毎日、どれだけスマホの画面を見ていますか?

スマホを使いすぎると目に悪い。誰もがそう思っているはずです。視力が落ちる、目が疲れる、乾く、かすむといったことは容易に想像がつき、実際に経験している人も多いでしょう。

しかし実は、スマホの本当の怖さは別にあります。たとえ視力検査の数字が悪くなくても、眼球運動が鈍くなる、視野が狭まる、内斜視の原因になる、依存性を高めるなどの悪影響が生じることがあるのです。

そんな新現代病といえる「スマホアイ」の恐ろしさを眼科医の松岡俊行さんが新著『スマホアイ~眼科専門医が教える目と脳と体を守る方法』(アスコム)にて解説しています。今回は、スマホアイの予防法についてご紹介します。1日2時間以上、スマホを見る人は必読です!

文/松岡俊行

スマホのせいで目も脳も常にヘトヘト…

スマホアイを予防するためにまず大切なのは、近くを長時間見続けないことです。見る対象がスマホ以外のタブレットやパソコン、テレビといった電子機器でも、あるいは本だとしても、このルールは当てはまります。近くを長時間見続ける行為は、とにかく目が疲れてしまいます。あなたは、1日にどのくらいスマホを使っているでしょうか?

メールやSNS、ニュースのチェックに調べもの、動画にゲームと、全部合わせたら1時間や2時間では済まないのではないでしょうか。たとえば、MMD研究所とスマートアンサーが共同で行った「2021年版スマートフォン利用者実態調査」では、1日のスマホの利用時間は「2時間以上、3時間未満」が全体の19.7%でトップでした。それより長時間利用している人も多く、「3時間以上、4時間未満」が16.1%、「4時間以上、5時間未満」が10.7%、「5時間以上、6時間未満」が8.4%、「10時間以上」もなんと4・3%です。

こうした調査は他にもいくつかあります。グロッサムが行った「スマホでの情報収集に関する定点調査」の2021年版では、1日の平均利用時間は136.3分だったそうです。やはり2021年に日本マーケティングリサーチ機構が行った調査では、53.75%が「1日に3時間以上」スマホを見ていると回答しています。調査によって結果はまちまちですが、平均的には2時間、3時間は平気でスマホを使っていると思っていいでしょう。

なんとなくスマホを見始めたら、あれこれと次々に見てしまって気づいたら1時間も経っていた、なんていう経験は珍しくありません。このとき、あなたの目と脳はものすごく疲労しています。近くを凝視するために目はヘトヘト、その目から入ってくる膨大な情報で脳はパンク状態。あまり自覚はないかもしれませんが、確実にダメージは蓄積されているのです。

たった20秒で目はリフレッシュする

さて、そうはいっても急にスマホの使用時間を大幅に減らすのは、難しいと思います。そこでおすすめしたい簡単な対策が、目を疲労から守る「20・20・20ルール」です。20 ・20・20ルールは、20分間スマホやパソコンを見たら、20秒間、20フィート(約6メートル)離れたところを眺めましょう、という休憩のルールです。米国眼科学会議が推奨しています。

たった20秒間の休憩でそんなに意味があるの? と思うかもしれません。もちろん専門家のなかにも効果を確かめようとした人がいます。イギリス・アストン大学のジェームズ・ウォルフソン教授をはじめとした研究チームは、眼精疲労のあるパソコン使用者に20・20・20ルールを実施してもらい、1週間後の変化を確認しました。すると、乾燥、ヒリヒリ感、不快感などの症状が軽減したそうです(Talens-EstarellesC,etal.ContLensAnterior Eye.2022 Aug 10.[Epubaheadofprint])。

視線の先にある対象との距離が近いほど、目の筋肉はピントを合わせるために懸命に働いています。しかし、当の本人は、目や脳を酷使していることに気づきにくいものです。このままでスマホアイや眼精疲労、近視の進行を防げませんから、適当なところで時間を区切って遠くを見ることで、疲れた目を休ませるわけです。20フィート(6メートル)という距離はあくまでも目安です。窓の外をぼーっと見るだけでかまいません。ピント調節のために緊張したまま凝り固まりかけた筋肉が、調整の役目から解放されることで一気にリラックスできます。その間、目から送られてくる情報の処理に追われていた脳も、ひと休みできます。時間に関係なく、スマホを見終わった後は必ず遠くを見る習慣をつけると、さらに効果的です。

たった5秒のツボ押しで目の疲れを軽減

手間をかけずに行なえるツボ押しも、日常的な目のメンテナンスに最適です。ツボを刺激すると血行が促進されるとともに、筋肉の凝りがほぐれ、交感神経も整います。中国に古来から伝わるツボは、経穴とも呼ばれ、気の通り道とされる経絡の上に点在しています。WHO(世界保健機関)からも医学的な有効性が認められており、その数はWHOに認定されたものだけで361にものぼります。

ここでは、目にいいツボをいくつか紹介しましょう。目の周辺であれば、眉頭のやや下に位置する「攅竹(さんちく)」やこめかみあたりにある「太陽」、目の真下にある「承泣(しょうきゅう)」があります。これらは、ドライアイやかすみ目、目の痛みを和らげます。左右一緒に、中指や親指のお腹を使って5秒ほどやさしく押してみてください。眉尻にある「絲竹空(しちくくう)」眼精疲労や目の凝りに効果があります。このツボも左右同時に中指のお腹で5秒ほど、ゆっくりマッサージしてください。これらは眼球近くのツボですから、強く押すのは避けましょう。また、眼球自体をマッサージすると傷つけてしまう恐れもありますから、絶対にやめてください。

目にいいツボとしては、後頭部や首、肩の周りにある「風池(ふうち)」や「天柱(てんちゅう)」、「肩井(けんせい)」といったツボも挙げられます。親指や中指の腹で押し込み、ほぐしてあげましょう。これらは目や肩の凝りにも効果があるツボです。目に問題があると、姿勢が崩れて肩にも疲れが溜まっていますから、こうしたツボは便利ですね。目の疲れや肩こりに効くツボは、人差し指と親指の間にもあります。「合谷(ごうこく)」というツボで、手軽に押せるのでスマホ利用の合間にもおすすめです。反対の手の親指と人差し指で挟んで軽く刺激してください。

*  *  *

スマホアイ~眼科専門医が教える目と脳と体を守る方法
著/松岡俊行
アスコム 1,540円

松岡俊行(まつおか・としゆき)
医学博士。眼科専門医。
大阪市出身。幼少より左右の視力に差があること(不同視)で目に興味を持つ。灘中学校・高等学校を経て、1992年京都大学医学部医学科卒。眼科研修の後、1996年京都大学大学院医学研究科、2001年ロンドン大学UCL客員研究員。京都大学大学院在学中に「Science」に、ロンドン留学中に「Nature」に論文掲載。2008年、京都大学大学院医学研究科准教授。2019年大阪府吹田市に江坂まつおか眼科を開業。2021年医療法人アメミヲヤ設立。2022年「近視の撲滅を目指す Dr.まつおか」YouTubeチャンネルを開設。スマートフォンの普及による子どもの視力低下や、眼球運動、両眼視機能への悪影響などを懸念し「スマホアイ」と称して警鐘を鳴らす。子どもの目を守る眼科医として、寝ている間に専用のコンタクトレンズを装着することで視力回復を図る「オルソケラトロジー」を推進するほか、自宅でできる手軽な視力回復メソッドとして「マジカルフレーズ」を考案。視力の維持・回復だけでなく、視機能を守ることで子どもの健やかな成長を促す活動に注力している。

 

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