■入浴は痛風に効く
血液中の尿酸値が高くなることが素因となって起こる痛風。戦前は非常にまれな病気であったが、飽食の時代を迎えて増加。今では100万人近くが痛風にかかり、予備軍は数百万人いるという。
痛風に効くお風呂の入り方について、早坂教授は以下のように記している。
「水分をたっぷり摂った上で、38~39℃程度のぬるめのお湯に20分ほど浸かりましょう。水圧による利尿作用がはたらいて、尿酸を排出する効果があります。ただし、お風呂で患部をマッサージすることは控えましょう。患部の炎症が再発する恐れがあります」(本書136pより)
気をつけたいのは、痛みがあるとき。このときは入浴してはいけない。患部の血行がよくなって、かえって痛みが悪化する。
■冬はヒートショックに注意
そのほか、入浴には風邪、神経痛、冷え、更年期障害など様々な症状を改善する効果があるというが、要注意なのが冬期の「ヒートショック」
これはリビングなど暖かい部屋から、暖房の効いていない脱衣所に入り、そしてまた熱い風呂に浸るという、急な温度差で生じる血圧の急上昇・急下降に伴い脳卒中などを起こすこと。
入浴時に亡くなる人は年間2万人近くいて高齢者の割合が多いが、その原因の多くはヒートショックによるものと考えられている。
本書で早坂教授は、ヒートショックを予防するために、例えば以下の方法を挙げている。
・お風呂に入る前にコップ1杯の水を飲む。
・脱衣所を温めて、浴室は蒸気を立たせておく。
・酔っているときは入らない。
・入る前に、家族の誰かに声をかけておく。
・かけ湯をしてから浴槽に入る。
また、高齢者は、湯の熱さを感じるセンサーが鈍っていて、熱い湯を好みがち。しかし、熱い風呂に長時間入ることに健康効果はないばかりか、熱中症のリスクさえあるという。
このように、本書では入浴の効能や諸注意、さらには温泉についても述べており、お役立ち度は高い。お風呂好きには特に勧めたい1冊である。
【今日の健康に良い1冊】
『最高の入浴法』
http://www.daiwashobo.co.jp/book/b375374.html
(早坂信哉著、本体1,400円+税、大和書房)
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社役員を退任後、フリーライター兼ボードゲーム制作者となる。趣味は散歩で、関西の神社仏閣を巡り歩いたり、南国の海辺をひたすら散策するなど、方々に出没している。