写真・文/矢崎海里
「入梅(にゅうばい)いわし」という言葉を聞いたことがありますか。
6~7月の梅雨の時期に水揚げされるマイワシのことを「入梅いわし」と呼びます。
一年中スーパーに並んでいるイメージのある魚ですが、入梅いわしは一年の中で最も脂がのっており、ぜひとも食べたいところ。
今回は旬のマイワシを使った「いわし明太」「酢〆いわしのから揚げ」をご紹介します。
マイワシの栄養
・ビタミンD
油と相性のよい脂溶性ビタミンであるビタミンDが豊富に含まれています。
なかでもビタミンDにはカルシウムの吸収を促進し、骨を強化するはたらきがあります。
うるめいわしやかたくちいわしは、カルシウムを特に多く含んでいますが、マイワシは可食部100g中70mg(成人1日の推奨量650~800mg)とそこまで多くはありません。
しかし、吸収を促進するビタミンDがサポートをしてくれるため、カルシウムの吸収率が非常に高いことが特徴です。
・DHA、EPA
青背魚などに含まれるDHA・EPAは血中脂質のバランスを改善する効果があります。
具体的には中性脂肪の低下や、脂質異常症の予防、脳卒中や虚血性心疾患予防などにはたらきます。
また、脳機能を高める脂肪酸としても知られており、脳活性化や老化防止にも効果を発揮します。
DHA・EPAは酸化しやすいため、抗酸化ビタミンを多く含む緑黄色野菜と一緒に取るのがおすすめです。
ここからは、旬の入梅いわしをおいしく食べる減塩レシピを2つご紹介します。
いわしマヨ明太
【材料】(1人分)
いわし開き 2尾
明太子 1腹(20g)
マヨネーズ 大さじ1
【作り方】
1.明太子は皮から取り出し身をほぐす。
2.明太子とマヨネーズを混ぜ、いわしに挟む。
3.半分に折りたたみ、両面グリルで焼いたら完成。
おつまみにもぴったりな福岡名物、いわし明太。
スーパーでは減塩タイプの明太子も販売されているので、そちらを使うとより減塩できます。
一腹まるごと挟むことも多いいわし明太ですが、マヨネーズを混ぜることでまろやかにしました。
辛味が苦手な方も食べやすくなっています。
食塩相当量:1.0g(コンビニのいわし明太と比較し、約35%減塩)
酢〆いわしのから揚げ
【材料】(1人分)
いわし開き 2尾
酢 30cc
塩 いわし重量の1%
片栗粉 大さじ2
オクラ 1本
揚げ油 適量
【作り方】
1.ボウルに酢・いわし重量の1%の塩(2尾で100gの場合1g)を入れ、溶かす。
2.オクラはへた・がくの固い部分を取り、半分に切る。
3.いわしは食べやすい大きさに切り、水気を拭き取る。
4.1の酢に10分漬け、水気を切る。
5.片栗粉をまんべんなくまぶす。
6.フライパンに油を1cm熱し、やや中火で両面揚げる。オクラは素揚げにする。
7.油を切り、うつわに盛りつけ完成。
酢〆は古くから日本で活用されてきた、伝統的な保存方法のひとつです。
酢で締めることで魚の生臭さを緩和し、殺菌効果もあります。
いわしはその漢字(鰯)の通り、陸に上がるとすぐに弱って死んでしまう魚です。
そのため、旬のわずかな時期しか生で食べることができません。
通常は保存期間を長くするために使われる酢を活用し、から揚げにアレンジしました。
酢で締めることで下味がしっかりと付き、片栗粉で揚げるだけで臭みのないいわしのから揚げが完成します。
南蛮酢に漬けたようなさっぱりとした味付けは、食欲の落ちる夏にも食べやすくなっています。
食塩相当量:0.6g(通常のいわしのから揚げと比較し、約40%減塩)
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憂鬱な梅雨もあとわずか。
カラッと晴れた空模様を待ちわびながら、入梅いわしで梅雨を乗り切りましょう。
文/矢崎海里(やざき・かいり)
管理栄養士やフードスペシャリストなどの資格を生かし、企業で働く傍ら、Webメディアでも活動。おいしく食べて健康になれるごはんを研究中。