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文/満尾正

新型コロナウイルス感染症など、さまざまな病気に負けないための「免疫力」は、日々の食事や生活習慣の改善によって、大幅に高めることができるそうです。しかし、巷に溢れる健康や免疫力に関する知識は刻一刻とアップデートされ、間違った情報や古びてしまったものも少なくありません。コロナ禍の今、本当に現代人が知っておくべき知識とは何でしょうか。著書『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ究極の「健康資産」の作り方』が話題の満尾正医師が解説します。

今回は次の3つの栄養素について詳しく解説します。

1.ビタミンD

体内に取り込まれたビタミンDは、肝臓で代謝されて、「25(OH)D3」という物質になります。本書では、わかりやすいように「血中ビタミンD濃度」と表現しますが、正確にはこの25(OH)D3の値を表しています。もっとも、そんな難しい言葉を覚える必要はありません。どれだけ自分がビタミンDを持っているかについて、「血中ビタミンD濃度」が大事なのだと理解してください。

具体的な血中濃度は、40~80(ng/mL)を至適値(理想の数値)と私は考えています。以下、本文では単位(ng/mL)は省略し、数値のみを表記します。

2.マグネシウム

健康な人の体内には30グラムくらいのマグネシウムがあると考えられますが、そのほとんどが骨や筋肉に回っており、血液には1%も存在しません。そのため、そもそも血中濃度による過不足の判断が難しく、健康診断で調べられることは皆無です。しかし、現代人の多くはマグネシウムが不足している可能性が高く、食事に気をつけたほうがいいでしょう。血中マグネシウム濃度の基準値は2.0~2.5(mg/dL)で、理想は2.3(mg/dL)くらいです。同じく、本文では単位(mg/dL)は省略し、数値のみを表記します。

3.亜鉛

血中亜鉛濃度は、体内にどのくらいの亜鉛があるかを示す数値です。その至適値は、80~135(μg/dL)。亜鉛は銅とバランスを取り合っており、多過ぎれば銅の吸収が阻害されるので、過剰摂取は避けたいところです。しかし、現代人の食生活では、不足こそすれ摂り過ぎにはなりません。なお、血中亜鉛濃度を測定する機会がなくても、肝機能のALPの数値は参考になります。実際に細胞のなかで働いた亜鉛がどれくらいあったかを知ることができるのがALPです。このことから、ALPが低いと亜鉛が足りていない可能性があります。同じく本文では単位(μg/dL)は省略し、数値のみを表記します。

1 .ビタミンD

新型コロナとの「相関」で興味深い報告も続々

死亡率の上位国はビタミンDが低い

新型コロナとビタミンDとの関係について、世界中で研究が進められており、非常に興味深い報告が続々となされています。

まず、上のグラフ(図3)を見てください。これは、欧州の20カ国について血中ビタミンD濃度の平均値を調べた結果です。ちなみに、日本人の平均値は24.5でハンガリーよりもちょっと上というところです。

一方、新型コロナによる人口100万人あたりの死亡者数(2020年7月31日時点)は、1位ベルギー、2位イギリス、3位スペイン、4位イタリアとなっています。

もう一度、グラフ右側に目を向けていただくとよくわかりますが、この4カ国はいずれも血中ビタミンD濃度が低いのです。この相関は見逃すことができません。

また、コロナウイルスの第一波が世界的な流行を示し始めた2020年4月、血中ビタミンD濃度と死亡者数や致死率に関する注目すべきデータ(速報版)が、インドネシアで公表されました。下のグラフ(図4)をご覧ください。

血中ビタミンD濃度が「十分」にあたる、30を超えている理想的なケースでは、生存者が372名に対し、死亡者は16名とわずかです。ところが、20~30の「不十分」な群だと、生存者は26名しかいないのに、死亡者は187名と激増します。20未満の「欠乏」状態では生存者はたったの2名で、死亡者は177名にのぼります。

ここから致死率を計算すると、30を超えていれば4・1%に過ぎなかったのが、不十分で87・8%、欠乏だと98・9%にまで跳ね上がるのです。

逆に言うと、血中ビタミンD濃度を30超の十分な状態に保っていれば、不十分な人たちよりも、コロナウイルス感染による致死率が83ポイントも下がるということです。

これを見ただけで、「なんとか30を超えねば」と思うでしょう。

でも、実際には多くの日本人が10~20台であることが実状です。

新型コロナの人種による致死率の違い

新型コロナの研究はいろいろな角度から進められており、人種別の実態についても調査が行われています。

その結果、白人よりも黒人は致死率が高いことがわかってきました。

米国国立衛生研究所所長のブログによれば、アメリカにおける黒人が占める人口は22%なのに、全感染者の52%、死者の58%が黒人だったそうです。

その理由について、次の2つが挙げられています。

・黒人患者にはもともと心臓病や肥満などの既往疾患が多いこと
・黒人は生活環境が白人よりも劣ることが多く、とくに狭い居住空間に大人数で密集して暮らしていること

たしかに、これらの要素は否めません。

しかし、私はここに、血中ビタミンD濃度の低さを加えるべきだと考えています。

アメリカ人の血中ビタミンD濃度を調べた下の2つのグラフ(図5、図6)を見てください。

白人は黒人よりも血中ビタミンD濃度が高く、私たち黄色人種に皮膚の色が近いヒスパニックはその真ん中に位置しています。

そして、黒人の8割が血中ビタミンD濃度20未満という欠乏状態にあります。

こうなってしまうのは当然で、皮膚の色が濃くなるほどメラニン色素が多く紫外線をブロックしますから、同じ自然環境下で暮らしていれば黒人のほうがビタミンDをつくりにくくなります。

皮膚の色は、もともと生まれた土地の気候風土に合っていて、太陽光が強い土地の人たちは、紫外線から体を守るために肌が濃くできています。

ところが、そういう人たちが、太陽光が弱い北アメリカ大陸に移住してきたために、必要以上に紫外線をブロックしてしまい、十分なビタミンDをつくれないのです。

満尾正(みつお・ただし)/米国先端医療学会理事、医学博士。1957年横浜生まれ。北海道大学医学部卒業後、内科研修を経て杏林大学救急医学教室講師として救急救命医療の現場などに従事。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、日本で初めてのアンチエイジング専門病院「満尾クリニック」を開設。米国アンチエイジング学会(A4M)認定医(日本人初)、米国先端医療学会(ACAM)キレーション治療認定医の資格を併せ持つ、唯一の日本人医師。著書に『世界最新の医療データが示す最強の食事術 ハーバードの栄養学に学ぶ「究極の健康資産」の作り方』(小学館)など。

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