新型コロナウイルス感染症など、さまざまな病気に負けないための「免疫力」は、日々の食事や生活習慣の改善によって、大幅に高めることができるそうです。しかし、巷に溢れる健康や免疫力に関する知識は刻一刻とアップデートされ、間違った情報や古びてしまったものも少なくありません。コロナ禍の今、本当に現代人が知っておくべき知識とは何でしょうか。著書『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ究極の「健康資産」の作り方』が話題の満尾正医師が解説します。

心臓疾患による死亡率1.5倍のデータも!

まだ私が生まれる前の1948年、日本で「食品衛生法」が施行され、食品添加物の規制が始まりました。その後、時代に合わせて改正が行われていますが、それによって国民の健康が守れているかというと怪しい限りです。

一口に食品添加物と言っても、その使途も危険度もさまざま。
食品添加物を用いるのは、それなりの理由があります。

●日もちをよくする
●カビが生えないようにする
●形を整える
●味を調整する
●色をきれいに見せる

これらの理由で用いられるのは、消費者にとっても、一見ありがたいように感じます。腐ったものやカビの生えたものなど食べたくないし、見た目だっていいほうが食欲は湧きます。ただ、そうした便利機能には、余計なものがついてきます。それら余計なものが、人体に与える害は、想像しているよりずっと大きいのです。

とくに、ハムや明太子などにきれいな赤味をつける「亜硝酸ナトリウム」は発がん性が懸念されており、注意している人も多いでしょう。

加えて、私が本書で特筆しておきたいのがリンについてです。

昨今の食品添加物のなかで言えば、リンの害が見逃されがちのようです。

リンは、私たちが生命を維持するために必須の元素である一方で、過剰になるといろいろ悪さをします。自然の食べ物の中にも含まれていますが、加工食品に添加物として使われることが多く、雑誌などでもその問題が取り上げられるようになりました。

体内に入ったリンは腸でカルシウムと結びつき、その吸収を妨げます。カルシウムの吸収が妨げられると、体は自分の骨を溶かして血液中のカルシウムを補おうとします。

そのため、リンが多いと骨が溶けやすくなります。

さらに、骨から溶け出たカルシウムが石灰化して血管内壁にこびりつき、血管がかたくなる動脈硬化を進めます。その結果として血圧が上がるし、腎機能が悪くなるし、心筋梗塞などを引き起こしやすくなるのです。

私のクリニックでは血中リン濃度の基準値を2.5~4.0(mg/dL)としていますが、理想は3.5未満です。下のグラフを見てください。血中リン濃度が3.5以上になると、心筋梗塞による死亡率が上がり始め、4.0以上では、3.5未満の群と比較して1.5倍に跳ね上がります。

リンの過剰摂取で起きる症状には、腹痛、下痢、膨満感、吐き気といった胃腸症状や、アレルギーなどがあります。

また、腎臓にも甚大な被害を及ぼします。

腎臓の悪い人は、そもそもリンの排泄がうまくいかず溜まりやすくなり、それによってさらに腎機能が悪化するという負のスパイラルに入ります。

このため、人工透析患者さんを担当する医師は、食品添加物としてのリンの摂取量についても詳しくアドバイスを行っています。

なぜ「リン不使用」が売り文句なのか

酸味料、乳化剤、膨張剤、結着剤などもリン!

もともとリンは、肉や魚、豆類、穀類など自然界にある多くの食品に含まれています。前述したように、リンは健康維持のために一定量は必要です。ただ、現代人は過剰摂取気味で、それによって健康を害している事例が多いのです。

というのも、昔は存在しなかった加工食品に、とくに問題の大きい「無機リン」が多く使われているからです。かつ、食事の欧米化も一因となっています。

自然の食品のなかでは、豆類や穀類など植物性のものはあまり体内に残らないと言われているので気にしなくていいでしょう。

肉や魚など動物性の食品だと、少し注意が必要です。とくに肉にリンが多く、欧米人に心臓疾患が目立つのは、牛肉の消費量と無関係ではありません。

しかしながら、なんと言っても危険なのは添加物として使われる無機リンです。

昨今の食品メーカーの加工力は高く、人々が「美味しい」と感じるものをどんどんつくりだしています。美味しいからたくさん食べてしまう加工食品には、かなりの頻度で添加物としてリンが入っています。

たとえば、弾力性のあるソーセージなどの加工肉や練り物には、その食感をつくりだすために必ずと言っていいほど使われています。使われていない製品の場合、むしろそれを売り物に「リン不使用」などとうたわれます。

つまり、食品メーカーは、本来リンは使うべきではなく、健康に対する意識の高い人たちが「リンは摂りたくない」と考えていることはわかっているのです。

わかっているのに使っているわけです。

猛暑の夏によく飲まれている経口補水液にも入っていて、原材料名に「リン酸Na」と明記されています。こちらは、味を良くすることが目的でしょう。砂糖と塩を水に溶いただけでは、不味くて消費者に買ってもらえないからです。

