赤ピーマンのムース。

赤ピーマンのムース。

今年の2月に開店30周年を迎えた、東京・三田の『コート・ドール』。開店時と同じ料理やデザートが、いまだにメニューに載っているという、極めて稀なレストランです。

「赤ピーマンのムース」「エイの蒸し煮シェリー酢ソース」「牛尾の煮込み赤ワインソース」「ブランマンジェ」などなど。これらはオーナーシェフの斉須政雄さんが、パリのレストランで修業していた時代に、最後の修業先『ランブロワジー』のスペシャリテだったものです。

ブランマンジェ。

ブランマンジェ。

ピーマンもエイもキャベツも牛尾も、どれもごくありふれた食材です。そのありふれた大衆食材から、小さな奇跡を生み出しているところに、これらの皿の素晴らしさがあります。

「赤ピーマンのムース」は『コート・ドール』がメニューに載せると、日本全国のレストランではやり出しました。まさに一世を風靡した料理なのですが、30年間作り続けているのは、きっとここだけではないでしょうか。

スプーンですくえば、赤ピーマンの香りが広がり、そこへ下に敷いてあるトマトのクーリ(ジュース)を添えれば、トマトの香りと酸味が加わ って味わいは渾然一体、得も言われぬ美味しさが口の中を占領します。

『コート・ドール』では、今はやりの「泡のソース」など出てきません。斉須シェフは、この30年間、脇見をせずに食材と正面から向き合い、妥協のない、素直で簡潔な料理を作り続けてきました。

いま、私が日本で最も尊敬するフランス料理のシェフです。

コートドール;厨房1_s

【コート・ドール】
住所/ 東京都港区三田5-2-18 三田ハウス1F
TEL/03-3455-5145
営業時間/【昼】12:00~13:00(L.O)、【夜】18:00~20:30(L.O)
定休日/月曜・第2火曜・第4火曜・夏期休暇(8月中旬頃)、年末年始

文/山本益博
料理評論家・落語評論家。1948年、東京生まれ。大学の卒論「桂文楽の世界」がそのまま出版され、評論家としての仕事をスタート。TV「花王名人劇場」(関西テレビ系列)のプロデューサーを務めた後、料理中心の評論活動に入る。

 

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