文 /小林幸子

小林幸子の「幸」を招くルール

ファン歴50年以上の方はもとより、若者やネットユーザーからも「ラスボス」と称され、幅広い層に圧倒的な人気を持つ小林幸子さん。
小林さんの「今が楽しい、自分らしい人生」をおくるための秘訣とは?
齢を重ねるたび、元気と勇気、パワーを増し続ける、ラスボス流「言葉の魔法」を初披露!

ラスボス式「人の惹きつけ方」

知識やテクニックだけじゃない。大切なのは“志”が立派かどうか。次々と未知の世界の扉を開けて新たなことに挑む、その原動力はどこにあるのか。そして、進化を重ね続ける秘訣とは?

ルール11

このメッセージは小林幸子さんの直筆です。

本当に、何で結婚したんでしょうね、私たち。私は57歳、相手は49歳の時でした。世間から「熟年婚」なんて言われましたが、当の私が、結婚してしまったことにいちばん驚いているのですから。

結婚した時、真っ先に思い浮かんだのが、作曲家の遠藤実先生の言葉。

「寄りかかるのではなくお互いに寄り添うのが結婚」

これは本当にそうだと思います。

結婚していようがいまいが、寂しさは自分で克服しなければならないことですから。寂しいというだけで寄りかかったら、諸ともだめになってしまいます。

私自身は他人に寄りかからないタイプです。

うーん、違うかな。「寄りかからない」んじゃなくて、「寄りかかれない」んだ、私。

性格って、持って生まれたものだけじゃなくて、育っていく過程で変わっていくものなんだと思いますが、私の場合、9歳までは3人姉妹の末っ子で甘えん坊でした。ところが10歳で芸能界に入り、甘えてはいられなくなった。

歌手というのは、共演者が多い役者とまた違って、舞台ではひとりが基本。失敗しても誰もカバーしたり、すぐに助けてくれたりしません。

大御所だろうが、新人だろうが、その条件は一緒。寄りかかろうにも、誰にも寄りかかれない仕事なんです。

でも、私は幼くしてこの世界で生きていくと決めてしまった。

助けてもらえないなら、ひとりで生き抜くしかない。

そうやって55年間、この身ひとつでやってきたんです。頼ってもしょうがないから、頼り方を忘れてしまったのかもしれません。

歌手としてなら、それでいいはずなんですよ。でも男の人から見たら、かわいくないだろうな〜、本当に(笑)。

「小林幸子の人生を背負わせてください」

だから結婚前の夫とのデートは日々、新鮮でした。

付き合い始めの頃、レストランで私がお会計をしようとしたら、怒られたこともありました。

「何をしているんですか?」

私からしたら、なぜ怒られたかわからない。だってずっと、自分が払うもんだと思って生きてきたんですから。

「女の人が払うもんじゃないですよ。私に払わせてください」

「ごちそうさま」と言いながら、あれ? これってある意味、初めての経験かもしれないなって思いました。

夫のプロポーズの言葉も振るっていて、

「小林幸子の人生を背負わせてください」

でした。

「背負う? 私、何キロかしら?」と、おどけて怒られましたが。

結婚してからは、夫に任せられることは、できるだけ夫に任せています。ただし、寄りかかることはせず、あくまで寄り添うことを意識しています。私は夫婦とは、人生の互いの“伴走者〞だと理解しています。

これは夫婦関係に限らず、友人や知人、仕事の人間関係でも同じことが言えるのではないでしょうか。

決して甘えず、決して立ち入りません。

寄りかかっても、寄りかかられても、人間関係とはうまく維持できないものだと、私は考えています。

一、ひとりの寂しさは自分で克服しなければいけない

一、夫婦の関係は人生の“伴走者”でいい

一、友人や仕事の人間関係も寄りかかるだけにしない

小林幸子(こばやしさちこ)
1953年、新潟県生まれ。64年、『ウソツキ鴎』で歌手デビュー。その後、長く低迷期が続いたが、79年、『おもいで酒』が200万枚を超える大ヒットとなり、日本レコード大賞最優秀歌唱賞をはじめ数々の賞を受賞。同年、NHK紅白歌合戦に初出場。以来、34回出場し、その「豪華衣装」が大晦日の風物詩と謳われる。近年は、若者やネットユーザーの間で、「ラスボス」と称されるようになり、ニコニコ動画への「ボカロ曲」の投稿やアニメ『ポケットモンスター』の主題歌を歌うなどして、“神曲”を連発している。

ラスボスの伝言
~小林幸子の「幸」を招く20のルール~

小林幸子 著
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