戦後、その半生をかけて草屋根のある民家のある風景を追い続けた洋画家、向井潤吉(1901-1995)。向井は、全国各地の民家を描く旅の中で、数々の名峰に出会いました。
そして、特徴的な姿を見せるそれぞれの山容を的確にとらえ、その場で感受した心象をも交えて次々と描き出していったのです。
本展では、そんな向井潤吉が描いた山と民家が一体となった作品を、厳選して展観します。
本展の見どころを、世田谷美術館・学芸部の池尻豪介さんにうかがいました。「向井潤吉の作品は、しばしば山が遠景に配置される構図になっています。雪山や、夏空を背に青くかすむ山など、山の表情は巧みに描きわけられ、近景の草木の表情と響き合って、その土地の季節感が画面にいきわたっています。
本展では、岩手山、妙高山、白馬岳、八ヶ岳、富士山といった、いわゆる「百名山」に数えられる名峰をはじめとする山々が登場します。
日本の四季折々の風景に向き合いつづけた、画家の眼差しを感じていただければと思います」
日本の原風景に出会える展覧会です。ぜひ足をお運びください。
【向井潤吉が描いた 山と民家】
■会期/2016年12月17日(土)~2017年3月20日(月・祝)
■会場/世田谷美術館分館 向井潤吉アトリエ館
■住所/東京都世田谷区弦巻2-5-1
■電話番号/03・5450・9581
■料金/一般200(160)円 大高生150(60)円 65歳以上・中小生100(80)円 ( )内は20名以上の団体料金 ※障がい者(要証明書)は100(80)円、小・中・高・大学生の障がい者(要証明書)は無料、介助者1名まで無料、中小生は土・日・祝・休日は無料
■開館時間/10時から18時まで(入館は17時30分まで)
■休館日/月曜日(ただし1月9日、3月20日は開館)、年末年始(12月29日~1月3日)、1月10日(火)
■アクセス/東急田園都市線駒沢大学駅西口より徒歩約10分、東急世田谷線松陰神社前駅より徒歩約17分、渋谷駅より東急バス(渋05)弦巻営業所行きで「駒沢中学校」下車徒歩約3分
取材・文/池田充枝
1989年「サライ」