とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなったり、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの?など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?
私の不調にも漢方が効くのか知りたい!どうすれば根本解消できるの?
そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
第25回のテーマは、「手指の痛み」です。あんしん漢方の監修医である木村好珠先生に教えてもらいました。
1.おそろしい手指の痛み…変形は悪化してしまう?
タカエさん(仮名)52歳の女性から質問を頂きました。
「最近、手指の痛みを感じることが多くなり、悩んでいます。最初は家事の影響かな?主婦は手荒れもよく起きるし…とあまり大事に考えていなかったんですが、手指が明らかに腫れてきて関節が変形しているように思えるんです。
とくに指の第一関節が痛みます。このまま放置してもよくなる見込みはあるのかと不安になってしまいます。
そういえば母も手指の腫れを気にしていたことを思い出しました。年齢を経るごとに悪化していったと記憶しています。このまま私の手指も変形し、痛みがひどくなっていくのか本当に心配です」
ご質問ありがとうございます。からだの不調の中でも、手指の腫れや変形はとくに目立ちますし気になりますよね。主婦の生活習慣のなかで「手の悩みは専業主婦にとって職業病のようなもの」と思っている方もいますが、手指の痛みは更年期が関係している場合があります。
症状が悪化すると、動かすだけでしびれや痛みを感じることもあります。また、手指といってもさまざまな自覚症状がありますが、痛む箇所によって原因や病名が違う場合もあります。
2.その手指の痛みは何が原因?
指の第1関節に起こる「ヘバーデン結節」、第2関節に起こる「ブシャール結節」は関節の変形や痛み、動かしにくさを伴います。
また、指の付け根に起きる腱鞘炎、「ばね指」も更年期の女性によくみられます。指を動かす時に引っかかりや違和感を感じ、関節が固くなり動かしにくくなります。指の第2関節に起こりやすい症状です。
原因に関しては、現代医学ではまだ解明されていない部分もあるのですが、更年期の女性に多く発症がみられることから女性ホルモンが関与しているといわれています。とくに重要な女性ホルモンであるエストロゲンは炎症を鎮める効果があるのですが、更年期以降にそのエストロゲンが減少することも、手指の炎症を引き起こす一因となっている可能性があります。
女性ホルモンの変動が起こりやすい妊娠期などに若い女性が手指の痛みや腫れを訴える場合もありますが、この場合は女性ホルモンの正常化とともに自然治癒する場合がほとんどです。
エストロゲンが減少する更年期以降の女性にとって、手指の腫れや痛みは慢性化してしまう可能性があります。また、変形を放置しておくと長年をかけてさらに変形が目立ってしまうケースもあります。
3.つらい手指の痛みを解消する4つの方法
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。 効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
3-1.テーピングで固定する
手指の痛みや腫れには安静と固定が重要です。あまり酷使しすぎないように、なるべく手指を気遣ってあげることが大事です。テープを巻く他に、専用の固定器具なども販売されています。
3-2.鎮痛剤を服用する
痛みが強い場合は非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)などを服用する場合もあります。こちらも対処療法ですが、NSAIDs同士の併用によって副作用リスクが高まることもあるので気をつけなくてはいけません。
3-3.ステロイドを注射する
関節内にステロイド注射をすることによって痛みや腫れに対処します。リスクとしては、関節の外にステロイド剤が漏れると脂肪萎縮などが起こる場合があります。また、すでに変形が進んでいる場合、痛みが数か月で戻ってしまう場合もあります。
3-4.漢方で根本的な改善を目指す
「西洋薬は副作用が心配」「鎮痛剤を一度飲み始めたらやめられないのではないかと不安」
そんな方には漢方薬がおすすめです。漢方薬は医薬品で効果と安全性が認められています。 また、漢方薬は自然にある植物や鉱物などの生薬を組み合わせて作られており、西洋薬よりも副作用が少ないといわれております。
また、症状の緩和、苦痛を和らげるための対症療法ではなく、体質の改善に働きかけることで根本的な解決を目指すので、同じ症状を繰り返したくないという思いに応えてくれます。
女性のホルモンバランスの乱れによる不調には効果を発揮します。
バランスのとれた食事や運動などを毎日続けるのは苦手という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
手指の痛みに悩む女性におすすめの漢方薬をご紹介します。
<手指の痛みに悩む女性におすすめの漢方薬>
体力があまりない方におすすめの漢方薬です。からだを芯からあたため、関節痛や神経痛に用いられます。
・桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
関節痛、神経痛などの痛みや、冷え性で悩む方に用いられます。体力虚弱や多汗、尿量が少ない場合などに加え、西洋薬で効き目がない方、ステロイド治療以外の改善を目指す方に使用されます。
・当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
冷え症の方によく用いられる漢方薬です。ばね指の他に、頭痛や腰痛などにも使われることがあります。手足の冷えや腰痛、しもやけなどに効能があります。
ただ、漢方薬はその人の体質に合っていてこそ効果が現れるものです。体質に合っていないと、効果が見込めないだけでなく、副作用がおきることもあります。自分に合う漢方薬を選ぶのはなかなか難しいものですが、最近ではA Iを利用した「オンラインA I漢方」などのサービスも充実してきましたので、こうした専門的なサービスを利用するのもいいでしょう。
4.手指の痛みを改善して快適な生活を!
日々の生活の中で手指はとくに酷使する箇所。炊事、洗濯、掃除と忙しい主婦に不調があってはいちばん困る部分でもあり、手指の症状を緩和するだけでもだいぶ生活が楽になります。今回紹介したケアをとり入れて、つらい手指の悩みから開放されましょう。
<この記事を書いた人>
精神科医/漢方医 木村好珠
渋谷金王坂クリニック非常勤医、一般社団法人国際統合治療協会理事
医学部在学中より東洋医学を学び、精神科と東洋医学科が充実している慶応義塾大学病院での勤務を経て、西洋薬の即効性等と漢方薬の根本的な治療をバランスよく使い分ける事を信条とする。
渋谷の漢方内科で非常勤医として勤務する傍ら、テレビや雑誌、インターネットテレビ、Webメディアなどで、精神疾患、心理学、生活習慣病など様々なテーマを精神科医・漢方医の立場で解説も行う。
・木村好珠監修あんしん漢方: https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0025
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