新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっています。感染が疑われる場合、どのように対応したらいいのでしょうか。医師人材総合サービスを提供する株式会社エムステージが、2月17日に厚生労働省が新型コロナウイルスに関する医療機関への受診目安を発表したことを受け、「Dr.なび(医師向け転職・アルバイト求人サイト)」登録の医師向けに、アンケート調査を実施しました。いざという時にしっかり行動ができるよう確認をしていきましょう。

■新型肺炎が疑われる患者さんに来院前にやってほしいことは?

「新型肺炎が疑われる患者さんに来院前にやってほしいことは何でしょうか?」と聞いたところ、(帰国者・接触者相談センターへの事前相談は前提の上で)来院予定の医療機関へ電話での事前連絡が58%、熱の推移など症状の経過や中国への渡航歴や新型肺炎・新型コロナウイルス感染者との接触の有無など状況をまとめておくことが26%でした。
医療機関受診の前に、自身(または家族)の症状や状況をまとめておき、事前に電話での相談が求められています。

▼コメント抜粋
“熱型をしっかり記録し、症状経過を正確に伝えてほしい。来院前の連絡もマストです。”(総合診療科)
“海外渡航歴、接触歴、濃厚接触者の症状をまとめること。”(内科)
“事前に電話してから来院してもらう。病院前まで来たら外から電話してもらう。”(内科)
“症状の経過や、家族で同症状の有無の確認。”(皮膚科)
“新型肺炎の検査ができる医療機関は限られることを理解してもらう”(精神科)

「逆にやってほしくないことは何でしょうか?」と聞いたところ、連絡なしの突然の来院が50%、情報を開示しない(嘘をつく)が14%でした。症状の経過などをまとめておき、事前に電話などで相談後の来院を求められていることがわかります。また症状や所見がないにも関わらず検査を求めることや、たとえ症状があっても検査ができる医療機関が限られていることを理解してほしいというコメントもありました。

■新型肺炎が疑われる患者さんのご家族へお願いしたいことは何でしょうか?

「新型肺炎が疑われる患者さんのご家族へお願いしたいことは何でしょうか?」と聞いたところ、外出を控えて、同居でもできる限り接触を避けるといったコメントが多くありました。衣服や身に着けるものを分けること、自身も検温するなど健康状態に気を付けることが必要です。

▼コメント抜粋
“テレワーク推奨、自宅待機推奨、食事時間を家族とずらし共有を避けること。”(総合内科)
“外出を控えて、症状が出現したときは速やかに医療機関へ連絡をしてほしい。”(内科)
“家族も外出を控え、手洗い・うがいを徹底する。”(腎臓内科)
“とにかくマスク。家庭内でもなるべく接触しない。”(循環器内科)
“なるべくタオルや身に着けるものは分ける。”(皮膚科)
“自身の健康状態をこまめにチェックし、保健所などに家族が発症した旨を伝え、(必要であれば)積極的に検査を受ける”(整形外科)

■高齢者、持病を持っている人が気をつけるべきことは?

「新型コロナウイルス感染拡大が予想される中、高齢者、持病(糖尿病、高血圧、心血管疾患)をお持ちの患者さんに特に気を付けてほしいことを、かかりつけ医の立場からご教示ください」と聞いたところ、手洗いうがい、マスク着用といった感染予防の徹底に加え、処方薬を飲み忘れのないように確実に服薬することや、不安になりすぎずストレスをためないことなどがありました。また全身症状の悪化などがみられた場合は早めに主治医に相談してほしいというコメントもありました。

▼コメント抜粋
“処方された薬は確実に服用する、基礎疾患の悪化症状があればすぐに受診する。”(内科)
“不安障害を引き起こし得る情報の出方であるが、基本的な睡眠、食事、排泄などをしっかりと。過度に緊張状態になりすぎないように。”(漢方)
“喫煙や飲酒をやめること。基礎疾患のコントロールをよくする。免疫をあげるためゆっくり休み、ストレスをためない。”(内科)
“手洗いうがいなどの予防措置の励行と、免疫力の低下を引き起こす過労などのストレスを避ける。”(消化器内科)
“人混みを避ける、今まで以上に標準予防策の徹底。”(腎臓内科)
“よく寝ること、不要不急の外出をしない。”(神経内科)

■今後の懸念点は?

今後の懸念点を聞いたところ、ウイルスの潜伏期間で無症状の患者さんが来院されることで、院内で医療従事者や他の患者さんに感染してしまうことや、電話相談など窓口業務の増加、それに伴う混雑や、そもそもの患者数増加による患者さんの待ち時間の増加などが考えられます。医療従事者へ感染が広がると、病院機能がまわらなくなる可能性も指摘されています。

▼コメント抜粋
“無症状の保因者の外来受診、一般の風邪との鑑別。”(内科)
“潜伏期間にある患者がそうとは知らず来院して感染を広げてしまう事。”(耳鼻咽喉科)
“受診目安より軽症での来院により、他の受診者へ移してしまうことが懸念されます。”(内科)
“病院でコロナウイルスの飛散蔓延の可能性。”(皮膚科)
“感染拡大による不安・軽症受診の増大。”(内科)

■現時点で困ったことはありますか?

現時点で医療機関が困っていることを聞いてみると、マスクや消毒液の不足は現時点(2020年2月18~21日)でもみられ、困っている医療機関は少なくないことがわかりました。マスクの1日使用量を制限される医療機関もあります。また検査が手軽にできないこと、検査ができる医療機関が限られていることを知らずに受診される患者さんがいるなど、対応に困ることがあるようです。

***

手洗い、うがい、マスクの着用、手指消毒、外出や人出の多い場所に行くことを控える、など各自の感染予防も大切な要因ですね。

■アンケート概要 
「新型コロナウイルス感染拡大。かかりつけ医・クリニックが患者さんに求めることとは?」
集計期間:2020年2月18日(火)~2月21日(金)
有効回答数:83名(調査まとめ:199床以下病院・診療所に務める医師61名)
対象:「Dr.なび」会員医師
方法:インターネット調査(会員医師へのメールマガジンにより回答フォームを送信)

 

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