最近、パソコンやスマートフォンの普及により、自ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか、「読めるけれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く力が衰えたと実感することもあります。

動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。

「脳トレ漢字」第115回は、「諸刃」をご紹介します。「諸刃の剣」という慣用句を見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。

「諸刃」はなんと読む?

「諸刃」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「しょは」や「もろば」ではなく……

正解は……
「もろは」です。

『小学館デジタル大辞泉』では、「刀剣などで、しのぎを境に両方に刃がついていること。また、その刃物」と説明されています。「もろは」には「両刃」の表記もあり、文字通り両辺に刃がついた剣のことです。

そして慣用句の「諸刃の剣」は「一方では非常に役立つが、他方では大きな害を与える危険もあるもののたとえ」という意味になります。これは、両辺に刃のついた剣は、相手を切ろうとして振り上げると、自分をも傷つけるおそれのあることが由来です。例えば、病に良く効く薬でもその分副作用も強い場合、その薬は「諸刃の剣」といえるでしょう。

ちなみに「剣」は「けん」とも読みますが、「諸刃の剣」の場合は「つるぎ」が正しい読み方になります。

「諸刃」の漢字の由来とは?

「諸刃」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「諸」は「二つ一組になっている物の、両方」を、「刃」は「刃物」を意味しています。この二つが組み合わさっているため「諸刃」は「刀剣などの身の両方ともに刃のあるもの」を指すのです。

「諸」は「諸~」と名詞の上について複合語をつくります。「諸刃」や「諸手」などは「二つの、両方の」の意です。この他にも「諸君(しょくん)」や「諸々(もろもろ)」なども「諸」の字が使われています。

「刀」と「刃」の違いは?

「刃(やいば)」と「刀(かたな)」、漢字はよく似ていますが、意味は明確に違います。「刃」とは「刀やハサミなどの切れる部分のこと」であるのに対し、「刀」は「武器として使った片刃の刃物」を指します。つまり、“刀”の切れる部分が“刃”なのです。

ですから「身の両方ともに刃があること」を指す「諸刃」は「刃」が適切。「諸刀」などとしないよう注意しましょう。

***

いかがでしたか? 今回の「諸刃」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 見知った慣用句も、漢字という視点から知ると、また違った面白さが発見できるのではないでしょうか。

来週もお楽しみに。

文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB

 

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