最近、パソコンやスマートフォンの普及により、自ら字を書く機会がめっきり減少してきました。その影響からか、「読めるけれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのにと、書く力が衰えてしまったと実感することもあるでしょう。
動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことを心がけてください。
「脳トレ漢字」第77回は、「時化」をご紹介します。「時化た顔」や「時化た店」といった表現を目にしたことがあるのではないでしょうか。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「時化」はなんと読む?
「時化」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「じけ」や「じか」ではなく……
正解は……
「しけ」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「雨風のために海が荒れること、海が荒れて不漁であること」と説明されています。また、その意味が転じて、「商店などへの客入りが悪い、不景気」というときにも「時化」が使われます。例文は「時化で海に出られない」や「商店街は時化ていた」などです。
さらに、不景気の意味から派生して、金回りが悪くなると気分が暗くなるところから、「しけた顔(ツラ)」など人の状態も表します。
なお、「時化」の対義語は「凪(なぎ)」です。風が止んで、波がなくなり、海が静まる様子を「凪」と言います。
「時化」の漢字の由来とは?
「時化」を構成する漢字を見ていきましょう。
この言葉は「時化る(しける)」という動詞の連用形から来ており、「時化」の漢字は当て字だとされています。ただ、なぜこの漢字が当てられたのかは不明瞭です。
「時化」の語源
「時化」の語源は、「湿気」を活用させた「湿気る(しける)」と同語源だとされています。かつては「空が曇る」の意味で使われていました。そのうち、「天気が曇る→海が荒れる→不漁」のような意味に変化していったと考えられています。
「湿気る」の当て字という語源の他にも、雨と風を表す「風雨気」や、「日」に対する「陰(かげ)」など、その語源には諸説あります。
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いかがでしたか? 今回の「時化」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 語源を知れば、読みづらい漢字も覚えやすくなるのではないでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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