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健康

健康長寿の最大の敵「寝たきり」はどうすれば防げるのか【予防医療の最前線】

文/中村康宏

脳卒中や認知症にならなければ、「寝たきり」状態にはならないと考えている人は少なくないでしょう(※1)。しかし、実際には、そういった大きなイベントがなくても、徐々に「寝たきり」状態へと進行していくことはあるのです。

加齢による変化や身体機能の低下、さらにそれに伴う生活習慣の変化が、身体活動量を低下させ、寝たきり発生の温床となります。

今回は、「寝たきり」に至ってしまう原因と、予防するためのポイントを解説いたしましょう。

■「寝たきり」になる原因は

寝たきりになる原因は、上位から「脳卒中」「認知症」「加齢による衰弱」「骨折」「関節疾患」となっています。しかし実際には、回復不能なほどの脳卒中を除き、様々な要因が関係し、少しずつ寝たきりの状態になって行くのです。

例えば「入院」も寝たきりを悪化させる原因となります。たとえ1週間であっても、入院や病気療養のため動かないでいると、筋力は低下し、回復するには時間がかかることになります。その間に、別の病気や入院が重なると、さらに筋力が低下し、徐々に「寝たきり」となってしまうのです。

それに加えて、加齢による身体機能や認知能力の低下が、寝たきりになる確率をさらに高めます。この負の連鎖にはまると、活動能力は階段状に低下し、誰しもが容易に寝たきり状態となってしまうのです。

寝たきりまでの経過例。「階段状」に活動能力は低下し、誰しもが容易に寝たきり状態となってしまう。

 

だからこそ、老後に充実した生活を送るためには、まず「寝たきり」が身近な存在であることを認識し、筋力維持やライフスタイルの改善に一層の注意を払う必要があります。

■「寝たきり」を予防するには

加齢性による変化は不可逆的でありますが、寝たきりになってしまう要素については、適切な対応により、元の機能に戻すことが期待できます。

寝たきりの要因は動かないこと、と一元的に考えるのではなく、加齢性変化や持病の有無、身体機能の評価、本人自身の生活環境や社会的状況などをふまえた上で、日常の行動全般を見直さなければなりません。

健康の維持に関しては、自分自身だけでなく、家族、医療や介護・福祉サービス等の関係専門職など幅広く関与するため、知識が豊富でマネジメント力のある医師を中心とし、自分自身にあったライフスタイルや予防方法を実践していくことが理想です。(※4)

■予防の要は下半身の筋力維持

研究によると、寝たきりを予防するためには、1日最低でも4000歩のウォーキングと、起立‐着席動作を約300回行うことが必要とされています(※5)。ただしこれらの回数はあくまで健常者の目安であり、個人によって適正回数は異なります(※6)。しかも正しいやり方で行わないと、効果が得られないばかりか、他に支障をきたし、結果的に不利益をもたらすこともあるので、筋力トレーニングは専門家の指導のもとで実施する必要があります。

立ち上がり訓練

以上、「寝たきり」に至る原因と、予防のポイントを解説しました。

寝たきり状態になることは、健康寿命を縮め、実りある老後を送ることができない最大の要因となります。加齢性変化や持病の有無、身体機能の評価、本人自身の生活環境や社会的状況などの各要素をしっかり評価した上で、日常の行動全般を見直さなければなりません。

その上で、自分自身にあったライフスタイルや予防方法を実践していきましょう。

【参考文献】
※1 厚生労働省.
※2 Muller EA. 1970 ; 51 : 449-62.
※3 Sonoda S. Jpn J Rehabil Med 2015 ; 52 : 265.271.
※4 Katalinic OM. Cochrane 2010; 9, CD007455.
※5 Kagami K. Core Ethics 2010; 6: 109-19.
※6 西本, 他. 理学療法1999; 14: 181-7.

文/中村康宏
関西医科大学卒業。虎の門病院で勤務後New York University、St. John’s Universityへ留学。同公衆衛生修士課程(MPH:予防医学専攻)にて修学。同時にNORC New Yorkにて家庭医療、St. John’s Universityにて予防医学研究に従事。

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