円谷作品はどのような時代背景から生まれ、今に息づいているのか。円谷の故郷の関連施設を訪ねた。
円谷英二の生家で一服。貴重な資料も展示
大束屋(おおつかや)
円谷英二ミュージアムが入る「tette(テッテ)」の近くに、円谷英二の生家があった。生家は明治期以前から「糀屋(こうじや)」(麹味噌醸造業)を始め、屋号は「大束屋」と呼ばれた。英二は15歳(1916年)で上京するまでここで過ごした。
大束屋の屋号を引き継ぎ、生家のあった場所でウルトラマン関連グッズの販売店と喫茶店を営むのが、円谷誠さんだ。誠さんは英二の従兄弟の子で、年齢差は58歳というが、誠さんは幼い頃に、帰郷した英二のことを憶えているという。すでに『ウルトラマン』で名声を得ていた頃だ。
「私の祖父と静かに話していたのを憶えています。小学1年生だった私はウルトラマンの絵を描いて英二さんに見てもらいましたが、あまり反応はありませんでした。恥ずかしかったですね(笑)」
「糀屋」は1980年代の中頃に廃業し、象徴だった蔵も取り壊された。生家の思い出を残そうと、誠さんは蔵のミニチュアを作り、店内に展示している。
販売店も喫茶店も、ウルトラマンファンが立ち寄る須賀川の名所である。ここを訪ねると、円谷英二をより身近に感じることができるだろう。
大束屋珈琲店
福島県須賀川市中町14
電話:0248・73・2488
営業時間:8時~20時(モーニング8時~11時、ランチタイム11時~14時)
定休日:火曜、年始
交通:JR須賀川駅より徒歩約20分 28席
「特撮の町」の各所にモニュメントや造形が
『SHOT M78大束屋』前のベンチに、前出(https://serai.jp/hobby/1133507)のモニュメントのひとつである「友好珍獣 ピグモン」が。ピグモンと並んで座り記念撮影をするなど「特撮の町」の雰囲気を楽しめる。モニュメントのほか、街灯や郵便ポストなど、通りのいたるところにウルトラマンシリーズにちなむ造形があるので探してみては。
取材・文/宇野正樹 撮影/藤田修平
※この記事は『サライ』2023年7月号より転載しました。