定子とききょうの関係は一種の「ラブストーリー」
A:そして、最後まで定子の側にいたのが、ききょう(清少納言/演:ファーストサマーウイカ)でした。高畑さんは、定子とききょうの関係を一種の「ラブストーリー」のようでもあると言っています。
最初の頃は本当に仕える者とそれを受ける者という適度な距離があったと思うんですけど、やっぱりどんどん定子が追い詰められて、周りに頼れる者がいなくなった時に、最後までついてきてくれたのがききょうで、唯一、荒波の中で掴めた花みたいな感じの印象でした。最後の方の台詞で、「私の気持ちをわかってくれるのはそなただけだ」ってききょうに言うんですよね。それは本当に、家族でもなく、一条天皇でもなく、ききょうだったっていうのは、一条天皇との愛というのはすごく定子の中で大きいトピックですけど、でも、ききょうとの女同士の強い、「ラブストーリー」ではないですけれど、ほかの者に邪魔されないつながりみたいなものがどんどん、撮影を追うごとに定子の中で大きいものを占めてきたなと思います。それにつれて、ウイカちゃんともすごく親密になれたなと感じています。
I:『枕草子』には、定子の死は描かれていなくて、定子の華やかなりし頃の、美しい思い出だけを、血の通った思い出だけを記しているんだなと、改めて思いました。
A:高畑さんはもちろん、ファーストサマーウイカさんもほんとうにほんとうにはまり役でしたね。改めて、また『枕草子』を読もうと思いました。
●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。「藤原一族の陰謀史」などが収録された『ビジュアル版 逆説の日本史2 古代編 下』などを編集。古代史大河ドラマを渇望する立場から『光る君へ』に伴走する。
●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2024年2月号の紫式部特集の取材・執筆も担当。お菓子の歴史にも詳しい。『光る君へ』の題字を手掛けている根本知さんの仮名文字教室に通っている。猫が好き。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり