全など、未来へとつながる取り組みを続け、新たな希望の芽を育んでいます。
以下は、国連平和大使としての彼女のメッセージです。
“What you do makes a difference, and you have to decide what kind of difference you want to make.”
― Jane Goodallあなたの行動は世界に影響を与えます。そして、どのような影響を与えたいのかを決めるのはあなた自身です。
引用元:ルーツ&シューツ(ROOTS & SHOOTS)
ジェーン・グドール
人も、動物も、自然も——すべてを分け隔てなく敬うことの大切さを、ジェーンは語っています。
最後に
ジェーン・グドール博士は、私たちは自然と調和しながら、平和な世界を築けると語ります。国家や宗教、文化の違いに関係なく、すべての人が共に生きる未来へと歩んでいこうと呼びかけています。
私たちの毎日は、大きなことから小さなことまで、たくさんの選択の連続です。できることなら、失敗せずにスムーズに進めたいと思います。でも、本当に大切なのは、成功や失敗ではなく、迷い続ける “on the fence” の状態から、一歩踏み出して “jump the fence” (ジャンプ)する勇気なのかもしれません。その一歩が、やがて調和へとつながっていくと信じて。
次回もお楽しみに!
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com
