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健康

医学部教授が指南!体をいたわるお酒の飲み方

取材・文/渡辺陽

ついつい飲みすぎてしまう年末年始! 体をいたわるお酒の飲み方

今年も師走に入り、何かと気ぜわしい季節になってきました。忘年会や新年会、クリスマスなど、お付き合いで飲むお酒の量が増える方もいらっしゃるのではないでしょうか。翌日は、二日酔いですっかり不調なんていうことも。体にかかる負担を少なくして、気持ちよくお酒を飲むにはどうしたらいいのか。アルコール性肝障害などに詳しい金沢医科大学教授、堤幹宏医師にお話を伺いました。

――「酒は百薬の長」と言いますが、それは本当なのでしょうか。

「お酒を飲める人が毎日1合~2合飲む程度なら、その日の疲れを取ったり、リラックスしたりすることができるのでいいでしょう。しかし、アルコール、つまり、エタノールは肝臓で分解されてアセトアルデヒドという毒性のある物質になります。日本人や中国人、アメリカインディアンには、アセトアルデヒドを肝臓で分解できない人が多いのです。日本人の場合、お酒が飲める人は45%、ビールをコップ一杯くらい飲める人は45%、まったく飲めない人は10%くらいいます」

――アセトアルデヒドには、どんな害があるのでしょうか。

「顔が赤くなったり、心臓がドキドキしたり、頭痛がしたりします。吐き気がするのもアセトアルデヒドが原因です。日本酒を1合飲んだら、肝臓できちんと分解されて、完全に体の中から消えるのに3時間くらいかかります。自分では意識がはっきりしていて、大丈夫だと思っても、エタノールは麻酔薬なので、やはりどこかボーッとしている。4合飲むと、分解されるのに少なくとも12時間かかるのですが、その間、肝臓はずっと働いていて、追い打ちをかけられ、疲れてきます。最初に飲んだお酒の傷が癒えてきても、その隣に傷ができると治りが悪くなるのです」

「一気飲みをした場合、血液中のエタノールの濃度が一気に高くなるため、急性アルコール中毒になるのです。吐くことができても、一定量は肝臓を通るので、分解できなかったアセトアルデヒドが残り、心臓がバクバクし、細胞に対する毒性があるので、命が危険にさらされます。お酒を飲める人の場合、大ジョッキを何杯もあけることがありますが、アセトアルデヒドの分解が早くできるので、ずーっと飲めるのです。ジュースなどの飲料は、血糖値が上がって満腹感を感じることができるフィードバック機構があるため大量に飲めないのですが、お酒にはフィードバック機構がないので、どんどん飲めます。しかし、肝臓の能力には限界がある。そのため酔い潰れてしまうのです」

――肝臓をいたわって飲むには、どうすればいいのでしょうか。

「まず、自分がどれだけ飲んだのか、把握しておかなければなりません。しかし、その量を把握するのは、結構難しいんです。日本酒1合は、ビール大瓶1本くらいのエタノール量。ワインは濃度が低いので、日本酒3合でボトル1本くらい。Wのウイスキー約60cc、もしくは焼酎3分の2合を日本酒1合と考えてください。焼酎を炭酸で割っているソーダなどの場合、飲むお酒の量を正確に知ることは難しいのですが、忘年会や新年会、正月など、ついついお酒をたくさん飲みすぎてしまう場合、自分が飲んだ量を知ることが大事です。それをもとに、一週間に何日休肝日をもうけるべきか考えます」

――休肝日については、どのように考えたらいいのでしょうか。

「ドイツで行われた研究では、どんなに肝臓が強いひとでも、毎日4合以上、20年間飲み続けると肝臓が悪くなるという研究結果が発表されています。日本人の場合、ドイツ人より体が小さいので、さらに肝障害が起こりやすいので、飲める人でも肝臓をいたわる必要があります」

「たとえば、1週間のうち1日休肝日を作ったら、毎日3合飲んだ場合、休肝日を2日もうけたら、1日あたりの飲むお酒の量は2合になる。週2日休肝日を作ると肝臓に優しいと言えるでしょう。最悪なのは、二日酔いでだるい体をシャキッとさせるために、朝からビールを飲むことです。ビールを飲むとすっきりしたように感じる。しかし、これはエタノールで頭が麻痺しているだけで、実際には、肝臓に追い打ちをかけているのです」

飲めない人は無理をして飲まない、飲める人でも、飲酒量を把握し、1日あたりの飲酒量を2合程度に抑えられるよう、1週間に2日間、休肝日をもうけるといいのですね。堤教授によると、お酒は、人と一緒に楽しく飲むことも大切なのだそうです。年末年始、飲み過ぎにはご用心を。

堤幹宏教授

堤 幹宏教授 プロフィール
金沢医科大学肝胆膵内科学教授、金沢医科大学 学長補佐
1980年金沢医科大学医学部卒業後、消化器内科助手、米国Mount Sinai 医科大学留学を経て、金沢医科大学病院医療情報部長、奈良県立医科大学先端医学研究機構医療情報学分野教授、金沢医科大学消化器機能治療学教授、金沢医科大学病院再生医療センター長など歴任。2013年9月 ヨーロッパアルコール医学生物学学会(European Society For Biomedical Research on Alcoholism:ESBRA):Charles Lieber Memorial Award受賞。

取材・文/渡辺陽(わたなべ・よう)
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。小学館サライ.jp、文春オンライン、朝日新聞社telling、Sippo、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。

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