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「いつまでも疲れが抜けない」「気が短くなった気がする」「食欲がない」……。その不調、あなたの心と体が休めていないサインかもしれません。

この連載では、自らも睡眠を変えたことで人生が変わった、睡眠コンサルタントの友野なおが、自分自身を幸福感で満たし前向きに生きるための“心と体の上手な休め方”をアドバイスします。

現代人はストレスにさらされています。

厚生労働省の調査(2014年)では、精神障害に係る労災請求件数が1,456件、決定件数が1,307件と、メンタルの不調に苦しむ人は過去最高レベルで推移しています。

心と体は自律神経系、免疫系、内分泌系の三つのルートでつながっています。そのため、心が不安や心配で埋めつくされていると、体に不調が起こり、老化も加速します。

疲れやストレスは、正しく休んでいないことが大きな原因。正しいリラックス方法や睡眠習慣を身につけることで、心も体も健康になり、理想を実現することもできるのです。

私自身、人間不信と体調不良で心がパンクし、疲れ果てていた時期がありました。しかし、ぐっすり眠って心と体を休ませたことで健康に、前向きに変わることができたのです。

私の著書『やすみかたの教科書』では、心と体の上手な休ませ方を解説しています。

これから5回に渡り、心も体も健康で若々しくあるためにすぐ実践できるリラックス法やよい睡眠習慣の身につけ方をお話ししていきたいと思います。

■4つのタイプ別“ストレスをやわらげる方法”

ストレスと睡眠は、密接に関わっています。

じつは、脳の中で睡眠のリズムをコントロールする場所は、ストレスを感知する場所と同じところにあります。そのため、ストレスがかかると睡眠サイクルも乱れ、睡眠のサイクルが乱れるとストレスにも弱くなるという悪循環に。

しかし、眠りは私たちの気分も、気力も、体力をも左右する大切な活動です。快眠のためには、ストレスを少しでも減らしたいものです。

ストレスをやわらげる方法は、“人との関わりの度合い”と“活動量”の組み合わせから4パターンに分けられます。

(1)活動量が高く、人と関わる方法。例:テニスサークルやゴルフなど

(2)活動量が低く、人と関わる方法。例:友人とおしゃべりや食事に出かけるなど

(3)活動量が高く、ひとりで行う方法。例:ジョギングや水泳など

(4)活動量が低く、ひとりで行う方法。例:読書や音楽鑑賞、楽器の演奏など

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この4つの中から、自分のライフスタイルに合った方法を探してみるとよいでしょう。

ちなみに運動に適した時間帯は、体温が1日の中で最も高い就寝時刻の19時間後。

前の晩11時に眠ったのであれば、夕方6時です。この時間に運動をすると、そのあとの体温下降がスムーズになり、身体が眠る準備を上手に整えられます。

■嫌なことは過去形で話すとストレスがやわらぐ

さらに、もっと手っ取り早くストレスをやわらげる方法もあります。

それは、今を過去形で話すこと。頭にきたことやネガティブな出来事を、とっくに終わった遠い過去の出来事として口に出すのです。

たとえば、部下が指示した書類を作り上げられずに苛立ったら「あのときあの人が書類を間に合わせられなかったから、企画を再考してブラッシュアップすることができた」とつぶやく。

些細なことで奥さんと口げんかしてしまったら「あのときお互いがそれぞれの意見を言い合ったから、誤解を解くことができてよかった」とつぶやく、という感じです。

すべては自分が主人公の映画の中で、幸せな結末に向かって起こったエピソードのひとつだと考える癖をつけましょう。

すると「長いスパンで見れば、すべての出来事が幸せな未来につながっている」ということが理解できます。現在のマイナスな状況をどう変換すればプラスに変えられるだろう、と考える訓練にもなります。

■音楽を聴いたり自然に触れたりするのも効果的

上手に休んでオンとオフのバランスを高めることも、ストレスをやわらげます。

身近なリラックス方法でおすすめなのは、モーツァルトの曲を聴くこととグリーンエクササイズ。

海外では、モーツァルトの音楽を聴くことで病気の治癒をめざすモーツァルト療法というものも存在しており、リラックス感を高める効果が期待されています。

グリーンエクササイズとは、五感でリラックス効果を高める方法。緑がある公園を散歩したり、ガーデンカフェでひと休みしたり、自然にふれる活動をさします。

5分程度でもストレス軽減につながるといわれており、仕事の合間に窓から緑を眺めるだけでも有効です。

対人関係をはじめとする精神的なストレスのほか、現代ではスマホやパソコン、テレビなどデジタル機器からのテクノストレスも蓄積しています。

上手なやすみかたを身につけ、意識するとしないにかかわらず溜まるストレスへの対処法を知っておきたいものです。

著書『やすみかたの教科書』では、上手な睡眠習慣の方法だけでなく、ストレスをやわらげる考え方も紹介していますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

 

監修・構成/友野なお
取材・文/酒寄美智子

 

指導/友野なお(とものなお)
睡眠コンサルタント。株式会社SEA Trinity代表取締役。科学でわかる ねむりの環境・空間ラボ主宰。自身が睡眠を改善したことにより体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。日本睡眠学会、日本睡眠環境学会に所属。行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりを得意とし、全国での講演活動、健康・美容市場における企業の商品開発やプロモーションのコンサルテーションを行う。

 

【参考図書】
『やすみかたの教科書』
(友野なお・著、本体1,200円+税、主婦の友社)

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