「思っているけれどなかなか行動に移せない」「もっとこんな風になれたらいいのに」。自分の理想と現実とのギャップにモヤモヤした気分を抱えている方は、考え方を少し変えるだけで変化が生まれるかもしれません。そこで、コーチングの専門家・三木未希さんの著書『つよつよメンタルで人生は思い通り』から、しなやかに軽やかに、なりたい自分に変化していくヒントをご紹介します。

文/三木未希

とりあえずできることをやる

新しいことをはじめる時、よっしゃ! と気合を入れて張り切る人もいれば、めんどくさくて憂鬱になる人もいます。どちらのタイプの人も「寝ながらでもできるくらい、簡単なことからはじめる」と意識しておくことをおすすめします。息をするように、寝起きでも、何かをつまみ食いするくらい簡単で、何かのついでにできるようなことからはじめると意識しておくと、「やらなきゃ」のハードルを下げることができます。

それこそ、書類を確認するために封筒を開けるとか、部屋の掃除をするためにゴミ袋を買っておくなど、その程度でいいのです。まずは、無心でもできる程度のことからはじめてみることが大切です。

お茶を飲みたいと思ったら、まずはお湯を沸かしますよね。その程度のことからはじめるくらいでいいです。そのために、やりやすくする工夫は考えておいてもいいでしょう。「やる」ためのハードルを下げる工夫です。封筒を簡単に開けるためにレターオープナーを買うとか、届いた郵便物を置いておく場所をつくるとか、ゴミ袋を買いに出かけようと思っても身支度するのがめんどうだと思うならば、とりあえずかぶってしまえばどうにかなる帽子を買っておくなど……。どういう状態だと自分が行動しやすいかな、と考えてみるのがコツです。

この時に気にしておいてほしいのが、もうお分かりの通り「できることに注目する」ということ。書類を読んで処理をして、と考えると億劫になるかもしれませんが、とりあえず開封するだけなら自分がどんな状態でもできますよね。寝ながらでもできるようなことは、できることに注目してみると自然と見つかります。張り切って無理そうなことにチャレンジする前に、まずはできることからやってみる。できることはできますから、「よし、できた」の体験と一緒に次の手に移っていきましょう。

「その次」を見据えたブランコ効果で行動に拍車をかける

はじめの一手は打ちました。でも、その次の行動に移ることができない人っていっぱいいます。やろうと思って方法を調べて、やり方は知っているけど、やっていないようなことは私にもたくさんあります。本当は書類を確認したいのに、封筒を開けても中身を取り出せなかったり、部屋を片づけたいのに、ゴミ袋を買ってきても放っておいたり。お湯が沸いたら放っておくわけにはいきませんから、誰でもお茶を淹れるだろう、と思うかもしれませんが、それは甘いです。お湯を沸かしっぱなしで放っておくような人もいます。

コーチングでは目標を達成するために、コーチと一緒に一番最初にやることを決めて、それをやったら「できたよ」ってメッセージを送るという一般的な手法があります。

コーチングといえばこれ、と思われている方法なので、なんとなく聞いたことがあるという人も多いと思います。これはこれでとてもいい方法なのですが、ひとつ欠点があるとすると、最初の一手で終わっちゃう可能性が高いということ。コーチングは通常2週間に1回や1か月に1回お会いすることが多いので、止まってしまった行動を2週間後や1か月後に再始動させるのは、ご本人も大変ですし、時間もお金もとてももったいないことです。

そうならないためには、行動を細かく分けて単純な順番をつけた工程表をつくって、クリアするたびにメッセージをいただくなどの工夫をします。やらない< 続けたい、となるようなわくわくで身体をいっぱいにする、ということをやったりもします(一緒にめちゃくちゃ妄想します)。これらはご自身でもできそうですね。

他に自分でできることとして、ブランコのイメージを持ってもらうのもいいかもしれません。ブランコって、漕ぎ出した最初の2、3回は結構力が必要ですが、漕いでいくうちに軽い力でもだんだん遠く、高くまで動いていくことができます。でもいったん漕ぐことを止めてしまうと、ブランコもだんだん止まっていきますよね。止まってからもう一度漕ぎ出すのは大変。行動もこれと同じだと思っておくのはいかがでしょう。やりたいことができるまで、やめずに続けた方が楽。途中で休憩するよりも、漕ぎ続けてしまった方が楽に早く遠くまで行くことができる。これをブランコ効果と名付けておきましょう。

毎晩寝る前に、次の日の洋服を準備している人はいらっしゃいますか? 朝からコーディネートを考えるよという人もいらっしゃると思います。どちらにしても、「スムーズに出勤する」という目的(とりあえずのゴール)にたどり着くために、うまくブランコできていればいいわけです。毎朝特に何もトラブルなく出勤できているならば、あなたの洋服の準備や朝ごはんの方法、歯磨きなどの身支度のやり方は、自分が上手にブランコできるための工夫としてうまくできている、と考えられそうです。もし毎日てんやわんやで、しっちゃかめっちゃかならば、ブランコの工夫を考えてみてもいいかもしれません。その時は、「どこまでうまくいっている?」とチェックすることをおすすめします。「なんでうまくいかないのだろう」ではなく、うまくいっていること(できること)に注目します。できることを整理することで工夫できる点が見つかり、やることの優先順位や「やりやすさ」に気づきやすくなります。見つかったら、できることから工夫してみてください。

お仕事ならば、毎回区切りのいいところまでやる(次の一手はまっさらの状態)のがいい、という人もいれば、続きからはじめる方がやりやすい(中途半端なところで終わっておく)という人もいます。

具体的な例としては、机の上を毎日きれいに片付けるのがやりやすいか、出しっぱなしがいいのか。見た目の問題はありますが、見た目よりもお仕事をやる方が大切なのであれば、出しっぱなしでもよしとしましょう。自分がやりやすい方法を工夫してみる。「できる」のための「次の一手」は何かを考えてみましょうね。

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三木未希(みき・みき)
1978年9月奈良県生まれ。同志社女子中学、同志社女子高校、同志社大学文学部卒業。同志社大学リエゾンオフィスにて産学連携コーディネートと学生ベンチャー支援業務。(公財)横浜企業経営支援財団にて技術系ベンチャー企業の経営支援業務(インキュベーションマネージャー9年間)。2018年3月コーチとして独立。NLPを使ったパーソナルコーチとして2021年8月時点で、リピート率100%継続中。

 

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