建設会社専務にして、女性建築家集団代表。その元気の源は、3種類の食品群をバランスよく組み合わせた朝食だ。

【岡野美紀子さんの定番・朝めし自慢】

中央の大皿から時計回りに、バタートースト、ソーセージ、ポテトサラダ(卵・胡瓜・人参)、レタス、ミニトマト、ゆで卵、スープ(じゃがいも・人参・青葱)、果物(オレンジ)、牛乳、ヨーグルト(蜂蜜)。バタートーストの食パンは、5枚切り1/2枚が決まり。ポテトサラダは作り置いたもの。スープの具には、有り合わせ野菜や若布などを利用する。

「朝食は夫と義母、私の3人分を作りますが、ふたりは私が出社してからゆっくり摂ることが多い」と岡野美紀子さん。夫の祐三さん(68歳)は、その日のスケジュールを確認するためにコーヒーで付き合う。自宅隣のオフグリッドハウス(電気を自給する家)で。

『椿茶園』(三重県)の店舗改装を機に、茶農家を応援しようと同店と共同開発した「CHΛCHΛBY(チヤチヤビイ)」。ケース、ボトル、日本茶ティーバッグのセットで、ティーバッグは煎茶、ほうじ茶、玄米茶の3種類。手軽に“チャチャッ”と、本格的な日本茶の味が楽しめる。(問い合わせ:WHAIS 電話:045・522・8577)。

神奈川県横浜市に、女性建築家による総合プロデュース集団がある。『WHAIS(ワイズ)』である。その代表理事を務める岡野美紀子さんが、次のように語る。

「私自身が建設業界で長く働いてきて、住まいの鍵は女性が握っていると感じてきた。けれど、間取りや設計の多くの部分は男性目線で作られがち。そこで女性の要望に柔軟に、かつ的確に対応できる場を作りたいと思っていました」

もうひとつ、優秀な女性建築家の活躍の機会が少ないことも気になっていた。かくして2009(平成21)年、女性建築家集団『WHAIS』を設立。女性ならではの視点を生かした数多くの住宅や店舗を手がけてきた。具体的にいえば、見せる建築よりも使い勝手を重視した、裏動線までをも考えた設計だ。

『WHAIS』は建築家、グラフィックデザイナー、現場監督、事務局からなる女性だけのチーム。専門の知識と経験を生かし、住宅、店舗などの設計、施工、商品の企画開発も行なう(右列下からふたり目が岡野さん)。

昭和33年、宮崎県生まれ。共立女子短期大学卒業後、日本経済新聞社サイエンス編集部に勤務したが、父・岡田清人さん(現会長)の独立に伴い退社。昭和57年、父と一緒に『栄港建設』を設立した。

「建築畑ひと筋の父に引き込まれるように、会社設立手続きから関わることに。簿記学校にも通いました。父は仕事を家に持ち込む人で、現場監督や職人さんたちが度々家に来ていたので、建築の世界に抵抗はありませんでした」

以来40年、人手不足やバブル崩壊、構造不況などを乗り越えてきた。現在、弟の岡田雅人さんが社長、岡野さんは専務取締役。“ただいま”“おかえり”の声が行き交う明るく風通しのいい社風だ。

月に一度、会長(前列右からふたり目)と2日かけて主要現場を回る。10数年前から続いている現場パトロールだ。「現場を知り、職人さんたちとコミュニケーションを取るためにも欠かせない仕事です」と、岡野さん(前列右)。

社員が作る“eikoランチ”

朝は早い。午前4時30分から5時に起床。1時間半の愛犬との散歩後、朝食は7時半頃だ。

「生野菜やポテトサラダ、卵とソーセージの動物性たんぱく質、牛乳とヨーグルトが定番。それにスープは“だし&栄養スープ”を愛用。バランスよく栄養補給できる上に、お味もいいんですよ」

昼は市販の弁当が多いが、週に一度は“eikoランチ”がある。
これは料理上手な社員が、ひとり暮らしの会長の健康を気遣って3年前から始めたものだ。

「父のために糖尿病食を作ってくれ、私や希望する社員も無料でこの恩恵に浴することができます」

まことに家庭的な職場である。

『WHAIS』が手がけたリフォーム例。2室をリビングダイニングの1室とし(上写真)、断熱性能を高めて省エネライフを目指した。「実際に暮らすと、動線を短くするなど女性の建築家ならではの配慮を感じます」と、施主の石原敏子さん(77歳、下写真)。

人と人との繫がりが、仕事と知識の幅を広げる

神奈川県相模原に田圃があり、社員やその家族らと田植えや稲刈りを楽しんでいる(右からふたり目)。銘柄は“さとじまん”で参加者に分配する他、eikoランチのご飯もこの米で。

“女性のプロ”たちによる空間作りで好評を得ている『WHAIS』だが、もうひとつの柱が“ツナガル活動”だ。岡野さんが語る。

「異なる業界の方々と“ツナガル”ことが、多くのビジネスチャンスを生むと考えております。私自身、神奈川県の中小企業家同友会で他業種の方々とお会いし、知識も仕事の幅も広げることができました。この体験を孤独になりがちな女性事業家たちにも生かしたい」

そのために定期的に開催しているのが“ランチラボ+プラス”だ。ゲスト講師を迎え、仲間とともにランチを囲んで勉強会を開く。新しい出会いにより多くの価値観を知り、また自分の価値観を伝えることで、互いに成長し、学びあえるという。

この行動力は私生活にも及ぶ。

“毎日お米を食べているけれど、お米ってどう作るの?”という疑問がわけば、夫の祐三さんと一緒に米作りを実践。また、3年前に日本で開かれたラグビーワールドカップでは、アフリカ・ナミビア共和国の選手らに茶道の点前を披露。

公私ともに、その柔らかな物腰のなかに、尽きぬ好奇心と行動力が秘められている。

趣味は茶道。会社にも茶室があり、月に1回ほど社員らに茶道教室を開く他、行政主催の茶道会でも活躍。子供たちに日本文化としての茶道を発信するボランティア活動もしている。
よほどのことがない限り、雨の日も風の日も愛犬こうのすけ(ラブラドールレトリバー)との、1時間30分ほどの早朝散歩が日課だ。特別な運動はしていないが、これが健康法だという。

※この記事は『サライ』本誌2021年10月号より転載しました。年齢・肩書き等は掲載当時のものです。 ( 取材・文/出井邦子 撮影/馬場 隆 )

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