定子を熱演した高畑充希さん、(C)NHK

ライターI(以下、I):長らく物語の中心的な場所にいた中宮改め皇后定子(演・高畑充希)が亡くなりました。切ないですね。私は正直言いますと、定子という人物に若干、もやっとすることもありました。だって、一条天皇(演・塩野瑛久)に、「私にはもう他に行くところがなくなります」と言ってしまうなど、一条天皇の立場を考えないのかと感じたこともありました。

編集者A(以下、A):ドラマでの設定上、定子にそういう感情を持つ人はいたと思います。そこがまたすごいなと思うんですよ。ドラマの中で孤立していく定子は、視聴者からも距離を置かれてしまい、気付いたら、今回放送された第28回でのような寂しい立場に置かれてひっそりと亡くなっていくわけです。

I:そんな定子を演じ切った高畑充希さんから、『光る君へ』出演者によるシリーズ「君かたり」でコメントが寄せられています。

(定子は)常に、何かと何か、両極のものに引っ張られながらその中でギリギリで自分を保っているような印象がありました。政治と恋愛とか、子供と家族とか、子供と天皇とか、いろいろな自分じゃないものに引っ張られながらも、ギリギリで立っている役だったので、シーンを経るにつれて、わかりやすい強さというよりは、もうちょっと達観していく強さをどんどん得ていくような印象がありました。

A:高畑さんというと、これまでの現代を舞台としたドラマなどでは明るい女性を演じる印象が強く、『光る君へ』でも、屈託ない明るさで、一条天皇のオアシス的な存在だったと思うのです。それが、政治や人間関係に翻弄されて、生きていくための強さを身につけ、それでもなお勝てなくて、最後は状況を直視する強さを身につけたという気がします。

I:「私は我が家のことばかり考えておりました。御上のお苦しみよりも、己の苦しみに心が囚われておりました」という言葉に、じんときました。「一帝二后」について、かつての定子なら泣きながら嫌だと言ったかもしれませんが、今回は一条天皇のためを思って承諾するんですよね。高畑さんもこう言っています。

強がりで言っているわけではないというか。最初の頃はピュアでユーモアのある明るい人だった印象だったんですけれど、年々、みんなよりももうちょっと、一個フラットな次元でものを考えるというか、一条天皇が好きだから一条天皇のためにどうしてあげたら一条天皇がいいようになるんだろうかとか、そういう、もうひとつ大人な意味での愛情があったのかなと思いました。

定子とききょうの関係は一種の「ラブストーリー」。次ページに続きます

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