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取材・文/出井邦子 撮影/馬場隆

“早寝・早起き・朝ごはん運動”を推奨する食育の第一人者。多忙な日々を支えるのはご飯・味噌汁・卵焼きの和朝食だ。

【服部幸應さんの定番・朝めし自慢】

前列中央から時計回りに、味噌汁(じゃがいも・玉葱・たもぎ茸)、ご飯、焼き海苔、ほうれん草のお浸し(鰹節)、季節の果物(西瓜)、卵焼き(長葱)、中央右は青汁、左は沢庵。米は福井県の“いちほまれ”、焼き海苔は広島の『三國屋』製、青汁は『エバーライフ』の“飲みごたえ野菜青汁”が定番だ。

前列中央から時計回りに、味噌汁(じゃがいも・玉葱・たもぎ茸)、ご飯、焼き海苔、ほうれん草のお浸し(鰹節)、季節の果物(西瓜)、卵焼き(長葱)、中央右は青汁、左は沢庵。米は福井県の“いちほまれ”、焼き海苔は広島の『三國屋』製、青汁は『エバーライフ』の“飲みごたえ野菜青汁”が定番だ。

北海道で栽培されているたもぎ茸。黄金色の輝きで香りと歯応えがよく、加えてグアニル酸という旨味成分が豊富で出汁いらず。服部家では味噌汁の他、雑炊などにも活用している。

北海道で栽培されているたもぎ茸。黄金色の輝きで香りと歯応えがよく、加えてグアニル酸という旨味成分が豊富で出汁いらず。服部家では味噌汁の他、雑炊などにも活用している。

アメリカの生産者が有機栽培で育てたカリフォルニアプルーンを常備。思いついた時に3粒ほどずつ、1日10粒ほど食べる。鉄分が多く、腸内環境を整える食物繊維も豊富だ。

アメリカの生産者が有機栽培で育てたカリフォルニアプルーンを常備。思いついた時に3粒ほどずつ、1日10粒ほど食べる。鉄分が多く、腸内環境を整える食物繊維も豊富だ。

ともかく多忙な人である。服部学園理事長を始め、その肩書は五指に余る。加えて、料理コンクールの審査員だけで年80回、講演は年180回に及ぶ。その他、映画やテレビドラマの料理監修の仕事も少なくない。

「32歳で母・記代子の後任として服部栄養専門学校の校長になって以来、合計しても2週間ぐらいしか休んでいないのではないでしょうか。仕事をしているのが、僕の健康の秘訣なのです」

昭和20年、料理学校の草分けである『服部学園』創立者・服部道政の子として東京に生まれた。祖母いわく2歳で包丁を持ち、祖母の和食、母の洋食の味で育った。味覚は4歳頃に形作られたという。

中学生になると、魚や野菜、果物などの産地ごとの食べ比べをして味を覚えた。さらに高校生時代には、父とともにフランスなどの欧州を度々訪れ、各地の料理店を探訪。こうして、味覚はますます研ぎ澄まされていったのであろう。

「校長になってフランス料理のジョエル・ロブション氏を始め、名だたるシェフを招聘し、この40年間に125人のシェフを招きました。お陰で、その時代の味の流行を知ることもできたのです」

“食の伝道師”と称されるのもうなずける。レジオン・ドヌール勲章シュバリエ

4年前に“レジオン・ドヌール勲章シュバリエ”を受勲。ティエリー・ダナ駐日フランス大使より勲章を受け取る。40年近くにわたり、日本とフランスを結ぶ“食の伝道師”としての活動が評価されての栄誉だ。

4年前に“レジオン・ドヌール勲章シュバリエ”を受勲。ティエリー・ダナ駐日フランス大使より勲章を受け取る。40年近くにわたり、日本とフランスを結ぶ“食の伝道師”としての活動が評価されての栄誉だ。

 

服部流和朝食の3つの鍵

服部さんは“早寝・早起き・朝ごはん運動”を推奨し、3食の中でも朝食こそ肝要という。そんな服部流“朝めし”は和食である「日本人にとって和食こそ、体質に合った最善の食事法なのです。朝食は家内が作りますが、献立は僕が考えたもの。その和朝食のポイントは、次の3つです」

