働き方改革に関連した福利厚生充実の一環で、感染力の高いインフルエンザウイルスへの対策として、最近はシーズン前に予防接種を推奨し、社員に補助金を出すなど力を入れている会社も増えてきています。とは言え、インフルエンザなのに会社に出社してきたり、完治していないのに関わらず出社を強要するなどの「インフルエンザ・ハラスメント」により、社内に感染が広がるといった事態が起きています。医療法人社団SEC(https://www.shinjyuku-ekimae-clinic.info/)が「2020:仕事とインフルエンザの認識調査」を行いました。
調査から、インフルエンザ感染への意識の低い一部の人が職場に感染を広げていく実態が明らかになってきましたよ。

■職場でインフルエンザが流行した経験のある人は約8割にも上る

「職場でインフルエンザが流行した時の感染者はどれくらいいましたか?」と聞いたところ、特に流行したことはない:47人(23%)、職場の1割以下:86人(43%)、職場の2割ぐらい:38人(19%)、職場の3割ぐらい:17人(8%)、職場の5割ぐらい:9人(5%)、それ以上の感染者が出た:3人(2%)というような結果が出てきました。

多くの人が職場でインフルエンザが流行するという経験をしていることがわかりました。
「一人インフルエンザになると順番にうつっていって、結局全員がかかった。(30代:女性)」「感染者から同心円状に感染が拡大した(40代:男性)」といった意見からも、少人数の感染から職場全体に感染が広がることがわかります。

■3割以上がインフルエンザの可能性があっても出社する

「インフルエンザかもしれないと感じた際に出社しますか?」と聞いたところ、出社しない(病院に行く):132人(66%)、症状が酷くない場合は出社する:39人(19%)、外せない仕事がある場合は出社する:16人(8%)、基本的に出社する(昼休みや仕事終わりで病院に行く人も含む):13人(7%)という結果が出てきました。

意外にもインフルエンザの可能性があっても出社する人が多く、危機感の強い人と薄い人の二極化が顕著な結果となりました。
「体調が悪くなり早退。翌日回復し出勤したが、また時間が経つにつれ体調不良。もう1日同じことが起こり、病院に行ったらインフルエンザでした。(20代:女性)」「発熱が続き病院に行ったら既に治りかけのインフルエンザだった(40代:男性)」など本人は体調不良でも診断を受けず、知らず知らずのうちに感染を拡大させるケースも目立ちました。

■気づかず完治前に出社している

「インフルエンザにかかったら何日会社を欠勤しますか?」と聞いたところ、休まない:3人(2%)、1~2日:12人(6%)、3~4日:41人(21%)、5~6日:45人(22%)、それ以上:2人(1%)、医師の診断に従う97人(48%)という結果が出てきました。

自己判断で出社する人が多く、およそ3割の人が「発症後5日を経過(学校保健安全法)」せずに出社していました。
「熱が下がった直後すぐに出社し、社内でインフルエンザを流行させた人がいました。週替わりで誰かが休んでいて大変でした。(20代:女性)」「同僚がインフルエンザと診断されたのに、1日休んだだけで平気で出社してきた。席が向かい側だったのでとても嫌だった。(60代以上:女性)」など、たとえ仕事が立て込んでいるとしても、自己判断での出社は周りに迷惑をかけていることがあります。
また、会社の規定も出社禁止期間が短く設定されていることが多く、本人はルール通り休んでいるにも関わらず、感染拡大の原因となっているケースも見受けられます。

■責任のある立場の人は出社傾向。ただ感染意識の低い人は年齢や立場に関係ない。

「インフルエンザでも出社してくる人はいましたか?またそれはどの立場の人ですか?」と聞いたところ、いた:87人(43%){内訳/社長(経営者):4人、上司・先輩:59人、同僚:45人、後輩:21人、その他:12人}、いない: 113人(57%)という結果が出てきました。

どの立場であっても無理して出社してくる人がいるのがわかります。ただ、部署やプロジェクトの責任者は、他の人に比べ無理にでも出社する傾向にあります。
「社長が『マスクを2枚か3枚重ねてつければインフルエンザを他人にうつすことはない』と出勤していた。(30代:女性)」「熱っぽいというので後輩を病院に行かせたら、インフルエンザでした!と会社に帰ってきて報告してきた。うつしてしまうという認識が無いと思った。(30代:女性)」などのように、立場だけでなく罹患後の対応について理解していないケースも見受けられます。

■無理に出社してくる〈無自覚ハラスメント〉

会社側や周囲は休んでほしいと思っているのに、無理に出社してきて周りに迷惑をかけてしまう例を一部ご紹介します。

「納品前に、『休めないから』とインフルエンザにかかったディレクターが出社し、大勢の人が感染して欠勤者が続出。結果、納品も間に合わなくなってしまった」(30代:女性)
「同僚がインフルエンザにかかって出社してて辛そうな顔しながら仕事をしていた時、上司にものすごく怒られて帰らされていました」(30代:男性)
「上司が仕事中に受診してインフルエンザの診断を受けたのに、残務をずっとしていて、なかなか帰宅しなかった」(50代:女性)

■罹患中でも出社要請してくる〈強要ハラスメント〉

体調不良で完治していないのに、会社や上司が無理にでも仕事をさせようとする例を一部ご紹介します。

「インフルエンザで高熱があったのに、人手不足で(資格者最低1人必置義務)出社するように言われ、出社したものの動けずに休憩室で横になっていたことがあります」(30代:女性)
「インフルエンザの疑いがある時に、診断が出ることを恐れて病院に行かせてもらえなかった」(40代:男性)
「インフルエンザで休むと連絡してきた人のことを『普通は熱が無いなら出社するだろ』と影で言っているのを聞いてしまって以降すごく休み辛くなった」(30代:女性)

■インフルエンザの正しい予防法について|医師の見解

インフルエンザの正しい予防、罹患後の対処について医療法人社団SECの蓮池林太郎院長が解説します。
「インフルエンザの感染経路はくしゃみや咳によって飛沫感染することがおもな原因です。ワクチンを接種したからといって、100%かからなくなるわけではありません。インフルエンザが流行する時期は、ちょうど仕事が繁忙期という方も多く、責任ある立場から『どうしても休めない』という方のお気持ちもよく理解できますが、罹患後は職場や人込みに行かないようにしましょう。
『発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(学校保健安全法)』とも言われていますが、病状により異なりますので医師の判断を仰ぎましょう。予防接種以外では、うがい、手洗い、マスクの着用が予防になります。職場での感染を拡大させないためには、組織全体でインフルエンザに対しての共有認識を持ち、早期対応することが重要です」

***

調査結果からも、予防意識の高い人が多数派であるにもかかわらず、職場で流行していることがわかりました。一人ひとりがインフルエンザ感染について意識をすることが、社内パンデミックを防ぐ一番のポイントですね。

 

調査対象: 社会人経験者(20歳以上)
実施時期: 2020年1月15日(月)~2020年1月16日(火)
調査手法:インターネット調査
有効回答数:200名(調査)

 

 

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