新型コロナウイルス感染症など、さまざまな病気に負けないための「免疫力」は、日々の食事や生活習慣の改善によって、大幅に高めることができるそうです。しかし、巷に溢れる健康や免疫力に関する知識は刻一刻とアップデートされ、間違った情報や古びてしまったものも少なくありません。コロナ禍の今、本当に現代人が知っておくべき知識とは何でしょうか。著書『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ究極の「健康資産」の作り方』が話題の満尾正医師が解説します。

「糖質」の摂り過ぎで免疫力もダウン!

日本人は白いご飯が好きで、人によっては驚くほどの量を食べています。でも、ご飯やパンや麺類といった炭水化物は、砂糖と同じ「糖質」です。

糖質は血糖値を上げますから、炭水化物を摂り過ぎれば糖尿病になります。糖尿病を持っていると免疫力が落ち、血管系の疾病、がん、認知症などの生活習慣病にもかかりやすくなることがわかっています。

実際に、糖尿病の人は、そうではない人より平均10年ほど寿命が短いのです。

だから、ご飯はほどほどにしましょう。

そもそも、成人の1日の糖質摂取量はどれくらいが適正だと思いますか?

建設現場など体を動かす仕事でも1日300グラムがいいところで、デスクワークなら200グラムが限度です。さらに、やせたいなら150グラムまで落とす必要があります。

しかし、実際には、1日300グラム以上の糖質を摂っている人が多いのです。

実は、幕の内弁当1人前で、糖質量は130〜150グラムもあります。

定食も同様です。握りこぶしくらいのご飯がだいたい糖質量50グラムですから、軽くお茶碗2杯で100グラム、おかずにも糖質は含まれるのでそこから50グラム。もうこれで150グラムはいってしまいます。

つまり、やせたいと思うなら、お昼に弁当や定食を食べる人は、朝食と夕食には、ご飯もパンも麺類も口にしてはいけない計算となります。

もちろん、コーラなどの清涼飲料水やジュースにも糖質はたっぷり含まれています。こうしたものを愛飲している人が、太らないわけがありません。

とくに日本人が大好きな食べ物について、下にその糖質量を挙げておきました。親子丼やカレーライスは、ちょっと食べるのが怖くなりそうですね。

自分が糖質を摂り過ぎていないかを知るためにも、定期的な体重測定は必須です。できれば毎朝、無理でも週に1~2回は体重計に乗りましょう。

体重が増えるのは、単に見た目が悪くなるだけでは済みません。肥満は免疫力を下げ、あらゆる病気に直結します。

フライドポテトとドーナツに潜むリスク

チェーン系のレストランや居酒屋に行くと、サイドメニューの欄に必ずと言っていいほど「フライドポテト」があります。それだけ需要があるということでしょう。

いったいいつの間に、日本人はこんなにフライドポテトが好きになったのでしょう。おそらく大手フードチェーンの影響なのかも知れません。

チェーン店のフライドポテトは、日本全国いや世界中どこで食べても同じ味がします。「だから安心なんだよ」と思うかも知れませんが、それは食べ物としてはとても不自然なことです。

私のクリニックに、40代の男性が訪れました。彼はかなり太っており、ポテトチップスが大好物とのことでした。でも、ポテトチップスが肥満のもとだとは思ってもいなかったようです。

そもそも、ポテトチップスが糖質であるということに驚いていました。「塩味なのに?」というわけです。

フライドポテトにしろ、ポテトチップスにしろ、ほかのスナック菓子にしろ、いも類や小麦粉などの炭水化物を油で揚げたものは要注意です。

まず、炭水化物を高温で調理すると、アクリルアミドという発がん性がある物質ができます。

「AGEs」(advanced glycation end products)という老化を促進する物質もたくさんできます。

しかも、調理に使われているのはトランス脂肪酸という、心臓疾患を引き起こすタチの悪い油がほとんどです。

そして、揚げ物は時間が経つにつれどんどん酸化していきます。

こんなものを食べて体にいいわけがないのです。

炭水化物を油で揚げるという害ばかりのものに、砂糖をかければドーナツになり、塩をかければフライドポテトになります。

フライドポテトやスナック菓子をやめられない人は、甘いお菓子をやめられない人と本質的には同じです。

人工甘味料は危険な「中毒」のもと

甘い物が欲しくてたまらないことを、「シュガークレービング(糖分渇望)」と言います。そして、そういう人を「シュガークレーバー」と呼びます。

彼らは、空腹であるかどうかは関係なく、とにかく甘い物が欲しいのです。脳がそれを欲しており、ドラッグと同じように中毒になっているわけです。

これは、マグネシウムが不足していると起こりやすいことがわかっています。

もう1つ、不自然な人工甘味料も原因かも知れません。

「甘い物が好きだけれど太るのは嫌」という人たちにとって、人工甘味料は強い味方となっているようです。しかし、味方だと思っているのは本人だけで、本当は大敵です。

ダイエットを考えていなくても、清涼飲料水など「カロリーゼロ」を選んでいるという人は多いでしょう。

おそらく「健康のため」ですよね。

しかし、それは逆効果かも知れません。

人工甘味料はその名の通り、人工的につくられたもので、普通の砂糖の何倍もの甘味を有しています。そういうものを日常的に摂っていれば、甘味に関してどんどん鈍くなっていきます。そして「もっと、もっと」と渇望するようになります。

まさに、ドラッグ中毒と同じなのです。

それになにより、人工甘味料の多くは、厚生労働省によって摂取制限が設けられています。つまりは「安全ではない」ということです。

また、人工甘味料が腸内細菌に悪い影響を与えることがわかっています。

詳しくは、別の章で述べますが、豊富な腸内細菌を持つことは、健康を考える上で一丁目一番地です。

いずれにしても、体に悪い甘い物を渇望する状態は異常で、なにかのサインです。おかしな食生活に陥っていないか、きちんと見直してみてください。

満尾正(みつお・ただし)/米国先端医療学会理事、医学博士。1957年横浜生まれ。北海道大学医学部卒業後、内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療の現場などに従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、日本で初めてのアンチエイジング専門病院「満尾クリニック」を開設。米国アンチエイジング学会(A4M)認定医(日本人初)、米国先端医療学会(ACAM)キレーション治療認定医の資格を併せ持つ、唯一の日本人医師。著書に『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ「究極の健康資産」の作り方』(小学館)など。

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