シミやしわ、肌荒れに肌のくすみ、年齢を重ねるごとに肌の悩みは増えていきます。ケアをしたほうがいいと思いながらも、忙しい日々のなかでなかなか手がつけられず、「もう年だから……」と諦めてしまっていませんか? 『老けない人が食べているもの』の著者である、医師・工藤あき先生は、「老ける人と老けない人の差は、遺伝やスキンケアの問題だけでなく、肌をつくる食事の内容にある」と言います。そこで、体の中から肌を変えていくインナーケアの大切さをご紹介します。
文/工藤あき(消化器内科医・美腸・美肌研究家)
内科の患者が肌トラブルに悩むワケ
「あの人、最近なんだか疲れて見える」
「急に老け込んでしまったみたい」
誰かの顔色や肌ツヤの具合を見て、その人の体調が心配になった経験があると思います。なんらかの病気であれば、それが見た目に表れるのもイメージがつきやすいかもしれません。でも実は、日常的に気になるシミや肌荒れ、ニキビなどのちょっとした肌の異変も、からだのなかの不調のサインです。
日々、消化器内科医として患者さんたちの診療にたずさわっている私には、からだのなかの状態と見た目とが密接に関係していることがよくわかります。胃もたれやおなかの痛み、慢性の便秘などで来院した患者さんには、肌荒れやニキビなどのスキントラブルも同時に表れている人が少なくないからです。
そして患者さんにふだんの食生活について質問すると、こんな答えが返ってきます。
「忙しいので、つい買ってきたお総菜ばかり食べています」
「リモートワークだと朝ちゃんと起きられなくて、食事の時間がバラバラなんです」
「コロナで外食できなくなって、テイクアウトで夕飯を調達していたら、いつの間にか体重が増えました」
このような具合で、どうやら毎日の食事に問題があるらしいことがわかります。
タンパク質が不足していて、カサカサ肌になる……。栄養のかたよった食事で腸内環境が乱れ、肌がくすむ……。塩分のとりすぎで、高血圧になったり、むくみや肌荒れが起きたりする……。などなど、医者の立場からすれば、“さもありなん”ということばかり。食生活の乱れ―体内のトラブル―肌のトラブルは、とても密接に関わっているのです。
まだあまりピンとこないかもしれませんが、人体の仕組みを考えれば当然です。皮膚は私たちのからだを覆う1枚につながった布のように見えますが、実はとても小さな細胞が何層にも重なってできています。
そしてその細胞の材料はもちろん、すべて私たちが食べたもの。肌に異常が表れるのは、体内の不調で栄養が正しく運ばれていなかったり、そもそも栄養が足りていなかったりする証拠でもあるのです。特に、私の専門である消化器官と肌との関連は顕著です。
見た目の不調に、からだのどんな変調が隠されているのかは、次回ご紹介します。
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『老けない人が食べているもの』(工藤あき 著)
アスコム
工藤あき(くどう・あき)
消化器内科医・美腸・美肌評論家。一般内科医として地域医療に貢献する一方、腸内細菌・腸内フローラに精通。腸活× 菌活を活かしたダイエット・美肌・エイジングケア治療にも力を注いでいる。また「植物由来で内面から美しく」をモットーに、日本でのインナーボタニカル研究の第一人者としても注目されている。NHK「ひるまえほっと」などに出演。著書には『体が整う水曜日の漢方』( 大和書房)などがある。テレビ、本、雑誌などメディア出演多数。その美肌から「むき卵肌ドクター」の愛称で親しまれている。2児の母。日本消化器内視鏡学会専門医。日本消化器病学会・日本肥満学会・日本高血圧学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本内科学会認定医。