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「漢方」と聞いてみなさんはどのように思われるでしょうか?

「古くさい」「時代遅れ」「怪しい」「本当に聞くの?」と思われる方も少なくないかもしれません。「JIN-仁-」というテレビドラマをご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、その中でも漢方は、権威ばかりで古くさいものに拘泥している医学として描かれていました。

医療はこの数十年で高度化し、臓器単位、細胞単位で治療法を考えることができるようになりました。その一方で、人間全体を見ることが苦手になってきています。最近では検査結果のみで診察もしない医師が増えてきたり、さらにはコンピューターの導入で、患者さんと目すら合わせない医師もいます。

軽量化やスピードを重んじてきた20世紀来の考え方に疑問を呈し、近年はスローフードやスローライフがはやりつつあります。そんななか医療の現場でも、医師は気がつき始めているのです──「病気を治すこと」=「幸福」ではないことを。

貧困と闘い、人々の平均寿命が短いアジアの地域があります。しかし、子供たちの目は希望に満ちて生き生きとしています。大量生産・大量消費の米国型社会で手にした便利さと同時に日本人が失ったものも多いのです。漢方を知ることは本来の日本の姿を見つめ直すことでもあります。

そもそも漢方とは何か?

日本の国家の成立以前に中国からもたらされた漢方は、原材料である生薬が入手困難であったことなどの理由で、日本化が進みます。

江戸時代に入り、我が国独自のおなかの診察法が確立されるなど、日本化が一気に進み、今の漢方の理論体系ができあがりました。

明治に入り、ドイツ医学の導入で漢方は制度上捨て去られましたが、西洋医学の限界を感じた一部の医師や薬剤師が綿々と受け継いできました。

1970年代になると、「保険診療」という制度上でも漢方は復活し、今では9割の医師が漢方薬を使う時代になりました。その事実こそが漢方が再評価されたことを示しています。

ではその漢方をどのように活用すべきなのか? 本連載では漢方の賢い利用法についてお話していきたいと思います。

文/渡辺賢治(わたなべ・けんじ)

慶應義塾大学環境情報学部教授医学部兼担教授。漢方•薬膳の総合ポータルサイトである漢方デスク(http://www.kampodesk.com)の漢方医学監修を務める。

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