紫式部を育んだ平安京に始まり、『源氏物語』所縁の宇治、物語の構想を得たと伝えられる石山寺、藤原宣孝と恋文を交わした越前の地に、紫式部の残り香を求めて旅をする。
父藤原為時が越前守に任官されたことで、越前に下向した紫式部。都から遠く離れた当地で、未来の夫藤原宣孝と交わした歌などが残されている。
時代考証に基づいて造園された平安王朝式庭園のある紫式部公園や、越前和紙で作った為時一行の越前下向行列や往時の食事などを再現して展示する「紫ゆかりの館」は、見どころも多い。
紫式部公園
紫ゆかりの館
為時の職場であり、紫式部一家が住んだ越前国衙(こくが)(役所)跡は、解明のため発掘調査が進められている。近く、紫式部に関係する遺物が発見されることに期待したい。
1年ほどを越前で過ごし、ひとり都に戻った紫式部は、翌年、宣孝と結婚。紫式部の生涯で最も幸せだった時期であろう。
本興寺(越前国衙推定地跡)
【立ち寄り処】ドラマの舞台越前で、紫式部が見た情景を追体験する
光る君へ 越前 大河ドラマ館 (武生中央公園 屋内催事場「しきぶきぶんミュージアム内」)
大津の大河ドラマ館とともに、番組の衣装や小道具などを展示。出演者のインタビューをはじめ、さまざまな映像で大河ドラマの世界を楽しむことができる。
取材・文/平松温子 撮影/奥田高文、小林禎弘
※この記事は『サライ』本誌2024年2月号より転載しました。