とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落ち込む、急に顔が熱くなったり、汗が止まらなかったり、どうしてこんなに頭が痛いの? など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調があらわれることがあります。

実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか? 私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。

第73回のテーマは、「熱っぽい」です。医師の木村眞樹子さんに教えていただきました。

謎の熱っぽさや疲労感に悩み、保育士の仕事も辞めた

佳織さん 51歳女性 元保育士の方からご質問をいただきました。

「最近、頻繁に熱っぽさを感じるようになりました。顔がほてって頭がボーっとする感じがします。熱を測ってみると37.0~37.5℃を行ったり来たり。若いころから平熱は36℃台だったため微熱です。

しかし、風邪症状もなく、しばらくすると熱が下がるなど波があります。熱っぽさを感じると頭がボーっとしてのぼせたような感覚になり、だるさや疲労感もあります。そのためやるべき作業がはかどらず、気分や意欲も落ちます。10年以上勤めていた保育士の仕事も1ヶ月前に辞めました。

上司から『自分の体調管理ができない人に子どもの支援はできない』と厳しく言われ、長年生きがいとしていた仕事も失い、ひどくショックです。体調に振り回されてばかりなのですが、これは更年期と関係があるのでしょうか? 」

ご質問ありがとうございます。熱っぽさに、だるさや疲労感まで伴うという佳織さん。かなりつらい状態ですね。

佳織さんがおっしゃるとおり、その症状の原因は更年期の可能性があります。考えられる原因と簡単に行えるセルフケアをご紹介します。

熱っぽさの原因は更年期の女性ホルモンバランスの乱れ

閉経を挟んだ45歳〜55歳の約10年間を更年期と呼びますが、この間、私たちの体には様々な変化が起きます。平熱が安定せず、熱っぽさを感じるというのも更年期の代表的な症状のひとつです。

更年期を迎えると女性ホルモンのエストロゲンが急激に減ります。自律神経にも乱れが起き、血管の収縮や拡張のコントロールがしにくくなるので、微熱やほてりのほか、急に汗をかくなどの症状があらわれます。

これらの一連の症状は「ホットフラッシュ」と呼ばれ、更年期の女性によくみられます。

健康な日本人の平均体温は36.6~37.2度といわれます。また、1日のなかでも体温は変動しており、早朝がいちばん低く、夕方頃に最も高くなるのです。

食後や運動後も体温は高くなりますが、変動する幅は1度ほどといわれています。体温を測る場合、朝と夕方のように時間を分けて測ると、より正確に体の状態が把握できます。

また、更年期とは別に、慢性腎盂腎炎や膠原(こうげん)病など別の原因が隠れている場合もあります。異常を感じる場合は病院へ行き、きちんと専門医に診てもらいましょう。

続いては、そんな更年期の熱っぽさに簡単に対処できるセルフケアをご紹介します。

更年期の熱っぽさに対処する3つのセルフケア

更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。

ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、以下のセルフケアや漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。

1.通気性のいい服装を選ぶ

なるべく通気性がよく、熱がこもりにくい服を着ると体温調節がしやすくなります。綿素材は吸水性に優れるため、普段着には綿素材のものを選ぶといいでしょう。綿は敏感肌にも優しいため、どんな人にも着やすいのが特徴です。

カーディガンなど、羽織るものを持っておくと外出先でも体温変化に対処しやすいのでおすすめです。急に上半身が熱くなったときには、首周りを冷たいタオルなどで冷やしましょう。

冬は厚着になりがちですが、襟元は開けて涼しくすると汗対策になります。マフラーやダウンコートなど、着脱のしやすいアイテムを持っておくと便利です。

さらに、汗をかいたときのために、ハンカチなどもあると安心ですね。下半身はタイツなどで暖かくし、お腹より下は冷やしすぎないようにしましょう。

2.辛いものやアルコールを控える

カレーやキムチ鍋などの激辛グルメが大好きだったり、家飲みの機会が増えてアルコール摂取量が増加してしまったり……。

辛いものやアルコールは必要以上に発汗を促してしまい、更年期症状で悩む世代にとっては大敵です。人は、ストレスがたまっていると刺激物を欲します。しかし、それが体のバランスを崩し、さらにストレスのもとになるので、悪循環に陥ってしまいます。毎日刺激物を摂取するような食生活は避け、辛いものやアルコールはたしなむ程度にしましょう。

熱っぽさや体のほてりを和らげるには、大豆に多く含まれるイソフラボンや、サンマやイワシなどの青魚に含まれるDHA・EPAを意識的に摂取してください。普段の食生活から少しずつ見直すことで、更年期症状を改善していきましょう。

3.漢方薬で対処する

「いろいろ試してみたけれどやっぱり良くならない」
「一時的に効果はあるようだけれど、すぐに元の状態に戻ってしまう」
「西洋薬は依存性が不安」

更年期の熱っぽさでお悩みの方には、医薬品として効果が認められている漢方薬もおすすめです。漢方薬は、婦人科でも更年期やプレ更年期の治療に使われています。

自然にある植物などを利用し「生薬」を組み合わせて作られる漢方薬は、非常にナチュラルです。

漢方薬というと中国を思い浮かべる方も多いと思いますが、漢方薬は古代中国から伝わった後、日本で1400年以上もの年月をかけて発展を遂げた、我が国の独自の医学です。

また、漢方薬がめざしているのは苦痛から逃げるための対症療法ではなく、根本的な解決です。体質の改善に働きかける漢方薬は、「もうつらい症状を繰り返したくない」という方に最適です。

「食生活などの工夫を続けるのは大変」という方も、漢方薬なら症状や体質に合った適切なものを毎日とり入れるだけなので、手間なく続けられます。

熱っぽさに悩む女性におすすめの漢方薬

加味逍遥散(かみしょうようさん):体力が中等度以下の方向けです。のぼせや疲れやすさなどを感じるときに処方されます。更年期症状や冷え性、月経不順にも用いられます。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):体力がある方向けです。のぼせやめまい、更年期症状に処方されます。皮膚炎や湿疹などにも使われます。

漢方薬を選ぶときに大事なのは、自分の体質に合ったものを選択するという部分です。体に合っていない漢方薬だと効果が出ないだけでなく、思わぬ副作用に見舞われることもあります。医師や薬剤師など、漢方のプロに一度ご相談ください。

「お値段が気になる」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめです。スマホで利用できる「あんしん漢方」は、世代を選ばず誰でも使いやすいと話題になっています。

AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」では、専門家があなたの体質に合った漢方を選んでくれます。

更年期の体の悩みは積極的に相談しよう


熱っぽく、体が何となくだるく感じてしまうのは、更年期の症状のひとつ。今回ご紹介したセルフケアや漢方薬は、症状の改善にきっと役立ってくれます。

もし、更年期の体質の変化に悩んでいるなら、医師や薬剤師にお気軽にご相談ください。更年期は誰にでも訪れるもの。ひとりで抱え込まず、まずは人に話してみることから始めてみましょう。

<この記事を書いた人>

医師 木村 眞樹子
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならないからだをつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットをいかしつつ漢方の処方も行う。また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。
記事内に登場した「あんしん漢方」とは?
「お手頃価格で不調を改善したい」「副作用が心配」というお悩みをお持ちの方のために、医薬品の漢方を、スマホひとつでご自宅にお届けするサービスです。AI(人工知能)を活用し、漢方のプロが最適な漢方を選別。オンラインでいつでも「個別相談」可能。しかも「お手頃価格で」ご提供。相談は無料。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)

 

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