内臓脂肪や中性脂肪、コレステロールが気になる人は多いでしょう。医師の五藤良将先生はこれらの原因となる「あぶら」を「悪魔のあぶら」と呼び、放置をしていると、ある日突然、「脳梗塞」「心筋梗塞」などといったかたちで襲いかかってくる可能性があると言います。
五藤先生の最新著書『血液と体の「あぶら」を落とすスープ』(アスコム)では、そんな体の中の「死の時限爆弾」を取り除くスープを紹介しています。スーパーに売っている食材だけで簡単に作れ、作り置きできるおいしいスープを1日1杯、2週間続けることで内臓脂肪・中性脂肪・悪玉コレステロールがみるみる落ちていきます。第1回は、「悪魔のあぶら」について解説し、基本のスープの作り方を紹介します。
文/五藤良将
あなたの体の中には、「悪魔のあぶらコンビ」が潜んでいる!
「体重がなかなか減らない」「体重落とせと言われているがなかなか落ちない」「甘いものが大好き」「肉やごはん、麺類が大好き」、そんな方の血液と体には、「悪いあぶら」が溜まっているかもしれません。このあぶらを放置していると「死の時限爆弾」と変化していきます。
あなたの体の中には、「悪魔のあぶらコンビ」が潜んでいます。「悪魔のあぶらコンビ?」「なんのことだろう?」と思われるかもしれませんね。彼らの名前は……「中性脂肪」と「悪玉コレステロール」。聞き覚えのある名前ではないでしょうか。この悪魔のあぶらたちがなぜ厄介かというと、「時限爆弾」型のあぶらだからです。このコンビは全身を駆け巡り、体にさまざまな悪さをします。悪玉コレステロールは、血液のなかに潜り込み、血管の壁にあぶらでできた時限爆弾を仕掛けていきます。時限爆弾は血管の壁に張り付いて血液の通り道をふさぎます。
中性脂肪は内臓周りや皮膚の下に潜り込みます。その結果、あなたのおなかの中に、「内臓脂肪」「皮下脂肪」といった時限爆弾を抱え込むことになります。時限爆弾という名の通り、いますぐ爆発する! ということではありません。しかし、放置するとこの時限爆弾は風船のようにどんどん膨らんでいきます。そして……時限爆弾は大爆発! 脳卒中、脳梗塞、大動脈瘤、心筋梗塞、狭心症、糖尿病、肝硬変、肝臓がん、すい臓がん、大腸がんなど、命に関わるような病気を引き起こします。
悪魔のあぶらコンビを退治しない限り、時限爆弾を減らすことはできません。とはいえ、「悪魔のあぶらコンビ」を退治するのは大変です。毎日栄養バランスの取れた食事をして、運動をして……。そんなことができたら苦労はしませんよね。では、私たちは何をすればいいのでしょうか? 答えは……「あぶら」を落とすスープをたった1日1杯、飲むことです。
「あぶら」を落とすスープには、悪魔のあぶらコンビを退治する栄養素がたっぷり含まれています。スープの食品に含まれる栄養素が協力して悪魔のあぶらコンビを攻撃し、退治してくれるのです。また、「あぶら」を落とすスープのチカラはそれだけではありません! 悪魔のあぶらコンビが仕掛けた爆弾を解除&除去してくれます。
秘密は、「天使のあぶら」である善玉コレステロール。彼女も血管内を駆け巡り、悪魔のあぶらコンビが仕掛けた時限爆弾をせっせと拾います。「あぶら」を落とすスープは、この天使のあぶらを増やしてくれるのです。
ほかにも天使のあぶらは、悪玉コレステロールが時限爆弾を仕掛けることを阻止したり、血液の中に潜り込んだ悪魔のあぶら兄弟を退治することで血液をサラサラにしてくれます。このように
(1)悪魔のあぶら兄弟を退治し、
(2)天使のあぶらを増やす
Wの効果を得られるのが、「あぶら」を落とすスープなのです!