その1は、ブドウ糖の供給源であるご飯などの炭水化物。その2は、筋肉などを作る卵などのたんぱく質。その3は、疲労回復にも効果のある野菜や果物などのビタミンやミネラル。この3つに、具だくさんの味噌汁が定番だ。日によっては、これに地方で求めた品や到来物が加わることもある。

家では朝食しか摂らないという。昼食は、学校で講師らが作る料理を試食。そして、夜は“夕食は自分より知識のある人と食べろ”という父の教えを守り、外食となるからである。

朝5時起床。定番スタイルに着替えてから、朝食は6時半頃。「その日のスケジュールを確認しながら、小一時間かけて朝食を摂り、家を出るのは8時半頃です」と服部幸應さん。

朝5時起床。定番スタイルに着替えてから、朝食は6時半頃。「その日のスケジュールを確認しながら、小一時間かけて朝食を摂り、家を出るのは8時半頃です」と服部幸應さん。

最近、愛飲しているのが“セミノール青みかんドリンク”(三重県『すぎもと農園』)。酸っぱさのなかにほんのり苦みもあり、調味料やカクテルの素材としても注目される機能性ドリンクだ。

最近、愛飲しているのが“セミノール青みかんドリンク”(三重県『すぎもと農園』)。酸っぱさのなかにほんのり苦みもあり、調味料やカクテルの素材としても注目される機能性ドリンクだ。

食育を実践することが、明日の日本、いや世界を作る

30年以上前から“食育”に取り組んでいる。

「日本の教育の基本理念は“知育・徳育・体育”ですが、それに“食育”を加えることで、より確かな効果が得られるのです」

『ハットリ・キッズ・食育・クッキングコンテスト』の昨年の優勝者、石田千南美さん(小学6年、埼玉県)を称たたえて記念写真。同コンテストは小学1年~6年生が対象だ。

『ハットリ・キッズ・食育・クッキングコンテスト』の昨年の優勝者、石田千南美さん(小学6年、埼玉県)を称たたえて記念写真。同コンテストは小学1年~6年生が対象だ。

石田千南美さんの優勝作品。第23回の昨年のテーマは「日本は、やっぱり“この朝ごはん”」で、石田さんは「ま(豆)ご(胡麻)は(若布)や(野菜)さ(魚)し(椎茸)い(芋)」を取り入れた朝食を、60分で作った。

石田千南美さんの優勝作品。第23回の昨年のテーマは「日本は、やっぱり“この朝ごはん”」で、石田さんは「ま(豆)ご(胡麻)は(若布)や(野菜)さ(魚)し(椎茸)い(芋)」を取り入れた朝食を、60分で作った。

服部さんらの提唱で、平成17年には「食育基本法」が制定された。食育とは、単に健康に良いものを食べることではない。人の心身を健全に育み、日本の未来を作るものだ。その柱は、選食能力を養うこと、食卓で一般常識が身に付くこと、地球の食を考えること、の3つだという。

「3歳から8歳は子供の躾に最も適し、脳の成長にも大きな影響を与える大事な時期ですが、今の子供はこの時期に家族団欒で食事をする“共食”の機会が減っている。だからこそ、学校や地域を通して食べることに興味をもち、正しい知識を学んでほしいのです」

平成27年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)には“海や陸の豊かさを守ろう”や“飢餓の根絶”など食育に通じる目標も多く、その啓蒙にも尽力。食育こそが明日の世界を作るという信念からである。

スペインから招聘した料理大学のルイス教授(服部さんの右)と、服部栄養専門学校の学生たちと一緒に。服部さんは今も全クラスの“食育”の授業を担当している。

スペインから招聘した料理大学のルイス教授(服部さんの右)と、服部栄養専門学校の学生たちと一緒に。服部さんは今も全クラスの“食育”の授業を担当している。

取材・文/出井邦子 撮影/馬場隆

※この記事は『サライ』本誌2019年10月号より転載しました。年齢・肩書き等は掲載当時のものです。

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