
世界で活躍している第一線のエリートの8割が非ネイティブといわれています。英語圏出身ではない彼らは、「たくさん英単語を知っているから話せる」というわけではありません。少ない量の基本単語の「使い方」を工夫することで、1つの単語から英語表現を5倍にも10倍にも増やし、「ネイティブと渡り合う英語力」を身に付けているそう。
Xのフォロワー数が1万人を超える「社会人のための英語コーチ」であり、自身も現役の外資系企業で活躍するはじさんが、少ない英語をうまく工夫してたくさんの英語を話すためのスキルを伝授する『世界の非ネイティブエリートはたった100語で話している』(SBクリエイティブ)。中学生レベルの単語をしっかり覚えるだけでエリートと呼ばれる海外のビジネスパーソンと、まったく問題なく仕事ができると、はじさんは言います。グローバル市場の最上位で活躍している日本企業のトップや、世界で活躍する日本人アスリートたちも難しい単語を使わずに、しっかりと想いを伝えています。
シンプルで知的な「基本的な英単語」の使いこなし方は、これまで英語の語彙を増やすためにいろんな暗記法を試しては挫折をしてきた人にとっては、目からウロコの勉強法といえます。今回のテーマは会話の基本である「単語」。1つで多くの表現ができる単語をご紹介します。
※本書には各所にQRコードが掲載されています。スマートフォンでコードを読み取ると、例文の音声を聞けます。
文/はじ
「簡単な英語=イケてる」がグローバルスタンダード
英語を学びたい! 自由に話せるようになりたい! という人の多くは、「ネイティブと同じぐらいのレベルになりたい」と思っているでしょう。またビジネスで英語を使う人も、「できれば世界のエリートと英語で渡り合えるレベルになりたい」と願っている方が、大多数だと思います。そういう人たちは、英語の語彙を増やすのに、単語帳で必死に覚えたり、いろんな暗記法を試したりされるかもしれません。間違いではありませんが、難しい言葉をたくさん覚える必要は、ありません。はっきり言って、中学生レベルの単語を、しっかり覚えるだけで充分。それでエリートと呼ばれる海外のビジネスパーソンと、まったく問題なく仕事できます。
私はいま国内の某企業に勤める会社員で、海外部門を担当しています。ほぼ毎日、英語ネイティブ・非ネイティブの取引先の担当者たちと、オンラインや対面で商談をしています。もちろん話す言葉は、すべて英語。いわゆる「英語で働いている」日本人ビジネスパーソンのひとりです。そんななか、海外の非ネイティブエリートたちとたくさん仕事をしているうちに、明確に気づきました。できる人はみんな英単語の語彙量が多いのではなく、シンプルで少ない単語を使いこなし、伝えたいことを伝えるのが上手い。むしろ簡単な単語で、会話を組み立てていくのがグローバルビジネスではスタンダードであり、クールな印象を持たれています。
have
haveは皆さんが知っているとおり、「所有する」の意味があります。その他に「(スキルを)持っている」「開催する」「含む」など、「持つ」イメージから想起される意味を、いくつも同時に備えています。「持つ」という状態を大きく捉え、そこから派生する「患う」「経験する」など、広い用途にも使えます。
表現できる意味(1):所有する(own)
haveが表現できる最初の意味は「所有する」。難しい単語はownです。own以外に、haveにも所有するという意味があるので、このWe have a new office building.で言い換えることができます。
「私たちは新しいオフィスビルを所有しています」
難単語:We own a new office building.
言い換え:We have a new office building.
表現できる意味(2):持っている(possess)
haveが表現できる次の意味は「持っている」。難しい単語としてはpossessを使います。意味は通じますが、possess【possesses】を使わなくても、簡単にhave【has】で言い換えができます。
「彼女はプロジェクト管理の豊富な経験を持っています」
難単語:She possesses wide experience in project management.
言い換え:She has wide experience in project management.
表現できる意味(3):開催する(organize)
文章を少し意訳すると「会社は新製品の検討のための打ち合わせをしました」という内容です。難しい単語としてはorganizeがあります。でもhave【had】にも開催するという意味があるので、置き換えて表現することができます。
「会社は新製品の検討のための会議を開催しました」
難単語:Our company organized a meeting to discuss our new product.
言い換え:Our company had a meeting to discuss our new product.
last
lastは「続く」「持続する」「生き残る」など、広い意味で使われる単語です。基本のイメージは「最後の」。シャットアウトという意味での最後ではなく、続いていく状態のまま、現時点での「最後」を示す場合にも使われます。「最後」というより「最新」のイメージを含めて、覚えてもらうと良いでしょう。
表現できる意味(1):続く(continue)
「続く」を意味する難単語はcontinueです。このcontinueはlastに置き換えることができ、同じ「続く」の意味を表現できます。
「会議は予算が決まるまで続きます」
難単語:The meeting will continue until we decide a budget.
言い換え:The meeting will last until we decide a budget.
表現できる意味(2):持続する(endure)
「持続する」の意味は難単語でendureと言います。endure【endured】もlast【lasted】に置き換えることができます。
「パートナーシップは10年以上にわたって持続しています」
難単語:The partnership has endured for over a decade.
言い換え:The partnership has lasted for over a decade.
表現できる意味(3):生き残る(survive)
「生き残る」を表す単語はsurviveです。このsurviveと同じ意味をlastも持っており、同じ内容のまま、言い換え表現ができます。
「小規模な事業は独自の製品を提供することで生き残ることができます」
難単語:Small businesses can survive by offering unique products.
言い換え:Small businesses can last by offering unique products.
* * *

世界の非ネイティブエリートはたった100語で話している
はじ
SBクリエイティブ 1,760円(税込)
はじ
社会人のための英語コーチ。
1992年生まれ、愛知県出身。TOEIC355点から国内独学で英語学習に取り組み、TOEIC935点を達成。大手旅行会社で海外セールスとして、全国トップ5のセールスマンになり、新人賞を受賞。現在は製造メーカーでグローバル経営企画に所属し、海外子会社4拠点の経営管理に従事。認定英語コーチ資格を取得し、諦めずに英語を学び続けた経験やグローバルでのビジネス経験をもとに、英語コーチとして活動。英語を身につけたいビジネスパーソンに向けて、オンライン英語コーチングを提供。伸び悩んでいたTOEICスコアが3か月で600点→830点と230点UPした生徒やビジネス英語を習得して外資系企業への転職を成功させた生徒を多数輩出。指導実績が評価され、大企業の語学研修での英語コーチング実績あり。目標達成に向けたポジティブで的確なコーチングが好評で、顧客満足度は5段階中4.7評価を獲得。社会人からの英語学習と習慣化のコツを発信するXのフォロワー数は1万人を超える。