え~! こんなに美味しくて大丈夫? と思えるほど、美味しくて健康的なスープで「悪いあぶら」をスッキリ落としましょう!
あなたの体の中のあぶらは、よいあぶら? 悪いあぶら?
いま、あなたの血液と体の中に、脳梗塞・心筋梗塞につながりかねない悪魔のあぶらがどれくらい溜まっているか、チェックしてみましょう。
「悪魔のあぶら」の溜まり度チェック
□中性脂肪値やLDL(悪玉)コレステロール値が高いと言われたことがある
□血糖値が高いと言われたことがある
□青魚を食べることがめったにない
□野菜は嫌いだからあまり食べない
□食事のときは、最初に白米やパンを食べる
□無糖以外の清涼飲料水やエナジードリンクなどをよく飲む
□間食をとることが多い
□ハムやソーセージなどの加工肉を好んで食べる
□菓子パンやケーキなど甘いものが大好きではよく食べる
□果物が好きでよく食べる
□最近、おなかまわりが出てきている
□睡眠不足が続いている
□イライラすることが多く、ストレスがたまっている
□運動をする習慣がない。体を動かす機会があまりない
□喫煙習慣がある
※当てはまった数を教えてください
◆3個以下
いまのところ、悪魔のあぶらはたまっていない可能性が高いですが、「あぶら」を落とすスープを取り入れる
ことでさらに健康状態をアップできるでしょう。
◆4~8個
もしかすると、悪魔のあぶらが暴れはじめているかもしれません。できるところから改善しながら、「あぶら」を落とすスープを飲み始めましょう。
◆9個以上
悪魔のあぶらがたっぷり溜まっていると考えられます。あぶらを落としはじめないと、近い将来、体のあちこちに症状が表れる可能性が。
悪魔のあぶらを落とし、時限爆弾を解除する栄養素がたっぷり!
●りんごポリフェノール
血糖値の上昇を抑え、体脂肪の増加を防ぐ酢酸、エネルギー代謝を高めてたまっている中性脂肪を燃やし、悪玉コレステロールの酸化を防ぐクエン酸とりんご酸。それらすべてが含まれるのが、りんご酢です。
●オメガ3&9脂肪酸
りんごに含まれるポリフェノールには、りんごポリフェノールの主成分であるプロシアニジン、りんごの皮に多く含まれるエピカテキン、そしてアントシアンなどがあります。いずれも強い抗酸化力があるといわれます。
●酢酸&クエン酸&りんご酸
よいあぶらといわれる不飽和脂肪酸のなかでも、悪いあぶらを減らす効果が高いのが、オリーブオイルやナッツ類に含まれるオメガ9脂肪酸と、さば、いわし、さんまなどの青魚やアマニ油などに含まれるオメガ3脂肪酸です。
●カテキン
強い抗酸化作用や殺菌・抗菌作用を持つポリフェノールの一種であるカテキンは緑茶に多く含まれています。また、緑茶にはがんを予防する成分として注目されているエピガロカテキンガレート(EGCG)という成分も含まれています。
●セサミン
セサミンは、ごま1粒にごくわずかしか含まれていないゴマリグナンという抗酸化物質の一種です。酸化を防いだり、肝臓の機能を高めたり、抗酸化力のあるビタミンの活性を高めたり、血圧を下げたりする効果があります。
●ビタミンE
非常に強力な酸化作用をもつ脂溶性のビタミンであるビタミンEは、セサミンを一緒にとることでさらに活性化するといわれます。ビタミンEが多く含まれる食品には、ナッツ類、オリーブオイル、卵、アボカドなどがあります。
●ケルセチン
ポリフェノールの一種であるケルセチンには強力な抗酸化作用があります。ケルセチンは、玉ねぎやブロッコリーなどの野菜や、りんご、ぶどうなどの果物などに含まれています。とくに多く含んでいるのが玉ねぎです。
●硫化アリル
