武田方についた大岡弥四郎を演じた毎熊克哉さん。(C)NHK

編集者A(以下A):『どうする家康』第20回では、武田勝頼(演・眞栄田郷敦)に調略されて寝返ってしまった大岡弥四郎(演・毎熊克哉)をメインに展開されました。

ライターI(以下I):『三河物語』では「大賀弥四郎」と称される人物ですが、家康(演・松本潤)と瀬名(演・有村架純)、信康(演・細田佳央太)の人生を根底から揺るがすことになる事件の発端はこの男のせいなんですよね。

A:そんな大岡弥四郎を演じたのが毎熊克哉さん。子供の頃に見た映画『E.T.』に刺激を受けて映画作りに興味を持つようになったそうで、最近では『万引き家族』『空飛ぶタイヤ』といった話題を呼んだ映画や、NHK連続テレビ小説『まんぷく』などのドラマで活躍している俳優さんです。第20回で初登場にして、重要な役どころを演じてくれました。

まずは弥四郎への思いを語ってくれました。

冒頭のシーンで「命に代えて岡崎を守りまする」という台詞があるのですが、これが弥四郎の覚悟だと思います。過酷な戦も、謀反を企てることも、命がけですからね。裏切り者の役ですが、台詞にほとんど嘘がないのが面白かったです。

I:「台詞には嘘がない」という言葉が印象深いですね。前線で戦う兵らの思いを熱く語っていた姿が思い出されました。あそこまで本音をぶつけることができて、それはそれで本望だったのではないかと感じたりしました。

実はそのくだりについてはより詳細に語ってくれていたのです。そのコメントをどうぞ。

演出の野口雄大さんと共有していたのは、弥四郎の行動を「私利私欲に走った裏切り」にしない、ということでした。弥四郎の言葉に心を動かされる人がいるかもしれない。作品は家康側の視点で描かれていくからこそ、正義とはなんぞや? と考えられるシーンになれば良いなと思って臨みました。初めての大河ドラマはとてもドキドキしましたが、始まってみるとあっという間でした。欲を言えば、家康メンバーの皆様(家臣団)と楽しいやりとりがあるシーンをやってみたかったなと思いつつ(笑)、僕が演じさせていただいた大岡弥四郎が、少しでも作品の面白さに貢献できていれば幸いです。

I:確かに家康家臣団との絡みはあった方が良かったかもしれないですね。

A:伝承では、弥四郎は捕らえられて後に首から下を土中に埋められて、通行人にのこぎりを与えて、じわじわと苦しませながら処刑されたといいます。

I:その残酷なシーンは出てきませんでしたね。

A:実際にあったかどうかはともかく、有名なシーンではありますよね。ちょっと見たかったかなとは思います(笑)。

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『日本はこうしてつくられた3 徳川家康 戦国争乱と王道政治』などを担当。『信長全史』を編集した際に、採算を無視して信長、秀吉、家康を中心に戦国関連の史跡をまとめて取材した。

●ライターI:三河生まれの文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2023年2月号 徳川家康特集の取材・執筆も担当。好きな戦国史跡は「一乗谷朝倉氏遺跡」。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

 

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