最近、パソコンやスマートフォンの普及により、自ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか、「読めるけれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く力が衰えたと実感することもあります。
動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「脳トレ漢字」第106回は、「無花果」をご紹介します。夏に美味しい、瑞々しさのあるアノ果物です。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「無花果」はなんと読む?
「無花果」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「花」の「無」い「果」実とは一体……
正解は……
「いちじく」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「クワ科の落葉高木。熟すと暗紫色になる」と説明されています。「不老長寿の果物」と呼ばれるほど豊富な栄養素を含む「無花果」。そのまま食べるのはもちろん、ジャムやコンポートなどにして楽しまれる果物です。
その歴史は古く、イラク周辺で6000年以上前から栽培されていたといわれています。古代エジプトの壁画に描かれ、旧約聖書にも書かれているほどです。日本には江戸時代初期、ペルシャ(現在のイラン)から中国を経て、長崎に伝来したとされます。
「無花果」の漢字の由来とは?
なぜ「いちじく」を“花”が“無”い“果”物と書くのでしょうか? それはいちじくのある特徴に由来しています。
我々が食用にしている果実のように見える部分は、厳密には果実ではなく、花にあたります。いちじくは隠頭花序(いんとうかじょ)と呼ばれる花を付ける木で、可食部は花をつける枝が肥大化したものなのです。切った時に粒々のように見えるものが花になります。
よって、いちじくは花を咲かせずに実をつけるように見えることから「無花果」という字がつけられたのです。
「いちじく」の名の由来は?
「いちじく」という名前の由来には、諸説あります。
例えば、一日に一個ずつ熟す(または一か月で熟す)過程を「一熟(いちじゅく)」と呼び、それが訛って「いちじく」になった、という説です。他にも、中国名の「映日果(えいじつか)」が変化したとする説があります。
ちなみに、日本に伝わった江戸時代の頃にはいちじくは「蓬莱柿(ほうらいし)」や「南蛮柿(なんばんがき)」などと呼ばれたようです。
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いかがでしたか? 今回の「無花果」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 漢字を紐解いていくと、それが示す物の知識の吸収にも繋がります。夏を迎える季節、旬の「無花果」を召し上がってみてはいかがでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB