とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなったり、汗が止まらなかったり、どうしてこんなに頭が痛いの? など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調があらわれることがあります。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか? 私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家が解説します。
第74回のテーマは、「メタボリックシンドローム」です。医師の木村眞樹子さんに教えてもらいました。
50代になってからの急激な体重増加…家族の理解も得られず
智子さん 54歳女性 主婦の方からご質問を頂きました。
「50代を過ぎてから、食べ過ぎているわけでもないのにおなか周りに脂肪がつき、まったく落ちません。それと同時に、毎年受けている健康診断の結果で異常数値が複数見つかりました。
血糖値は基準値ギリギリまで上がり、血圧も要経過観察となりました。腹囲は95cmまで増え、メタボリックシンドロームの基準値を超えました。急激な体の変化に愕然としています。
夫からは『怠慢の証拠。生活が乱れているんだろ』と言われ、さらに娘からは『一緒に外出したくない』とまで言われてしまいました。
かなり太って見た目も劣化したうえ、生活習慣病による命の危険すらあるのではと思うと、恐怖を感じます。さらに、生活習慣改善のための情報収集にも労力がかかり、不安やストレスが一気に押し寄せて途方に暮れています」
ご質問ありがとうございます。太ると見た目と健康の両面から気になることが増えますよね。とくに、智子さんはメタボリックシンドロームの基準値を超えているということで、将来的な健康への不安もあるかと思います。
50歳前後の更年期の女性は、ただ太りやすくなるだけでなく、太り方そのものが変わります。今回は、更年期のメタボリックシンドロームの原因と、簡単に行える対策をご紹介します。
更年期メタボの原因は女性ホルモンの急激な減少
更年期のメタボリックシンドロームの原因は「女性ホルモンの減少」と「基礎代謝の低下」です。
更年期には様々な体の変化が起きますが、メタボリックシンドロームもそのひとつです。これは、別名「内臓脂肪症候群」とも呼ばれ、その名の通り内臓に脂肪がつきます。
そして、更年期には太り方そのものが変わります。
更年期を迎える前はお尻や太ももあたりに皮下脂肪がつく、いわゆる「洋ナシ型肥満」が多いのですが、更年期を迎え閉経すると、内臓周りに脂肪がつく「リンゴ型肥満」になります。リンゴ型肥満は、中年男性にもよくみられるポッコリとおなかが膨らむ太り方です。
更年期を迎えると、女性ホルモンの「エストロゲン」の分泌が急激に低下します。このエストロゲンは脂肪の燃焼を促進する働きを持っています。
そのため、更年期を迎えエストロゲンの分泌が極端に少なくなると、うまく脂肪を燃焼できず、内臓周りに脂肪がつきやすくなるのです。
また、加齢による筋肉の減少で基礎代謝が落ちることも太る原因です。基礎代謝とは、生きているだけで消費されるエネルギーのことで、筋肉が少なくなるとその分消費するエネルギーが減り、「昔と同じ食事量なのに太る」ということが起きます。
続いては、更年期のメタボリックシンドロームの対処法をご紹介します。
更年期のメタボを改善する3つの方法
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、食事や運動の見直し、そして漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
1.食事や睡眠時間を見直す
まず、生活習慣のなかでもとくに重要な食事と睡眠を見直し、太りにくい体を作りましょう。
最近注目されている「糖質制限」もメタボに悩む女性には有効です。米やパンなど、炭水化物中心の食生活から肉や魚、大豆などのタンパク質源を積極的に摂る食生活に変えましょう。
ただ、無理な糖質制限は禁物です。糖質を完全に遮断すると栄養バランスが崩れ、かえって健康によくありません。あくまで「ご飯をお茶碗半分くらいにする」「パスタなど炭水化物がメインの献立は避ける」など、少しずつ糖質を減らすことで食生活を改善しましょう。
そして、睡眠も重要です。最近の研究では、「睡眠時間が不足していると『グレリン』という摂食ホルモンが増加し、食欲が刺激されてしまう」といわれています。たっぷりと十分な睡眠をとればストレスもたまりにくくなり、一石二鳥です。
2.ウォーキングをする
適切な運動で筋肉量を増やし、基礎代謝を上げることで脂肪を燃焼しましょう。とくに、有酸素運動は脂肪を燃やすのに有効です。無理のない運動量で、毎日少しずつでもいいので習慣的に行うことが大切です。
有酸素運動のなかでおすすめなのは、ウォーキングです。気軽にでき、自分のペースで行いやすい運動といえます。靴はランニングシューズではなく、ウォーキングシューズを選びましょう。靴底が厚く、通気性があり、足の保護を重視したウォーキングシューズなら、靴ずれや足の痛みなども起こりにくくなります。
また、夫や友人など、ウォーキング仲間を作ると飽きずに長く続けられます。万歩計をつけたり、ウォーキングアプリを活用したりするのも動機付けになりますね。新鮮な空気を吸いながら街を歩くことは、気分転換にもつながるのでおすすめです。
3.漢方でメタボ体質の改善をめざす
「メタボ体質を根本から変えたい」
「いろいろと試したが思うように改善しない」
「西洋薬は依存してしまわないか不安」
メタボで悩む更年期世代には、医薬品として効果が認められている漢方薬がおすすめです。
漢方薬のなかには、お腹についた脂肪を分解・燃焼したり、体内の脂質の吸収を抑制したり、脂質を便と一緒に押し出したりする作用があるものもあります。
漢方薬は、植物や鉱物などの「生薬」を元に作られており、一般的に西洋薬よりも副作用が少ないとされるのも特徴です。そして、漢方薬は対症療法ではなく、根本的な改善によって太りにくい体質をめざします。
「食事療法や運動をずっと続けるのは無理」という方も、症状や体質に合った漢方薬をとり入れるだけなので、簡単に継続できます。
<メタボリックシンドロームに悩む女性におすすめの漢方薬>
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):比較的体力がある方向けの漢方薬です。更年期症状や下腹部痛、皮膚炎などにも使われます。
大柴胡湯(だいさいことう):体力がある方向けの漢方薬です。肥満症や、常に便秘しがちでおなかが苦しいという場合に用いられます。高血圧や神経質などにも処方されます。
漢方薬を選ぶときのポイントは、「自分の体質に合っているか」という点です。有名な漢方薬でも、まったく体質に合っていなければ効果が出ないどころか、逆に副作用が出る場合もあります。
漢方に精通した医師や薬剤師のアドバイスを聞き、適切な漢方薬を選んでもらうことが大事です。
「漢方薬に興味はあるけれど、ちょっとお値段が……」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめです。中でも、スマホで気軽に相談できる「あんしん漢方」は使いやすいと評判のサービスです。
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生活から見直しメタボ体型を改善しよう
更年期のメタボリックシンドロームは、様々な病気のリスクを増加させます。今回ご紹介した対策を実践し、まずは生活習慣から見直していきましょう。
更年期は誰にでもやってきます。「自分だけが苦しい思いをしている」などということはありません。つらいときは周囲に相談してみるなど、ひとりで抱え込まないことも更年期を乗り切るコツです。
<この記事を書いた人>
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