ダイエット中は小腹が空いても間食を我慢することが多いもの。しかし、食べる内容や食べ方さえ気をつければ、間食は体にいい栄養素を補給する、最高の機会となるのです。
間食に高カカオチョコレートを食べるというシンプルなダイエット法で、4か月で24キロものダイエットに成功した医師・鈴木幹啓の著書『医師が教える最強の間食術』から、ダイエット以外の高カカオチョコレートの効果をご紹介します。
文/鈴木幹啓
日本人の3人にひとりは高血圧
高血圧とは、最高血圧が140mmHg 以上、最低血圧が90mmHg 以上の状態のことを指します。日本の高血圧患者は4300万人いると推定されており、日本人のおよそ3人にひとりが高血圧という状況。もはや国民病といっても過言ではないでしょう。
高血圧の状態が続くと、脳卒中や心筋梗塞など血管の状態の悪化が原因で起こる重大な病気につながる危険性が高まり、負のスパイラルが加速するのです。
高血圧の原因は、はっきりとは特定できていませんが、食生活や環境要因、遺伝など、複数の要因が引き金となっていることはわかっています。なかでも、肥満、ストレス、喫煙、塩分の摂りすぎはリスクが高いとされています。
これらを控えることは高血圧の原因を排除することにはなりますが、ガマンしすぎてそれがストレスになり、さらなる高血圧を呼んでしまうケースもあります。
私が高カカオチョコレート習慣をすすめるのは、カカオのリラックス成分やストレス緩和成分にも高血圧の予防効果を期待できるから。私自身、チョコレートを食べながら減量した際に、ストレスなく高血圧が改善したので、間違いありません。
高カカオチョコレートで高血圧予防
実際に高カカオチョコレートが血圧を下げたという調査結果も報告されています。
「蒲郡スタディ」では、347人の住民にカカオ成分72%の高カカオチョコレートを1日25gずつ4週間食べてもらい、血圧や血液成分の変化を調査しました。その結果、全員の平均値で最高血圧が2.6mmHg、最低血圧が1.9mmHgも低くなるという結果が報告されました。それも、血圧が高めな人ほど、血圧が下がる幅が大きいという興味深い結果になったのです。これは、高血圧に悩む人にとって、うれしい結果ではありませんか?
また、チョコレートを食べることで血圧が下がる理由として、カカオポリフェノールの働きがあげられます。
カカオポリフェノールは、血管の壁に炎症が生じると、その炎症を抑える作用があります。炎症が軽減されることによって、腫れて狭くなっていた血管が広くなり、血流がよくなって、その結果血圧が下がるというわけです。
日本では自分が高血圧だと自覚していない人が1400万人もいる(厚生労働省「国民健康・栄養調査」による)といわれます。高カカオチョコレートを習慣にして、無自覚の高血圧予備軍や、高血圧の症状改善に役立ててください。
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『医師が教える最強の間食術』鈴木幹啓 著
アスコム
鈴木幹啓(すずき・みきひろ)
日本小児科学会認定小児科専門医。すずきこどもクリニック院長。株式会社やさしさ代表取締役。株式会社オンラインドクター.com代表取締役。自治医科大学卒業。2010年、卒業しわずか9年で現在のクリニックを開業。和歌山県新宮市(人口約2万7000人)の地方都市にもかかわらず、1日200人近く診察し、日本一忙しい小児科医と称されるにいたる。診察に従事する傍ら「親・子・孫の三世代が集まれるような地域づくりをしたい」という思いから、2016年4月に、介護サービス付き高齢者住宅や子どもが遊べる公園、さらには商業施設がそろった「海賊公園スクエア」をオープンさせた。また、「患者ニーズを徹底的に追求する」ことを理念に掲げ、オンライン診察実施医療機関と患者をマッチングさせるオンライン診療システム、「イシャチョク」を運営している。