はじめに-西郷隆盛とはどんな人物だったのか?

西郷隆盛は、幕末から明治初期にかけて活躍した軍人・政治家です。薩摩藩の下級藩士でありながら、藩主・島津斉彬(なりあきら)に見出され、側近として活躍した隆盛。倒幕の指導者として、薩長同盟や戊辰戦争を遂行し、大久保利通(としみち)・木戸孝允(たかよし)とともに、「維新の三傑」として高く評価されました。

維新後は、新政府の参議・陸軍大将となりますが、征韓論を巡って大久保利通らと対立し、下野してしまいます。新政府との対立を深めた隆盛は、「西南戦争」で彼らと争うこととなるのです。新政府樹立に貢献したものの、最後は彼らと決別した隆盛。

強い信念を持った指導者というイメージがありますが、実際の西郷隆盛はどのような人物だったのでしょうか? 史実をベースにしながら、紐解いていきましょう。2023年NHKドラマ10『大奥 Season2』では、徳川家を潰そうと画策する、新政府軍の指揮官(演:原田泰造)として描かれます。

西郷隆盛

目次
はじめに―西郷隆盛とはどんな人物だったのか?
西郷隆盛が生きた時代
西郷隆盛の足跡と主な出来事
まとめ

西郷隆盛が生きた時代

西郷隆盛は、文政10年(1828)に生まれます。隆盛が生まれた時代は、「化政文化」の最盛期にあたり、華やかな町人文化が花開いていました。『東海道中膝栗毛』で知られる十返舎一九(じっぺんしゃ・いっく)や、『富嶽三十六景』の作者・葛飾北斎が活躍したのも、化政文化の時代です。

しかし、11代将軍・家斉(いえなり)が幕政を顧みず、贅沢三昧な生活を続けたことで財政は悪化。幕府はいよいよ終焉へと向かい、激動の幕末が始まることになるのです。

西郷隆盛の足跡と主な出来事

西郷隆盛は、文政10年(1828)に生まれ、明治10年(1877)に没しました。その生涯を、出来事とともに紐解いていきましょう。

下級武士の子として生まれる、島津斉彬に見出される

西郷隆盛は、文政10年(1828)、薩摩藩の下級武士・西郷吉兵衛の子として生まれます。兄弟が多く、貧しい幼少期を過ごしていたとされる隆盛。後に明治維新の指導者として、共に活躍することとなる大久保利通は竹馬の友で、本当の兄弟のような関係性だったそうです。

その後、町役人になった隆盛は、27歳まで書役として勤めることに。隆盛による、農政改革を求める意見書に目を通した薩摩藩主・島津斉彬は、彼に興味を持ちます。そして、黒船来航後の安政元年(1854)、庭方役に抜擢された隆盛は、斉彬の右腕として活躍することとなるのです。

当時、13代将軍・家定(いえさだ)に跡継ぎがいなかったことから、将軍継嗣問題が発生していました。斉彬は、一橋家当主・一橋慶喜を支持する一橋派の筆頭だったため、隆盛を上手く活用して、慶喜を擁立しようと考えたのです。

しかし、一橋派と対立する南紀派の筆頭・井伊直弼(なおすけ)が大老に就任したことで、次期将軍は南紀派が支持する徳川慶福(よしとみ、後の家茂)に決定してしまいます。自身の計画を邪魔する敵として、直弼に目をつけられた隆盛。さらに追い打ちをかけるように、斉彬が急死してしまい、隆盛は窮地に立たされることとなったのです。

「安政の大獄」と冬の時代

安政5年(1858)、直弼は一橋派を徹底的に弾圧します。この事件は「安政の大獄」と呼ばれ、隆盛も幕府に追われる身となってしまいました。追い詰められた隆盛は、同志・月照とともに投身自殺を図りますが、隆盛だけ一命を取り留めます。

幕府を憚った薩摩藩によって、隆盛は奄美大島に送られ、しばらく滞在することに。親しみやすい性格だったとされる隆盛は、島民から慕われていたそうです。その後の文久2年(1862)、薩摩藩の国父として実権を握っていた島津久光(ひさみつ)が、公武合体運動に着手するにあたって、隆盛を薩摩藩に呼び戻しました。

ところが、隆盛は久光の計画に否定的だったため、関係性がこじれることに。隆盛の態度に腹を立てた久光は、彼を罪人として沖永良部島(おきのえらぶじま)に流してしまったのです。なかなか思い通りに事が運ばなかったこの時期は、隆盛にとって冬の時代だったと言えるのではないでしょうか?

薩摩藩に復帰、新政府樹立に貢献する。次ページに続きます

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