コラボ番組見るべきか否か

『歴史探偵』の一場面。紙を調査。(C)NHK

I:さて、先日NHKの『歴史探偵』という番組の制作統括を務める河井雅也さんの話を聞く機会がありました。『鎌倉殿の13人』で比企能員役を務めた佐藤二朗さんがMCをやっている番組ですね。河井さんは、「歴史にさほど詳しくない方にも楽しいでほしい」といったようなことを言っていました。

A:かつて『歴史への招待』(1978~1984)という番組をわくわくしながら見ていたことを思い出しました。その『歴史探偵』で『光る君へ』とコラボするということでした。この種の番組が大河ドラマの時代を特集する際に、時として大河ドラマと世界観を共有していないことがあったりして「もやっ」とすることもあるのですが、今回の『歴史探偵』は攻めの内容になっていて面白そうですよ。

I:なるほど。どんなところが面白そうなのでしょうか。

A:『源氏物語』執筆の際にどのくらいの紙が必要だったのかという検証など興味深いと思いました。番組では、慶應義塾大学の佐々木孝浩教授に検証してもらっています。この番組では『光る君へ』の時代考証を務めている倉本一宏先生も登場しているのですが、実は倉本先生も同様に『源氏物語』では何枚の紙を使っているのか著書などに記述しています。両者の研究を比較して出してくれたらよりわかりやすかったとは思います。とはいえ、視聴者の関心に応えようという姿勢には感銘を受けました。『光る君へ』の劇中では、紙は越前和紙を使用ということで展開されていましたが、番組では「唐の紙」。なかなか攻め込んでくるなとわくわくしました。

I:ひらがなの「発明」と「普及」についても尺を割いていますよね。

A:はい。紫式部や清少納言に代表される平安文学誕生の背景には、ひらがなの発明があったということを解説してくれるのはありがたいです。

I:道長役の柄本佑さん、一条天皇役の塩野瑛久さんも登場する豪華版『歴史探偵』は、28日の22時からですね。リポーター役のNHKアナウンサーの謎の口ずさみシーンにも注目です。

A:そんなこといったら怒られますよ(笑)。

まひろに出仕を促す道長。(C)NHK

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。「藤原一族の陰謀史」などが収録された『ビジュアル版 逆説の日本史2 古代編 下』などを編集。古代史大河ドラマを渇望する立場から『光る君へ』に伴走する。

●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2024年2月号の紫式部特集の取材・執筆も担当。お菓子の歴史にも詳しい。『光る君へ』の題字を手掛けている根本知さんの仮名文字教室に通っている。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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