平賀源内にまつわる逸話

平賀源内は奇才ぶりだけでなく、独特の個性や行動により、多くの逸話を残しています。源内のエピソードからは、奇想天外な発想や社会に対するユーモア、時代を超えた発想力、そしてときに破天荒ともいえる性格が垣間見えます。

「土用の丑の日」の発案

夏の「土用の丑の日」に鰻を食べる習慣を広めたのは、平賀源内の発案だといわれています。なじみの鰻屋を流行らせようと、源内は「土用の丑の日」という看板を掲げることを提案。

今でも続く習慣を考えると、源内の機転のよさと宣伝の才覚が伝わってくるようです。

獄死をめぐる噂

源内は獄中で亡くなったとされていますが、密かに老中・田沼意次に助けられ、遠州相良(さがら)でかくまわれているという噂が当時広まっていたそうです。

この伝説めいた逸話は、源内がいかに多面的で、人々の関心を引いたかを示しています。

2023年NHKドラマ10『大奥 Season2』で描かれた、平賀源内

『大奥 Season2』(以下『大奥』)のベースとなったのは、漫画『大奥』(原作:よしながふみ)。江戸時代を舞台に「男女の役割が逆転した日本」を描いた、独特の設定が魅力の物語です。

そのドラマの「医療編」で出てきた平賀源内(演:鈴木杏)は、「赤面疱瘡」(せきめんほうそう、物語に描かれた奇病のこと)撲滅に挑む革新的なキャラクターとして登場しました。弟を疫病で亡くした過去を持つ源内は、男装して遊学し、医療の知識を深めながら、若き医師たちと協力し、「赤面疱瘡」の解明に奔走します。

『大奥』で描かれた源内の魅力は、強い情熱と快活さ。演じた鈴木杏さんの早口でエネルギッシュなセリフ回しは、視聴者を圧倒しました。男装という設定が物語の中で源内を自由な存在にし、時には当時の社会のしがらみを超えた挑戦を可能にしていました。

2025年NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で描かれる、平賀源内

『べらぼう』で描かれる平賀源内は、江戸時代という時代の枠に収まりきらない奇才として描かれるようです。安田顕さんが演じる源内は、まさに多才な魅力の塊。

讃岐・高松藩の足軽の子として生まれた源内が、長崎での遊学を通じて得た知識や経験を武器に、江戸の中心で異彩を放つ姿は、時代を超えた自由の象徴ともいえるでしょう。

この物語における源内の役割は、吉原と江戸城をつなぐ橋渡し役。吉原の出版業者である蔦屋重三郎、そして幕府老中の田沼意次と協力しながら、源内は文化の発展に寄与します。

『大奥』と『べらぼう』、どちらの脚本も手掛けるのは森下佳子さん。繊細で奥行きのある物語作りに定評のある森下さんが、『べらぼう』では平賀源内という奇才をどのように描き出すのか、期待が高まります。

まとめ

平賀源内は、江戸時代中期を代表する奇才として、多岐にわたる分野で功績を残しました。彼の活動は、科学技術、文学、産業と広範囲にわたり、現代にも影響を与えています。その一方で、挑戦を続けた結果、多くの挫折や困難にも見舞われました。

源内の生涯は、革新を求め続けた江戸時代の一つの象徴ともいえるでしょう。彼が追い求めた「国益」の思想と実践は、後世に語り継がれるべき貴重な遺産となっています。

※表記の年代と出来事には、諸説あります。

文/菅原喜子(京都メディアライン)
肖像画/もぱ(京都メディアライン)
HP: http://kyotomedialine.com FB

引用・参考図書/
『日本大百科全書』(小学館)
『世界大百科事典』(平凡社)
『日本人名大辞典』(講談社)
『国史大辞典』(吉川弘文館)
『新版 日本架空伝承人名事典』(平凡社)

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