皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの? 」と思っている方も多いのではないでしょうか。

基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第59回のテーマは、「冷え性を改善する漢方薬」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、竹田由子さんに教えてもらいました。

こんな冷え性の人には漢方がおすすめ

多くの女性の悩みの上位に位置する冷え性。体の一部、もしくは全身が冷えてつらくなる状態を指します。普通の人が寒さを感じない温度でも体が冷え、調子が悪くなってしまう場合もあり、季節を問わないのも特徴です。

冷えによって血流が滞ると、様々な体の不調の原因になります。「冷えは万病のもと」ともいわれるように、頭痛や生理不順、倦怠感を始め、恐ろしい病気のきっかけになることもあります。

冷え性には大きく分けて、「手足が冷える」「おなかが冷える」「全身が冷える」といった症状があります。まずは、冷え性のタイプごとの特徴についてみていきましょう。

1.手足が冷える

一般的に冷え性と聞くと、このタイプを思い浮かべる人も多いでしょう。四肢末端型ともいわれ、比較的若い女性にみられます。手や指先だけが冷える場合、足先だけが冷える場合、手足全体が冷える場合と、個人差があります。

自律神経に関わっている「気(き)」を始め、「血(けつ)」「水(すい)」など体に必要不可欠なものの流れが滞り、体の隅々まで行き渡らないことが原因です。痩せている女性に多く、季節に関わらず手足が冷たくなるのも特徴です。

2.おなかが冷える

おなかが冷えるタイプは、おなか=内臓が冷えているのが特徴で、漢方医学的には血の巡りが悪い「瘀血(おけつ)」体質と診断されます。下腹部や二の腕が冷たくなり、消化機能の低下だけでなく、月経不順や月経痛などの症状がみられます。

3.全身が冷える

全身が冷えるタイプは、体全体が冷え、体温が低下しているのが特徴で、自律神経に関わっている「気」が不足している「気虚(ききょ)」の状態になっています。食べ物を消化する力が弱まり、必要な量のエネルギーをつくり出せないので、全身を温められず冷えてしまい、免疫力も低下して風邪にかかりやすくなります。

冷え性を改善する漢方

「冷えているから温めればいい」が正解とは言い切れないのが冷え性の難しいところです。

冷え性のタイプによって原因は違い、温めることで逆に悪化してしまう場合もあります。

冷えは、水分代謝の乱れや血行不良、胃腸の働きの低下、熱をつくる機能の低下などが原因で生じると考えられています。

冷え改善には、「水分のかたよりを調整して冷えを解消する」「血流をよくして熱を巡らせる」「胃腸の働きをよくして熱をつくりだす」「代謝を上げて、熱をつくる機能を回復する」などの働きをもつ生薬を含む漢方薬を選びます。

また、熱をつくる機能を低下させる原因となる「ストレスの軽減」「睡眠の質を上げる」「疲労を改善」などのアプローチも行います。

漢方薬は冷えの原因を根本から改善するため、冷えにくい体を手に入れることができます。

ここからは、それぞれの冷え性ごとに改善を期待できる漢方を紹介します。

1.手足が冷える人におすすめの漢方

手足が冷える人には、「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」がおすすめです。体を内部から温め熱をつくる手助けを行います。手足などの末梢だけでなく、冷えに伴う頭痛や下痢、月経異常がある場合にも適しています。

手足の冷えにのぼせを伴う場合は「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」が向いています。のぼせたり手足が冷えたり安定しない場合は、血行を改善し自律神経を整える「加味逍遙散(かみしょうようさん)」がおすすめです。

2.おなかが冷える人におすすめの漢方

おなかが冷える人には、体を温め、胃腸の動きを整える「大建中湯(だいけんちゅうとう)」がおすすめです。冷えて頭痛が伴う場合は「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」が向いています。おなかを温め冷えを取り除きます。

また、三大婦人薬の一つ「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」もおなかの冷え性に向いています。水分代謝を整え、血行改善が期待できるため、体の内側から冷え性をケアすることができます。

3.全身が冷える人におすすめの漢方

全身が冷える人には、体を温める生薬の附子(ぶし)を含む「真武湯(しんぶとう)」や「八味地黄丸(はちみじおうがん)」がおすすめです。体を温め、血行を促し冷えを取り除きます。冷えて痛みがある場合にも向いています。月経に伴い手足の冷えだけでなく腰痛や頭痛が生じる場合は、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」もよいでしょう。

また、疲労感も強いようなら、体を温め、胃腸の働きを促す「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」も適しています。

漢方は体質との相性で正しく選ぼう

漢方では、「気・血・水」の3つが人の体を構成する要素だと考えています。どれかが突出すればいいというわけではなく、この3つのバランスを保ち、うまく循環させることが大事です。

また、漢方を処方するうえで、症状と体質という面も非常に重要です。体質と抵抗力、そして病期の進行をみながら、体がどういった傾向にあるのかを診断し、適切な漢方薬を処方します。

そして、漢方薬の処方には、きちんと漢方医学を学んだプロの医師や薬剤師の存在が不可欠です。適切な診断と処方がないと、効果を得るどころか逆に副作用が出てしまうこともあります。漢方薬は、正しい診断・処方とセットでなくてはいけません。

最近は、あんしん漢方というスマホで気軽に利用できる便利なサービスも登場しています。専門家と最新のAIがタッグを組み、メディカルとヘルスケアを合わせた「メディヘルス」を掲げ、症状緩和と根本改善を目指すパーソナル漢方サービスです。

適切な漢方薬とのマッチングのほか、定期的な体質・症状チェックがあるので、実際の病院に通う感覚で利用できます。

●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0134

冷えにくい体づくりも大事

冷え性は主に手足などの末端、おなか、全身という3タイプに分けられ、それぞれ原因や解決方法も異なります。季節を問わず起きるもので、恐ろしい病気の原因になることもあります。

ストレスを溜めず、きちんと規則正しい毎日を送ることも自律神経のバランスを整えるコツです。毎日健やかに過ごし、冷えにくい体づくりを心がけましょう。

さて、次回は「加齢臭が気になり始めたら試したい漢方」です。ぜひご覧ください!

<この記事を書いた人>


あんしん漢方薬剤師
竹田由子(たけだゆうこ)
臨床薬学専門。病院で10年以上医薬品情報室に長年従事し、医薬品に関する情報に精通。元漢方・生薬認定薬剤師、薬膳漢方マイスター。
漢方の活用で月経痛時の鎮痛剤を減量できた自身の経験から「日常の不調はまず漢方」をモットーに体の不調を我慢する女性へ対し情報発信している。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0134

 

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