30~40代のプレ更年期や、40~50代の更年期の女性は「なんとなくの不調」「ちょっとした違和感」を抱くことが多くなります。なかでも多くの人が困っている悩みは多尿の症状です。
実は、その不調には漢方薬が役立つことをご存知でしたか?
私の悩みにも漢方薬が役立つのか知りたい! 根本解消する方法が知りたい!
そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
今回は「多尿」の原因や対処法について、あんしん漢方の薬剤師で、漢方薬製剤の開発研究に携わる碇純子さんに教えてもらいました。
夜間に何度も目覚めてトイレに…… 尿量の多さが気になる
君枝さん(45歳)からご質問をいただきました。
「近頃、多尿で悩んでいます。1回の尿量がかなり多いと感じます。
夜間に何度も目が覚めてトイレに行くことが習慣のようになっていて……。就寝前の水分は控えていますが、あまり効果がありません。
一晩で何度も尿意がやって来て、そのたびに起きているので、睡眠の質も下がってしまい、日中によくあくびをしています。
たまに家族と出かけても、多尿のことが気になって楽しめません。この間も、娘に『お母さん、またトイレに行くの? 3回目だよ?』と呆れられてしまいました。この多尿の悩み、どうすれば解決できるのでしょうか?」
ご質問ありがとうございます。多尿の症状は睡眠不足を招いたり、人目が気になったりと、悩むことも多いですよね。
しかし、きちんと適切な治療やセルフケアを行えば、多尿の緩和をめざせます。まずは、多尿の原因をしっかり把握して対処しましょう。
更年期にトイレが近くなる理由
まずは、更年期になるとトイレが近くなる理由について解説します。
1.ホルモンバランスの乱れ
更年期を迎えた女性は、女性ホルモンのエストロゲンが急激に低下します。エストロゲンは女性らしい体を作るなどの多様な役割をもっていますが、不足すると不調の原因になります。
たとえば、エストロゲンが減少すると、自律神経が乱れる原因に。そして、膀胱が過度に収縮することで尿意を感じやすくなります。
2.それ以外の多尿の原因
たとえば、加齢により腎機能が低下して尿をきちんと濃縮できなくなり、その結果尿量が多くなることがあります。また、高血圧、糖尿病、心臓疾患など、複合的な原因が絡んでいる場合があるのです。
そのほかには、ストレスや緊張などの「心因性」、部屋が寒く、汗の代わりに尿量が増えるような「環境の問題」、また、「過剰な水分摂取」など、様々な原因が考えられます。
自宅でできるセルフケア
ここからは、多尿のために行うセルフケアについて3つご紹介します。
1.骨盤底筋トレーニング
骨盤底筋は、骨盤の底に位置するハンモック状の筋肉です。排尿、排便に関わり、尿道や肛門を締めたり緩めたりする役割があります。更年期を迎えると骨盤底筋が衰え始めるので、骨盤底筋をきちんと鍛えましょう。
(1) 仰向けになり、脚を肩幅くらいに開き、両ひざを立てます。
(2) 尿道や肛門、膣を意識しつつ、締めたり緩めたりを2~3回行います。
(3) ゆっくりと、(2)よりもさらにギュッと締め、3秒静止します。
(4) (3)を2~3回行います。
(5) 慣れたら、締める時間を延ばしていきます。
2.尿もれパッドや専用下着を用意する
尿もれパッド(軽失禁パッド)や、尿もれが目立たない専用の下着を着用することで、精神的なストレスを緩和できます。
尿もれパッドというと、高齢者が使用するイメージを持っている方も多いかもしれませんが、30~40代の女性が使うケースも珍しくありません。
最近は、あまり目立たない尿もれパッドや専用下着も増えているため、周囲の目を気にせずに着用できます。万が一のときの備えがあれば、外出時でもストレスが減り、安心して外出できるようになります。
3.漢方薬を飲む
「多尿を根本から改善したい」
「いろいろと試したが症状が改善しない」
「西洋薬は一度飲み始めたら、やめられないのではないかと不安」
そんな方には、医薬品として効果が認められている漢方薬がおすすめです。
漢方薬は自然にある植物や鉱物などの「生薬」を組み合わせて作られているため、 一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
また漢方薬が目指すのは苦痛を和らげるための対症療法ではなく、根本的な解決です。体質の改善に働きかけることのできる漢方薬は、「同じ症状を繰り返したくない」という思いに応えてくれます。
「バランスの取れた食事や運動などを毎日続けるのは苦手」という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
漢方薬で多尿の改善をめざす場合、「体を温め、膀胱の負担を軽減する」「水分を循環させる」「ゆるんだ下半身の筋肉を引き締める」「自律神経の乱れを整え、排尿をコントロールする」といった漢方薬を選びましょう。
<多尿の改善におすすめの漢方薬>
八味地黄丸(はちみじおうがん):冷えた体を温め、加齢により衰えた泌尿器のはたらきを高めます。
清心蓮子飲(せいしんれんしいん):水分代謝を調整して、余分な水分を体外に排出し、尿の生産を正常にします。
ただし、漢方薬を選ぶ際にはご自身の体質に合ったものを選ぶことが大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用が起こることがあります。
購入時には、できる限り漢方に精通した医師や薬剤師等にご相談ください。
「お手頃価格で不調を改善したい」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめ。スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」のような新しいサービスも登場しています。
AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、漢方のプロが体質に合った漢方を見極めてくれます。お手頃価格で自宅まで郵送してくれるため、手軽で便利です。
まずはしっかりと原因特定を
更年期に多尿になる原因は、ホルモンバランスの乱れを始め、糖尿病や高血圧などの様々な病気、心因性、環境、生活習慣などが考えられます。
まずは原因を特定し、適切なケアを行っていきましょう。
さて、次回は「しつこい目の疲れをなんとかしたい…『滋腎明目湯(じじんめいもくとう)』」です。ぜひご覧ください!
<この記事を書いた人>
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0223&utm_source=sarai&utm_medium=referral&utm_campain=241008
イラスト:にゃたり