
最近、朝起きても疲れが抜けない、日中にやる気が出ない、体がいつもより重く感じる…。寒くなってきた今の時期、そんな、なんとなくの不調が続いていませんか。それはもしかすると冬バテかもしれません。
冬は気温の低下とともに血行が悪くなり、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
冷えや乾燥、日照時間の減少が重なることで、体も心もエネルギー不足に陥りやすい季節です。放っておくと、肩こりや頭痛、胃腸の不調、さらには気分の落ち込みにつながることもあります。
そこで注目されているのが漢方の力です。冷えや血行不良を改善し、体の巡りを整えることで、冬バテを内側からケアすることができます。
今回は、冬のだるさや不調を感じやすい方に向けて、漢方的な冬バテ対策とセルフケア方法を紹介します。
なぜ冬はバテやすいのか

冬になると、外の寒さに対応するために体は血管を収縮させ、熱を逃がさないように働きます。この状態が続くと血流が悪くなり、全身のエネルギー循環(気血の流れ)が滞ってしまいます。
さらに、日照時間が短くなることで自律神経のリズムも乱れがちに。その結果、眠気や倦怠感、肩こり、むくみ、気分の落ち込みなどの冬バテ症状があらわれやすくなるのです。
とくに女性は、ホルモンバランスの影響で冷えやむくみが起こりやすく、冬の寒さがその不調をさらに悪化させることもあります。
冬バテにおすすめの漢方薬

冬バテのタイプによって、選ぶべき漢方は少しずつ異なります。
・体が冷えて疲れやすい方に
人参養栄湯(にんじんようえいとう)
体を温め、エネルギー(気)と血を補うことで、冷えやだるさを改善します。
・むくみや頭重感がある方に
五苓散(ごれいさん)
体の水分バランスを整え、巡りをスムーズにすることで、重だるさを軽減します。
・ストレスで気分が落ち込みやすい方に
加味逍遥散(かみしょうようさん)
自律神経の乱れを整え、イライラや不安感、PMSなど心身の不調にアプローチします。
体質や症状に合わせて選ぶことが大切なので、自己判断ではなく専門家に相談するのがおすすめです。
冬バテを防ぐセルフケア

漢方の力を引き出すためには、日々の生活のなかで巡りを意識することがポイントです。
・朝は白湯を飲んで内臓をやさしく目覚めさせる
・湯船に浸かって体を芯から温める(40℃前後で15分ほど)
・体を締めつけない温かい服装を心がける
・旬の食材(根菜類・生姜・ねぎなど)で体を温める
・スマホを長時間見すぎないようにし、夜はしっかり眠る
小さな積み重ねが、冬の不調を防ぐ大きな一歩になります。
漢方の副作用はあるのか。安心して服用するには
漢方薬は自然由来の成分で作られていますが、体質に合わないものを続けて飲むと、まれに胃の不快感や下痢などの副作用が出ることがあります。
そのため、なんとなくで選ぶよりも、体質を見極めて処方してもらうことが大切です。
内側から整えて、冬を軽やかに乗り切ろう

冬バテは、気温や環境の変化に体がついていけず、バランスを崩しているサインです。
漢方とセルフケアで巡りを整えれば、冷えやだるさに悩まされる冬も、気持ちよく過ごせるようになります。
ご自身の体質に合ったケアを見つけて、冬の疲れをリセットしていきましょう。
<この記事の監修者>

碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師
/ 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0281&utm_source=sarai&utm_medium=referral&utm_campaign=251115
イラスト:にゃたり