しかし、ソーセージにしろ経口補水液にしろ、成分欄に「リン」という言葉が明記されているだけ、まだ良心的とも言えます。

食品添加物としてのリンは、正確にはリン酸化合物といって、さまざまな名前を持っています。下に、その一例を挙げておきます。

「酸味料」「pH調整剤」「乳化剤」「膨張剤」「結着剤」「結着剤」「かんすい」なども、実はリンを含みます。

食品例にも、中華麺や清涼飲料水、乳製品、加工肉、魚肉練り製品など、身近なものが多数並んでいます。

しかも、リン酸化合物名で表記をしていないケースが多いのです。「リン酸」「リン酸Na」くらいなら目にとまりやすいですが、「ピロリン酸ナトリウム」「ポリリン酸ナトリウム」「メタリン酸カリウム」など、長くて複雑なものも多々あり、一般人にはお手上げでしょう。まだまだ「えっ? これもリンだったの?」と驚かされるような、いろいろな名称があります。

スーパーで売られている食品や飲料の「原材料名」を詳しく見てみてください。こうしたリンに関連した表示はざらにあります。

たとえば、清涼飲料水に必ずと言っていいほど使われている「酸味料」についてですが、文字面が爽やかな印象で、ほとんどの人はあまり気にしないことでしょう。でも、それにミスリードされてはいけません。

私は「炭酸飲料は骨が溶けるから飲むな」と言われて育ちましたが、子どもの頃はピンときませんでした。しかし、リンによる悪い影響が理解できた今となっては、それがいかに正しい指摘だったかがよくわかります。

食事に無頓着な人はリンを摂り過ぎ

かつて、アメリカで、血中リン濃度と年収の関係について調査が行われたことがありました。

その結果は、年収が低いほど血中リン濃度が高くなる傾向にあるというものでした。
私は学会などでアメリカに行く機会が多くありますが、そのたびにアメリカ社会における「二極化」を痛感します。

そもそも、富裕層と貧困層では利用するスーパーマーケットが違うのです。

貧困層のユーザーが多いスーパーには、良質のバターではなく有害なトランス脂肪酸を多く含んだマーガリンが積まれています。ほかにも、巨大なピザが10枚セットになったものや、チーズマカロニ(使われているチーズはリンたっぷりのプロセスチーズです)など、簡単に満腹になるけれど、健康には悪そうなものがたくさん売られています。

一方で、富裕層対象のスーパーは、加工品ではないフレッシュな食材や、オーガニックの野菜などが目立ちます。これでは、健康度合いに差が出てしまうのも仕方ありません。

これは、アメリカの話に留まりません。日本も同様です。

ただ、日本の場合、富裕層か貧困層かという二極ではなく、むしろ、意識の差が顕著だと言えます。

要するに、自分が口にしているものについて、真剣に吟味しているか、なにも考えずに食べているかという意識の差です。

もし、あなたが後者であるかも知れないなら、一刻も早い意識改革が必須です。

ボディソープやシャンプーにもリン

私のクリニックの患者さんの血中リン濃度を整理してみると、だいたい3.4〜3.5あたりに多くの人が集まっています。

ところが、これを男女別に分けてみると、中央値がずれてきて、女性のほうが男性よりも高い傾向を示します。

なぜ、女性のほうが血中リン濃度が高く出るのかについて、私は最初、理由が見つかりませんでした。

しかし、どうやら化粧品類の影響であるらしいとわかってきました。

男性の場合、血中リン濃度が上がってきた患者さんに話を聞くと、たいてい加工食品や清涼飲料水をたくさん摂ったというところに行き着きます。

女性で、こうしたことに思い当たる節がないときには、化粧品やシャンプー、ボディソープなどを疑ってみます。

実際に、ポリリン酸などが使われている製品は多く、口から摂取しているのではないのに、肌からもリンが入ってしまうのです。

最近は、身だしなみに気をつける男性が増え、化粧品類への関心も高まっています。暑い日に外出する機会が多い人は、制汗剤なども手放せないことでしょう。

しかし、育毛効果をうたっているシャンプーや、爽やかな香りが魅力のボディソープ、歯茎を引き締める歯磨き剤、そのほか、さまざまな化粧品類にリンが使われていることが多いので、注意が必要です。

心配な人は、使っている化粧品類の成分表示をじっくり眺め、図にある「さまざまなリンの名称」の囲みのなかにあるような難しい名前のリン酸化合物が入っていないかチェックしてみるのもいいでしょう。

満尾正(みつお・ただし)/米国先端医療学会理事、医学博士。1957年横浜生まれ。北海道大学医学部卒業後、内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療の現場などに従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、日本で初めてのアンチエイジング専門病院「満尾クリニック」を開設。米国アンチエイジング学会(A4M)認定医(日本人初)、米国先端医療学会(ACAM)キレーション治療認定医の資格を併せ持つ、唯一の日本人医師。著書に『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ「究極の健康資産」の作り方』(小学館)など。

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