玉ねぎ特有の臭いや辛み成分である硫化アリルには、あぶらの代謝を促進し、血栓ができるのを防ぐ作用があります。また、不足すると疲れやすくなったり、イライラしたりするビタミンB1の吸収を高める働きもあります。
●サポニン& イソフラボン
大豆に含まれているポリフェノールであるイソフラボンとサポニンは、悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、血液中の余分なあぶらをきれいに流してくれます。イソフラボンは女性ホルモンと似た働きをすることでも知られています。
●ジンゲロール&ジョウガオール
ジンゲロールは生のしょうがの辛み成分で、血行をよくし、代謝を高め、脂肪の分解や排出を促す作用をもちます。ジンゲロールを乾燥したり加熱するとショウガオールに変化します。抗酸化作用はショウガオールが強いとされます。
「あぶら」を落とすスープの素の作り方
【材料(10食分)/63Kcal(1杯あたり)】
・かつお粉………50g
・しょうが………20g
・玉ねぎ………1個(200g)
・しょうゆ………60g
・黒すりごま………大さじ3(18g)
・エキストラバージンオリーブオイル………大さじ2(24g)
・りんご酢………大さじ1(15g)
・粉末緑茶………大さじ2(約7.2g)
1.かつお粉、しょうゆ、黒すりごま、オリーブオイル、りんご酢、粉末緑茶をボウルに入れてよく混ぜる。
2.玉ねぎをすりおろし、さらにしょうがをすりおろす。
3.1に2を入れてよく混ぜる。
4.3を製氷皿に詰めて冷凍庫へ(臭い移りが気になる場合は、ラップを被せる)
食べ方
●スープの素にお湯を100ml注ぐだけでOK。若干「ぬるめ」になりますが、手軽に作ることができるため、時間がないときにおすすめです。この解凍方法の場合、必ず沸騰させたお湯を使用してください。
●スープの素と水100mlを耐熱容器に入れてラップをして電子レンジ(600W)で約1分30秒ほど加熱してよく混ぜ溶かします。熱々が飲みたいとき、スープジャーに入れて携帯するときにおすすめです。
[栄養価を損なわない加熱時間の目安]600W⇒約1分30秒、500W⇒約1分50秒
●人数分のスープの素と水を鍋に入れてひと煮立ちさせながらよく混ぜ溶かします。何人分かを一度に作りたいとき、スープジャーに入れて携帯するときにおすすめです。加熱しすぎると栄養価が損なわれてしまうことがあるので、グツグツと煮詰めないようにしましょう。
[栄養価を損なわないための注意点]ひと煮立ちしたら火を止める
* * *
血液と体の「あぶら」を落とすスープ
著/五藤良将
アスコム 1,540円
五藤良将(ごとう・よしまさ)
医療法人社団五良会理事長、竹内内科小児科医院院長。
お医者さんに憧れていたが親戚には医師がおらず、決して裕福な家庭ではなかったが死に物狂いで勉強して防衛医科大学校に入学。防衛医科大学校首席卒業後、自衛隊関係病院、千葉県を中心とした病院勤務を経て、2019年9月から東京都田園調布の竹内内科小児科医院を継承し、院長に。2021年10月から医療法人社団五良会の理事長となる。五良会クリニック白金高輪、五良ファミリークリニックセンター南と分院も展開している。テレビ出演多数。Yahoo!ニュース、東洋経済オンライン、各雑誌などで医療監修も多数。内科認定医、日本抗加齢医学会専門医、美容内科学会評議員、日本温泉気候物理医学会療法医、日本旅行医学会認定医、複数の学校校医、難病指定医など幅広く診療を行っている。「医者としてのモットーは患者さんに寄り添うこと。融通がきき、患者さんが近づきやすい医者であること」で、「赤ひげ先生」に憧れて日々診療を行っている。